幸福からくる世界

林 業

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ある大陸のある国にて

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ルーンティルと買い物に向かう。
相変わらず賑やかな市場。

「おや。師父。今日は医者の息子さんとお出かけかい」
「サジタリスがお出かけでね。検査も含めて泊めてもらているんだ」

リースティーンは相変わらず息子を否定しないんだなぁと内心で嬉しくなる。
リースティーンは生みの親には感謝している。
ただ早くに亡くなったためほとんど記憶に残っておらず、親と言われたらサジタリスとルーンティルを浮かべる。


「今日のご飯何にしようか」

ゆっくり歩く彼の歩幅に合わせて歩く。
「そうですねぇ」


杖を付く、親代わりの彼の歩行を手伝いながら街を歩く。
「師父。この間の礼にこれ持っていってくれよ」
山盛りのフルーツを差し出される。
「いやいや。ラーク君の商売道具だよね」
「そうなんですけどね。傷もあるしあんま売りものになんないんで良かったら食べてやってください」
「そっか。ありがとう」
笑顔を返して受け取る。

相変わらず街の人の名前覚えているのかと眺める。

「そろそろ新しい子引き取るのかい?」
「いやー。今は自分の世話で大変だからね。まぁ、そのうちかなぁ」
のんびりと街の人たちと世間話をしながら今夜のご飯の話題を始めている。

果物を見てからふと思い出したように告げる。
「そうだ。今度パイでも作って色々と差し入れしようか。そろそろスリーラ君が試験って言ってたし」
「すり、誰です?」
「知り合いの息子さん。こっちに留学しているんだよ。ほっとくと勉強ばっかりしててご飯食べないから時々見に行くんだ」
「へぇ」
それにしてもとルーンティルを見る。
三十人近くの師弟、親子関係を気づいてきた人間にしては見た目が若く人間なのかと囁かれている彼。
ただその人柄ゆえからか街の人々には信頼されている。

リースティーンも育てられた一人であると同時に、末の弟として彼の育てた子供、義兄弟たちから末っ子として甘やかし、口出されることしばしば。
(新しい弟妹、引き取らないかな)
等と最近、過干渉になりそうな兄弟を思い返して憂鬱になる。

病院を開院したときには隣国からわざわざ擦り傷をこしらえてやってきた義兄妹がいた。
ほとんど治ってますと追い返したのはいい思い出。

結婚したら余計に干渉してきそうではある。

仲良く優しくしてくれてありがたいが、いい大人なのだと義兄妹には理解してほしい。

そろそろ自分も兄弟として下の子の面倒みたり可愛がりたい。
が、ルーンティルの様子からまだ当分先だろうことは理解できる。
「弟でも妹でもいいからほしいなぁ」
「そのうちね。そういえば、上の子たち。会ってないなぁ。もうちょっと体調良くなったら顔を見せに行こうかな」
上の子たち。と言われて、数年前に出会った彼らを思い出す。
「ティル兄さんたちのことですか?」
何年か前に出会い、未だに手紙や、お小遣いとお金を送ってくれる長男、次女たちを思い出す。
お金は大丈夫ですと突っ返そうとするが可愛い末弟であり、将来有望な医者に投資しているんだと。と返ってくるのでありがたく受け取るしかない。
「そーそー。手紙は届くし送るんだけどね。お互いにあんまり今住んでる場所離れたがらない」
「まぁ、元気そうですよ。姉さん方も含めて」
「そっかぁ」
何か考えている様子にそれより晩御飯ですよ。とご飯について語る。
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