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精霊たち井戸端会議
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目を開ければララが覗き込んでくる。
「おはよう。ララ」
抱き上げて、オーブンへと行けばレイアンと寄り添うクラークがいる。
「レイアン。クラーク。おはよう」
二匹が嬉しそうに顔を上げて目を細めてくる。
今後、クラークはレイアンとここで過ごすらしい。
お出かけのときはララがいれば出歩けるらしいが、他の人の接触は厳禁らしい。
「居心地いい?」
(いいよ。お引っ越しのとき同じようなの作って)
「考えとく」
結構高額な材料でできていたはずだ。
早々承諾できずに答える。
「レイアン、ありがとう」
にぱっと嬉しそうに笑うレイアン。
サジタリスがやってくるので後ろを見る。
「先生。おはようございます」
頬にある絆創膏に驚いて眺める。
「えっと、喧嘩ですか?」
「いや。ちょっと調子が悪いらしいから寝かせてる」
「大丈夫ですか?」
「あぁ。今日はお小遣いやるから街に出かけてもいいし中庭で精霊たちと遊んでもいいし、金属加工だけなら触っても良いそうだから好きにするといい」
「リーン医者呼んできましょうか」
「いやいい。薬飲ませて落ち着いたから。とりあえず一日静かにさせとく」
「わかりました」
「出かけるときは声かけてくれ」
任せろとララがにゃと声を出す。
朝はご飯を食べてから、精霊たちと中庭で会話をしつつ、金属加工を行う。
(魔力多かったら違うのかな)
(主人。それは違うなぁ)
のんびりとララに擦り寄られながらクラークが告げる。
にゃにゃと楽しそうなララを眺めながらクラークを見る。
(その金属の変質は、金属の中にある魔力に自分の魔力を馴染ませて変化させるもんだ。だから金属の中の魔力を理解しないと難しい。しかも目で見えたりできるほど強大でもないから、のんびり感覚を掴むんだ)
「それが難しいんだけどな」
見上げれば、ルーンティルの部屋の窓が開いておる。
大丈夫かなと見上げてから、かぼちゃが目の前に現れる。
「うわぁああああ」
思わず逃げ出し、威嚇するように眺める。
ララに威嚇され、クラークに火を吹かれてしょんぼりと項垂れる様子に深呼吸をしてから声をかける。
「う、ウィリーさん」
彼は窓を見てから大丈夫大丈夫と言わんばかりに揺れている。
外でご飯を食べてくるとお昼前に出かけ、リースティーンの所に顔を出す。
「あ、いらっしゃい。ハルシオ君」
嬉しそうに微笑まれて、安堵して近づく。
「リーン医師。今大丈夫ですか?」
「いいよ。あ、精霊契約おめでとう」
「は、はい。ありがとうございます」
照れくさくなりつつ、ララを呼ぶ。
「猫型か。てっきりトカゲかと」
「は、お家のレイアンのところを間借りしてます」
「あぁ。なるほどね。火精霊か」
「はい」
「それよりどうかした?」
「あの、師父が体調を崩されたらしくて」
「あ、あー」
「先生は平気だって言うんですけど」
「風邪とかじゃないと思うから大丈夫だよ。そっちだと即座に医者に連れて行かれるから」
大丈夫大丈夫と頭を撫でられ、ほっと安堵。
「そ、そうですよね」
おいでと中へと招かれる。
「今何処までならった?」
「あ、その、金属加工を」
「あー。難しいよね。あれ」
「はい。リーン医師も?」
「そこで躓いたんだ。何も助言ができることはなくてごめんね」
「いえ。頑張ってみます。リーン医師は精霊がいらっしゃるんですか?」
「残念ながら機会が訪れなくてね。今から行く?ってたまに誘われるんだけど、辞退しているよ。師父の下で育った子供たちの何人かは精霊使いとして活躍している人もいるけどね。一応君のことは師父が末の養い子として他の人たちにも知らせてあるからそのうち顔を出すかもね。僕も含めて、兄さん姉さん。って呼んであげると喜ぶよ」
「が、頑張ります」
「ご飯、食べてく?」
「お弁当あるので」
「じゃあ、お茶を入れるからちょっとした昔話に付き合ってくれない?」
「昔話?」
「先生と師父の、君が来るちょっと前のお話」
「は、はい」
喜んでと後を追う。
「おはよう。ララ」
抱き上げて、オーブンへと行けばレイアンと寄り添うクラークがいる。
「レイアン。クラーク。おはよう」
二匹が嬉しそうに顔を上げて目を細めてくる。
今後、クラークはレイアンとここで過ごすらしい。
お出かけのときはララがいれば出歩けるらしいが、他の人の接触は厳禁らしい。
「居心地いい?」
(いいよ。お引っ越しのとき同じようなの作って)
「考えとく」
結構高額な材料でできていたはずだ。
早々承諾できずに答える。
「レイアン、ありがとう」
にぱっと嬉しそうに笑うレイアン。
サジタリスがやってくるので後ろを見る。
「先生。おはようございます」
頬にある絆創膏に驚いて眺める。
「えっと、喧嘩ですか?」
「いや。ちょっと調子が悪いらしいから寝かせてる」
「大丈夫ですか?」
「あぁ。今日はお小遣いやるから街に出かけてもいいし中庭で精霊たちと遊んでもいいし、金属加工だけなら触っても良いそうだから好きにするといい」
「リーン医者呼んできましょうか」
「いやいい。薬飲ませて落ち着いたから。とりあえず一日静かにさせとく」
「わかりました」
「出かけるときは声かけてくれ」
任せろとララがにゃと声を出す。
朝はご飯を食べてから、精霊たちと中庭で会話をしつつ、金属加工を行う。
(魔力多かったら違うのかな)
(主人。それは違うなぁ)
のんびりとララに擦り寄られながらクラークが告げる。
にゃにゃと楽しそうなララを眺めながらクラークを見る。
(その金属の変質は、金属の中にある魔力に自分の魔力を馴染ませて変化させるもんだ。だから金属の中の魔力を理解しないと難しい。しかも目で見えたりできるほど強大でもないから、のんびり感覚を掴むんだ)
「それが難しいんだけどな」
見上げれば、ルーンティルの部屋の窓が開いておる。
大丈夫かなと見上げてから、かぼちゃが目の前に現れる。
「うわぁああああ」
思わず逃げ出し、威嚇するように眺める。
ララに威嚇され、クラークに火を吹かれてしょんぼりと項垂れる様子に深呼吸をしてから声をかける。
「う、ウィリーさん」
彼は窓を見てから大丈夫大丈夫と言わんばかりに揺れている。
外でご飯を食べてくるとお昼前に出かけ、リースティーンの所に顔を出す。
「あ、いらっしゃい。ハルシオ君」
嬉しそうに微笑まれて、安堵して近づく。
「リーン医師。今大丈夫ですか?」
「いいよ。あ、精霊契約おめでとう」
「は、はい。ありがとうございます」
照れくさくなりつつ、ララを呼ぶ。
「猫型か。てっきりトカゲかと」
「は、お家のレイアンのところを間借りしてます」
「あぁ。なるほどね。火精霊か」
「はい」
「それよりどうかした?」
「あの、師父が体調を崩されたらしくて」
「あ、あー」
「先生は平気だって言うんですけど」
「風邪とかじゃないと思うから大丈夫だよ。そっちだと即座に医者に連れて行かれるから」
大丈夫大丈夫と頭を撫でられ、ほっと安堵。
「そ、そうですよね」
おいでと中へと招かれる。
「今何処までならった?」
「あ、その、金属加工を」
「あー。難しいよね。あれ」
「はい。リーン医師も?」
「そこで躓いたんだ。何も助言ができることはなくてごめんね」
「いえ。頑張ってみます。リーン医師は精霊がいらっしゃるんですか?」
「残念ながら機会が訪れなくてね。今から行く?ってたまに誘われるんだけど、辞退しているよ。師父の下で育った子供たちの何人かは精霊使いとして活躍している人もいるけどね。一応君のことは師父が末の養い子として他の人たちにも知らせてあるからそのうち顔を出すかもね。僕も含めて、兄さん姉さん。って呼んであげると喜ぶよ」
「が、頑張ります」
「ご飯、食べてく?」
「お弁当あるので」
「じゃあ、お茶を入れるからちょっとした昔話に付き合ってくれない?」
「昔話?」
「先生と師父の、君が来るちょっと前のお話」
「は、はい」
喜んでと後を追う。
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