19 / 25
貴方を支える未来
5
しおりを挟む
この世界では女性がいなくなった後、大樹が子を授けるようになった。
大樹に花が咲くと子ができたという証になる。
どう判断しているのかはわからないが教会からその者へ連絡が行き、花から実になるまで大樹の側にあり続ける。
そして、大樹が実となったとき初めてその実は親の下へ司教たちから預けられる。
そしてその実が卵のように割れ、赤子が生まれ落ちる。
そこまで約一年ほどかかるとされている。
実授かった後、母となった親の体調が悪くなることもあるそうだ。
親から栄養をもらっているとされているが審議は定かではない。
ただ母体も安静にしなければならないと言われている所以である。
実はできる限り親元から離してはならない。
特に母体となる方からは。
放した場合、実が腐り、産まれなくなるからである。
それ以外にも病気で亡くなったりするが、うっかり離してしまうのが一番の原因だそうだ。
そして今回イネスはリーマン、長兄、義兄と時間を練って花を見に来た。
両親も見たいと言っていたが残念ながら実になるまでに来れなさそうである。
どれだろうとイネスは見上げ、すぐに気づく。
あれだ。と。
淡い茶色の花と、金に近い色合い。
我が家の血族に受け継がれる赤茶の髪色に義兄の髪色が花弁を彩って、オーロラのように輝いている。
ただ、その色だけでなく見た瞬間に兄上と義兄の子だと理解する。
「あれですね」
「そうそう。あの子だよ」
義兄は嬉しそうに見上げ、元気に育ってね。と小さく声をかけている。
長兄も義兄の肩を寄せている。
綺麗だ。と見上げる。
「イネス君もああやって我が子を授かる日が来ますよ」
「はい」
笑顔を返して、どんなふうに変化するのか、見守る。
産まれてきたらどんなことをしようかと考える。
「あ。イネス君。義兄さんたち」
騎士の服装をした青年がやってくる。
次男の婚約者が嬉しそうに近づいてくる。
なんというか犬のような雰囲気が漂っていて思わず撫でたくなるが相手は年上と自身を鎮める。
「久しぶり」
「お久しぶりです。あいつから義兄さんたちの子を授かったと聞いて、見に来たんです。まさか会えるとは思いませんでした。おめでとうございます」
「お仕事中なんですか?」
イネスは制服を見て疑問を口にする。
「休憩中です。新しい王太子の婚約者を迎える用意をしているんですが、どうしてもいても立ってもいられず」
兄達が自分を見る。
それで気づいたのか彼は笑みを溢すと頭を撫でてくる。
「何かあったらいつでも呼んでくれ。まだ、二、三年は務める予定だからな」
「ありがとうございます」
自分は恵まれてると頭を下げながら思う。
「それで、義兄さんたち。お祝いは何がいいですか?またあいつとは別に贈りますから連絡ください」
「ありがとうございます。また考えさせていただきます」
「それでどの花ですか?」
イネスはあれですと示し、綺麗な子を授かりそうだと喜んでいる。
他にも花があるが見ている人はいない。
親は今日はいないらしい。
「また明日くるからね」
と義兄は去り際、名残惜しそうに声をかけ続け、長兄にわかったからと引きずられる。
すいませんと司祭に謝ればよくある光景ですと言われる。
後で知るのだが木にくっついている間、実は親であろうと何人たりとも触れることはできない。
だが実になって親の手に委ねられたときから、気をつけることが山程あるそうだ。
次回から子育てなどの講習を教会で受けるらしい。
大樹に花が咲くと子ができたという証になる。
どう判断しているのかはわからないが教会からその者へ連絡が行き、花から実になるまで大樹の側にあり続ける。
そして、大樹が実となったとき初めてその実は親の下へ司教たちから預けられる。
そしてその実が卵のように割れ、赤子が生まれ落ちる。
そこまで約一年ほどかかるとされている。
実授かった後、母となった親の体調が悪くなることもあるそうだ。
親から栄養をもらっているとされているが審議は定かではない。
ただ母体も安静にしなければならないと言われている所以である。
実はできる限り親元から離してはならない。
特に母体となる方からは。
放した場合、実が腐り、産まれなくなるからである。
それ以外にも病気で亡くなったりするが、うっかり離してしまうのが一番の原因だそうだ。
そして今回イネスはリーマン、長兄、義兄と時間を練って花を見に来た。
両親も見たいと言っていたが残念ながら実になるまでに来れなさそうである。
どれだろうとイネスは見上げ、すぐに気づく。
あれだ。と。
淡い茶色の花と、金に近い色合い。
我が家の血族に受け継がれる赤茶の髪色に義兄の髪色が花弁を彩って、オーロラのように輝いている。
ただ、その色だけでなく見た瞬間に兄上と義兄の子だと理解する。
「あれですね」
「そうそう。あの子だよ」
義兄は嬉しそうに見上げ、元気に育ってね。と小さく声をかけている。
長兄も義兄の肩を寄せている。
綺麗だ。と見上げる。
「イネス君もああやって我が子を授かる日が来ますよ」
「はい」
笑顔を返して、どんなふうに変化するのか、見守る。
産まれてきたらどんなことをしようかと考える。
「あ。イネス君。義兄さんたち」
騎士の服装をした青年がやってくる。
次男の婚約者が嬉しそうに近づいてくる。
なんというか犬のような雰囲気が漂っていて思わず撫でたくなるが相手は年上と自身を鎮める。
「久しぶり」
「お久しぶりです。あいつから義兄さんたちの子を授かったと聞いて、見に来たんです。まさか会えるとは思いませんでした。おめでとうございます」
「お仕事中なんですか?」
イネスは制服を見て疑問を口にする。
「休憩中です。新しい王太子の婚約者を迎える用意をしているんですが、どうしてもいても立ってもいられず」
兄達が自分を見る。
それで気づいたのか彼は笑みを溢すと頭を撫でてくる。
「何かあったらいつでも呼んでくれ。まだ、二、三年は務める予定だからな」
「ありがとうございます」
自分は恵まれてると頭を下げながら思う。
「それで、義兄さんたち。お祝いは何がいいですか?またあいつとは別に贈りますから連絡ください」
「ありがとうございます。また考えさせていただきます」
「それでどの花ですか?」
イネスはあれですと示し、綺麗な子を授かりそうだと喜んでいる。
他にも花があるが見ている人はいない。
親は今日はいないらしい。
「また明日くるからね」
と義兄は去り際、名残惜しそうに声をかけ続け、長兄にわかったからと引きずられる。
すいませんと司祭に謝ればよくある光景ですと言われる。
後で知るのだが木にくっついている間、実は親であろうと何人たりとも触れることはできない。
だが実になって親の手に委ねられたときから、気をつけることが山程あるそうだ。
次回から子育てなどの講習を教会で受けるらしい。
1
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説

漆黒の瞳は何を見る
灯璃
BL
記憶を無くした青年が目覚めた世界は、妖、と呼ばれる異形の存在がいる和風の異世界だった
青年は目覚めた時、角を生やした浅黒い肌の端正な顔立ちの男性にイスミ アマネと呼びかけられたが、記憶が無く何も思い出せなかった……自分の名前すらも
男性は慌てたようにすぐに飛び去ってしまい、青年は何も聞けずに困惑する
そんな戸惑っていた青年は役人に捕えられ、都に搬送される事になった。そこで人々を統べるおひい様と呼ばれる女性に会い、あなたはこの世界を救う為に御柱様が遣わされた方だ、と言われても青年は何も思い出せなかった。経緯も、動機も。
ただチート級の能力はちゃんと貰っていたので、青年は仕方なく状況に流されるまま旅立ったのだが、自分を受け入れてくれたのは同じ姿形をしている人ではなく、妖の方だった……。
この世界では不吉だと人に忌み嫌われる漆黒の髪、漆黒の瞳をもった、自己肯定感の低い(容姿は可愛い)主人公が、人や妖と出会い、やがてこの世界を救うお話(になっていけば良いな)
※攻めとの絡みはだいぶ遅いです
※4/9 番外編 朱雀(妖たちの王の前)と終幕(最後)を更新しました。これにて本当に完結です。お読み頂き、ありがとうございました!

【完結】浮薄な文官は嘘をつく
七咲陸
BL
『薄幸文官志望は嘘をつく』 続編。
イヴ=スタームは王立騎士団の経理部の文官であった。
父に「スターム家再興のため、カシミール=グランティーノに近づき、篭絡し、金を引き出せ」と命令を受ける。
イヴはスターム家特有の治癒の力を使って、頭痛に悩んでいたカシミールに近づくことに成功してしまう。
カシミールに、「どうして俺の治癒をするのか教えてくれ」と言われ、焦ったイヴは『カシミールを好きだから』と嘘をついてしまった。
そう、これは───
浮薄で、浅はかな文官が、嘘をついたせいで全てを失った物語。
□『薄幸文官志望は嘘をつく』を読まなくても出来る限り大丈夫なようにしています。
□全17話

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
嫌われ公式愛妾役ですが夫だけはただの僕のガチ勢でした
ナイトウ
BL
BL小説大賞にご協力ありがとうございました!!
CP:不器用受ガチ勢伯爵夫攻め、女形役者受け
相手役は第11話から出てきます。
ロストリア帝国の首都セレンで女形の売れっ子役者をしていたルネは、皇帝エルドヴァルの為に公式愛妾を装い王宮に出仕し、王妃マリーズの代わりに貴族の反感を一手に受ける役割を引き受けた。
役目は無事終わり追放されたルネ。所属していた劇団に戻りまた役者業を再開しようとするも公式愛妾になるために偽装結婚したリリック伯爵に阻まれる。
そこで仕方なく、顔もろくに知らない夫と離婚し役者に戻るために彼の屋敷に向かうのだった。
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結
【完結】僕はキミ専属の魔力付与能力者
みやこ嬢
BL
【2025/01/24 完結、ファンタジーBL】
リアンはウラガヌス伯爵家の養い子。魔力がないという理由で貴族教育を受けさせてもらえないまま18の成人を迎えた。伯爵家の兄妹に良いように使われてきたリアンにとって唯一安らげる場所は月に数度訪れる孤児院だけ。その孤児院でたまに会う友人『サイ』と一緒に子どもたちと遊んでいる間は嫌なことを全て忘れられた。
ある日、リアンに魔力付与能力があることが判明する。能力を見抜いた魔法省職員ドロテアがウラガヌス伯爵家にリアンの今後について話に行くが、何故か軟禁されてしまう。ウラガヌス伯爵はリアンの能力を利用して高位貴族に娘を嫁がせようと画策していた。
そして見合いの日、リアンは初めて孤児院以外の場所で友人『サイ』に出会う。彼はレイディエーレ侯爵家の跡取り息子サイラスだったのだ。明らかな身分の違いや彼を騙す片棒を担いだ負い目からサイラスを拒絶してしまうリアン。
「君とは対等な友人だと思っていた」
素直になれない魔力付与能力者リアンと、無自覚なままリアンをそばに置こうとするサイラス。両片想い状態の二人が様々な障害を乗り越えて幸せを掴むまでの物語です。
【独占欲強め侯爵家跡取り×ワケあり魔力付与能力者】
* * *
2024/11/15 一瞬ホトラン入ってました。感謝!

王子様と魔法は取り扱いが難しい
南方まいこ
BL
とある舞踏会に出席したレジェ、そこで幼馴染に出会い、挨拶を交わしたのが運の尽き、おかしな魔道具が陳列する室内へと潜入し、うっかり触れた魔具の魔法が発動してしまう。
特殊な魔法がかかったレジェは、みるみるうちに体が縮み、十歳前後の身体になってしまい、元に戻る方法を探し始めるが、ちょっとした誤解から、幼馴染の行動がおかしな方向へ、更には過保護な執事も加わり、色々と面倒なことに――。
※濃縮版

闘病日記
さとう
BL
闘病中の男の子と、その彼氏
愛を取るのか、彼の幸せを取るのか。
体も心も弱まっていく中での闘病生活。
⚠
・特別な世界観(オメガバース等、非現実的な設定)はなし
・作品設定の都合上、文章が見ずらいです。横書き設定で読むことをおすすめします
・人間の生々しい感情表現を含むため、苦手だと思ったらブラウザバックをおすすめします🥲︎
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる