愛鳩屋烏

林 業

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中学

6

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タナカは椅子に座って勉強。

そして何故かいる犬飼とカラスは漫画を読んでいる。
「これだこれ」
「これがマイナー漫画というやつか」
「んだと?」
「いいえ。面白いなと思いました」
犬飼の睨みに即座に何でもないと答える。
「お前なぁ」
「いや。でも面白いよ。これ」
等と話す横で宿題が捗らない。
尊敬する先輩と、恋心を抱く相手がいる。
緊張するなと言う方が無理だ。
「オオカミさん。宿題終わった?」
「もうちょっと」
言われて慌ててプリントと向き合う。
そして終えたプリントを鞄に押し込んでから見る。
何故か二人はタナカの部屋にある漫画を読み漁っている。


「先輩の家には漫画ないんですか?」
「あるけど」
「ポチの部屋でいるとおじさんが乱入してきてちょっと、ね。今から鍛えよう。とか、学校はどうだ。とか」
「本人に悪気がないから質が悪い。コミュニケーションをしようとして失敗している父親の見本だな」
「そうっすか」
「今度俺の部屋来る?」
「え?」
タナカは驚き、必死に悩む。
(行きたい。行きたいけど、緊張する)

「なぁ。タナカ。エロ本とかないのか?」
犬飼が本棚を見ながら聞いてくる。
「え?」
「どうする?」
「やっぱベッドの下か」
「せ、いや。えっと」
「まずはポチ止めるか」
カラスは呆れたように首根っこを掴んで犬飼を止める。
「ポチの部屋のエロ本を机の上に置かれたくなければ止めなさい」
「おい。ちょっと待て。お前俺のエロ本の場所知ってるのか」
「襖の中にあるマンガ本入ったダンボールの下のほうにあるよね」
「なんで知ってんだよ」
「おばさんが世間話で溢していった。エロ本なんて隠さなくたっていいのに。思春期の男の子よね。って感じで」
「おふくろぉおお。くそっ。今度お前のところ探ってやる」
「いいけどさ。俺エロ本買ったことないんだよ?ちゃんと片付けてね」
犬飼は悔しそうに歯ぎしり中。
「そういえばそうだった」
「ないの?あ、ネットの」
「オオカミさんはネットか電子書籍タイプか」
しみじみ言われて、しまったと口を抑える。
自分の好みは流石に買いに行きづらい同性相手のだ。
「っていうか、カラスはどうなんだ?」
「んー。正直同性だろうと異性だろうとむらっとした感情持ったこと一度もないからねぇ。話としては面白いのは読みたいけど、大体似通ってしまってるからねぇ。なんだかんだでやって終わりみたいな印象が強くて。後修正済みなのも、ちょっと。あ、でもポチのエロ本は読むようにしてる」
「こいつ、無性愛者に近いらしい」
犬飼はカラスを示してから俺の漫画を勝手に読むなと騒ぐ。
「むせ、あいしゃ?」
「他人に対して性的興奮を持たない人。同性愛者でも異性愛者でもない人。とはいえ、まだ若いからねぇ。魅力的っていう人に会えてないだけかもしんないからそうだろうってことだね。やろうと思えばできると思うよ」
「今まであった中でこいつなら行けるって思ったやつはいないのか?」
「んー。オオカミさん?そういう系のイジメがいありそうだなって思う」
満面の笑顔にやめなさいと犬飼が止める。
「そういう系って」
「耳に吐息とか?舐める。とか、首にキスとか」
想像だけで顔が赤くなる。
寧ろやってほしい。
そこまで考えて振り払う。
「いやいやいや」
「お前なぁ。俺の後輩をいじめんじゃねぇぞ」
「はいはい」
カラスは本に目を落とす。

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