幸福からくる世界

林 業

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パーティーは賑やかに

その後の兄妹

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うさぎ耳の少女、キャロラインと少年、クリアスカイがララを撫で回している。
「ねぇねぇ。猫の精霊ってどんな感じ」
「すごいね。猫だ。ふわふわだよ」
「本当だね。猫で、ふわふわだ」
楽しそうな二人を薬草茶をすすりながら眺める。
この子達が来てから約三年。
その間に大分活発になったと眺める義兄であるハルシオ。

来た当初は、それこそウサギのように怯えて震え、二人くっついて離れようとしなかった。
むしろお風呂などで離そうとしてもやだぁあと泣きじゃくる始末。

致し方がないと毎度、二人一緒に入れていたのは懐かしい思い出。

今となっては二人で行動することは多いが、活発に精霊にちょっかいをかけている日々。

「あ、クローバーだ」
「燕だぁ」
楽しそうな二人は燕の精霊、クローバーを見て追いかけてはしゃぐ。

「キャロ。スカイ。あんまり家の中で暴れないでくれよ。大切な魔導具があるんだから」
「はーい」
きゃっきゃと楽しそうにはしゃぐ二人。

子供が散歩で来れる距離に工房と家を構えたとこと、一年ほどで遊びに来るようになった弟妹。

ドアが叩かれ、返事をすればルーンティルとサジタリスが入ってくる。
簡単な挨拶とお土産を受け取る。
相変わらず見た目年齢変わらないなぁと眺めつつ、お迎えだと兄妹二人に声をかける。
「お兄様。明日も来てもいい?」
「明日もララたちと遊ぶ。いいでしょ?」
上目遣いに訴えてくるが、今回はどうしても無理だと断る。
「明日はだめ。弟子たちと最後の仕上げしないと行けないからな」
「明日は僕は暇だから中庭でピクニックしようか」
「じゃあ、ジャックウィリーのカボチャ解体していい?」
「ジャックウィリーのかぼちゃで遊んでいい?頭を」
ジャックウィリーがひぃいと逃げ出すところを想像してしまうハルシオ。

「だーめ。精霊について聞きたいならジャックウィリーに教えてもらいなさい。明日は魔力注いで喋れるようにしてあげるから」
「えー」
「はーい」
二人がサジタリスと荷物をまとめている横でルーンティルを見る。
「できるんですか?ウィリーの頭」
相変わらず解体好きだねぇと呆れられる。
「多分無理だろうねぇ。あれ、弱点じゃないけど。あくまでも本人が痛がってるだけだし」
「つまり痛くないのに痛いと大げさに言っている可能性があるってことですよね?」
やっぱり芸人魂だと一人頷く。
「かもね。もしくはジャックウィリーの本体じゃない可能性もあるけど。まぁ、こっちに害があるわけじゃないからね。むしろ精霊に興味持ってるからって二人の子守してくれて助かってる」
あぁと頷く。
「あ、ウルカ。帰ったらブラッシングしてあげるね」
ルーンティルの肩から現れたウルカにキャロラインが手を振る。
ウルカはルーンティルから降りてキャロラインの肩によじ登る。
「オーラン。おいで。後で一緒にお風呂入ろう」
外で待っていたオーランを呼んで肩に止まらせるクリアスカイ。

二人は耳を隠すように帽子をかぶる。

それから二人を挟んで、四人一緒に手を繋いで帰っていく。

「お前ら、本当に精霊が好きだな」

「うん。好き」
「師父。私達も早く精霊と契約して仲良く遊びたいな」
「精霊の会議が来年にはあるからもうちょっとだけ我慢だよ」
「はーい」
クリアスカイのお腹が鳴る。
「ねぇ。師父。今日のご飯何?」
「今日は、パンプキンパイ。ジャックウィリーが美味しくできたって持ってきたから早速調理してみたんだ」
「やったー。パイだ」
「師父のパイ好き」
楽しそうな二人。
家の前でランタンと南瓜が浮かんでいる。
ジャックウィリーがこちら気づいてランタンを振ってくる。

二人は顔を見合わせて頷くと駆け出す。
「ジャックウィリー。解体させて」
「!」
やめてぇええ。とジャックウィリーが消える。

二人がたどり着く前に消えたため、二人は文句を口にする。
「ジャックウィリー。明日、二人に精霊について教えてあげてよ」
こくこくと恐ろしいと怯えながらもジャックウィリーはルーンティルの背後で頷くと消える。


二人はルーンティルとサジタリスを見て、抱きつく。
「おかえりなさい。師父。先生」
「はい。ただいま。そしておかえり」
「おかえり。キャロ。スカイ」
二人は顔を見合わせて嬉しそうに、幸せそうに笑う。

翌日ジャックウィリーの話を真剣に聞く二人。
お酒を一瓶をじっくり楽しみながら二人を眺めるルーンティル。
難しい話と早々に眠ってしまったサジタリス。



精霊に興味を持つ二人は後に、猛禽と、猛獣の精霊を携えた精霊医師となるが今はまだその片鱗すら見えてはいない。
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