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精霊たち井戸端会議
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夢か現か解らない。
目を開ければ顔に絆創膏を貼ったサジタリスがいる。
「僕、また、暴れた」
手を伸ばして、絆創膏に触れる。
「転んだだけだ」
「ハルシオは?」
「出かけたぞ」
「そっか。寂しい思いさせちゃった」
「あいつだって男だ。んな過保護にならなくたっていい」
頭に触れてくるその手のぬくもりに身を委ねる。
ドアが叩かれ、サジタリスが外に出る。
「あの」
ハルシオが心配そうに顔を覗かせる。
「あぁ。ルシオ。どうした?」
「これ」
花をサジタリスに渡す。
「先生と、師父に」
ルーンティルは体を起こして呼ぶ。
「師父。大丈夫ですか?」
「うん。元気元気。買ってきてくれたの?」
「はい。師父がお花好きって聞いて」
「良い子良い子」
ルーンティルに抱き締められ、恥ずかしいとも嬉しくともある。
「あ、それと今日の夜リーン医師が顔を見せに来ますって」
「飯、牛煮込みにしよう。買い物行ってくるからルシオ。お前、ルーといろ」
そう告げて、サジタリスが走っていく。
「先生って意外と子供好きですよね」
「無関心に見せて養い子たちは皆好きだね。それより、今日何してきたのか聞かせてくれる?」
「はい」
過去を聞いたとは言えなかったが今日の行動を語る。
言ったところで気にするなと言われるか、謝られるぐらいならば。
「楽しかった?」
「師父が心配でした」
素直に言えば良い子と頭を撫でられる。
「ちょっとだけ魔導具についてお話しようか」
「は、はい!」
大きく頷き、ノート取ってきますと走っていく。
急いで戻ってきて、ワクワクと側に座る。
「ちなみにハルシオは魔導具のどこが好きなの?」
「解体するの楽しいので」
解体。
やぱっりかと思いつつ今度修理があったら解体させてみるのも一興だと考える。
リースティーンは牛筋煮込みを口に運びつつ、ルーンティルを見る。
「お元気そうですね」
「いつだって元気だよ」
「それは良かったです」
「もっと食え」
サジタリスがリースティーンにご飯を盛り込んでいく。
「ルシオもだ」
「俺お腹いっぱい」
「じゃあ、猫。お前が食え。トカゲたちも食うか?」
牛肉を示して、トカゲ達は食べると我先にと飛び出してくる。
慌ててフィーアと、ララが近寄っていく。
「今日どれだけ作られたんですか?」
「安かったから。売れ残ったのを」
サジタリスが持ち上げればオウルが取り、下へと向ければ、ウルカが奪う。
二人の主人の膝に乗ったルークスとレイアンに渡せば噛み付いている。
ララも棒に注意して齧っている。
「魚。お前は?」
いらないと尻尾を向けて、ルーンティルに擦り寄る。
「フィーア。こっち食べるか?」
野菜を示せばやったと口に運ぶ。
サジタリスが裏拳をすれば南瓜が地面に落ちる。
「!っ!」
南瓜、基、ジャックウィリーが顔を抱えて暴れる。
「かぼちゃ。お前食えるのか」
こくこくと頷くとしゃねぇなとサジタリスが渡す。
嬉しそうにくり抜いたカボチャの口だろう部分に放り込んでいる。
「そうやって食うのか」
じっと眺めるとひたすら口へと放り込みだすサジタリス。
「ああいうところがリスペクトであり、恐れなんだと思うんだけどなぁ」
とりあえず止めるかとルーンティルはサジタリスに声をかける。
「サジ君。冷蔵庫にケーキあるから一緒に食べよう」
「おう」
サジタリスは嬉しそうに笑う。
ジャックウィリーは助けられたと嬉しそうに眺めてくるがかぼちゃの一部はかけている上に、オウルに突かれ、ごめんなさいと逃げ出す。
目を開ければ顔に絆創膏を貼ったサジタリスがいる。
「僕、また、暴れた」
手を伸ばして、絆創膏に触れる。
「転んだだけだ」
「ハルシオは?」
「出かけたぞ」
「そっか。寂しい思いさせちゃった」
「あいつだって男だ。んな過保護にならなくたっていい」
頭に触れてくるその手のぬくもりに身を委ねる。
ドアが叩かれ、サジタリスが外に出る。
「あの」
ハルシオが心配そうに顔を覗かせる。
「あぁ。ルシオ。どうした?」
「これ」
花をサジタリスに渡す。
「先生と、師父に」
ルーンティルは体を起こして呼ぶ。
「師父。大丈夫ですか?」
「うん。元気元気。買ってきてくれたの?」
「はい。師父がお花好きって聞いて」
「良い子良い子」
ルーンティルに抱き締められ、恥ずかしいとも嬉しくともある。
「あ、それと今日の夜リーン医師が顔を見せに来ますって」
「飯、牛煮込みにしよう。買い物行ってくるからルシオ。お前、ルーといろ」
そう告げて、サジタリスが走っていく。
「先生って意外と子供好きですよね」
「無関心に見せて養い子たちは皆好きだね。それより、今日何してきたのか聞かせてくれる?」
「はい」
過去を聞いたとは言えなかったが今日の行動を語る。
言ったところで気にするなと言われるか、謝られるぐらいならば。
「楽しかった?」
「師父が心配でした」
素直に言えば良い子と頭を撫でられる。
「ちょっとだけ魔導具についてお話しようか」
「は、はい!」
大きく頷き、ノート取ってきますと走っていく。
急いで戻ってきて、ワクワクと側に座る。
「ちなみにハルシオは魔導具のどこが好きなの?」
「解体するの楽しいので」
解体。
やぱっりかと思いつつ今度修理があったら解体させてみるのも一興だと考える。
リースティーンは牛筋煮込みを口に運びつつ、ルーンティルを見る。
「お元気そうですね」
「いつだって元気だよ」
「それは良かったです」
「もっと食え」
サジタリスがリースティーンにご飯を盛り込んでいく。
「ルシオもだ」
「俺お腹いっぱい」
「じゃあ、猫。お前が食え。トカゲたちも食うか?」
牛肉を示して、トカゲ達は食べると我先にと飛び出してくる。
慌ててフィーアと、ララが近寄っていく。
「今日どれだけ作られたんですか?」
「安かったから。売れ残ったのを」
サジタリスが持ち上げればオウルが取り、下へと向ければ、ウルカが奪う。
二人の主人の膝に乗ったルークスとレイアンに渡せば噛み付いている。
ララも棒に注意して齧っている。
「魚。お前は?」
いらないと尻尾を向けて、ルーンティルに擦り寄る。
「フィーア。こっち食べるか?」
野菜を示せばやったと口に運ぶ。
サジタリスが裏拳をすれば南瓜が地面に落ちる。
「!っ!」
南瓜、基、ジャックウィリーが顔を抱えて暴れる。
「かぼちゃ。お前食えるのか」
こくこくと頷くとしゃねぇなとサジタリスが渡す。
嬉しそうにくり抜いたカボチャの口だろう部分に放り込んでいる。
「そうやって食うのか」
じっと眺めるとひたすら口へと放り込みだすサジタリス。
「ああいうところがリスペクトであり、恐れなんだと思うんだけどなぁ」
とりあえず止めるかとルーンティルはサジタリスに声をかける。
「サジ君。冷蔵庫にケーキあるから一緒に食べよう」
「おう」
サジタリスは嬉しそうに笑う。
ジャックウィリーは助けられたと嬉しそうに眺めてくるがかぼちゃの一部はかけている上に、オウルに突かれ、ごめんなさいと逃げ出す。
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