3 / 44
ある大陸のある国にて
3
しおりを挟む
ルーンティルと買い物に向かう。
相変わらず賑やかな市場。
「おや。師父。今日は医者の息子さんとお出かけかい」
「サジタリスがお出かけでね。検査も含めて泊めてもらているんだ」
リースティーンは相変わらず息子を否定しないんだなぁと内心で嬉しくなる。
リースティーンは生みの親には感謝している。
ただ早くに亡くなったためほとんど記憶に残っておらず、親と言われたらサジタリスとルーンティルを浮かべる。
「今日のご飯何にしようか」
ゆっくり歩く彼の歩幅に合わせて歩く。
「そうですねぇ」
杖を付く、親代わりの彼の歩行を手伝いながら街を歩く。
「師父。この間の礼にこれ持っていってくれよ」
山盛りのフルーツを差し出される。
「いやいや。ラーク君の商売道具だよね」
「そうなんですけどね。傷もあるしあんま売りものになんないんで良かったら食べてやってください」
「そっか。ありがとう」
笑顔を返して受け取る。
相変わらず街の人の名前覚えているのかと眺める。
「そろそろ新しい子引き取るのかい?」
「いやー。今は自分の世話で大変だからね。まぁ、そのうちかなぁ」
のんびりと街の人たちと世間話をしながら今夜のご飯の話題を始めている。
果物を見てからふと思い出したように告げる。
「そうだ。今度パイでも作って色々と差し入れしようか。そろそろスリーラ君が試験って言ってたし」
「すり、誰です?」
「知り合いの息子さん。こっちに留学しているんだよ。ほっとくと勉強ばっかりしててご飯食べないから時々見に行くんだ」
「へぇ」
それにしてもとルーンティルを見る。
三十人近くの師弟、親子関係を気づいてきた人間にしては見た目が若く人間なのかと囁かれている彼。
ただその人柄ゆえからか街の人々には信頼されている。
リースティーンも育てられた一人であると同時に、末の弟として彼の育てた子供、義兄弟たちから末っ子として甘やかし、口出されることしばしば。
(新しい弟妹、引き取らないかな)
等と最近、過干渉になりそうな兄弟を思い返して憂鬱になる。
病院を開院したときには隣国からわざわざ擦り傷をこしらえてやってきた義兄妹がいた。
ほとんど治ってますと追い返したのはいい思い出。
結婚したら余計に干渉してきそうではある。
仲良く優しくしてくれてありがたいが、いい大人なのだと義兄妹には理解してほしい。
そろそろ自分も兄弟として下の子の面倒みたり可愛がりたい。
が、ルーンティルの様子からまだ当分先だろうことは理解できる。
「弟でも妹でもいいからほしいなぁ」
「そのうちね。そういえば、上の子たち。会ってないなぁ。もうちょっと体調良くなったら顔を見せに行こうかな」
上の子たち。と言われて、数年前に出会った彼らを思い出す。
「ティル兄さんたちのことですか?」
何年か前に出会い、未だに手紙や、お小遣いとお金を送ってくれる長男、次女たちを思い出す。
お金は大丈夫ですと突っ返そうとするが可愛い末弟であり、将来有望な医者に投資しているんだと。と返ってくるのでありがたく受け取るしかない。
「そーそー。手紙は届くし送るんだけどね。お互いにあんまり今住んでる場所離れたがらない」
「まぁ、元気そうですよ。姉さん方も含めて」
「そっかぁ」
何か考えている様子にそれより晩御飯ですよ。とご飯について語る。
相変わらず賑やかな市場。
「おや。師父。今日は医者の息子さんとお出かけかい」
「サジタリスがお出かけでね。検査も含めて泊めてもらているんだ」
リースティーンは相変わらず息子を否定しないんだなぁと内心で嬉しくなる。
リースティーンは生みの親には感謝している。
ただ早くに亡くなったためほとんど記憶に残っておらず、親と言われたらサジタリスとルーンティルを浮かべる。
「今日のご飯何にしようか」
ゆっくり歩く彼の歩幅に合わせて歩く。
「そうですねぇ」
杖を付く、親代わりの彼の歩行を手伝いながら街を歩く。
「師父。この間の礼にこれ持っていってくれよ」
山盛りのフルーツを差し出される。
「いやいや。ラーク君の商売道具だよね」
「そうなんですけどね。傷もあるしあんま売りものになんないんで良かったら食べてやってください」
「そっか。ありがとう」
笑顔を返して受け取る。
相変わらず街の人の名前覚えているのかと眺める。
「そろそろ新しい子引き取るのかい?」
「いやー。今は自分の世話で大変だからね。まぁ、そのうちかなぁ」
のんびりと街の人たちと世間話をしながら今夜のご飯の話題を始めている。
果物を見てからふと思い出したように告げる。
「そうだ。今度パイでも作って色々と差し入れしようか。そろそろスリーラ君が試験って言ってたし」
「すり、誰です?」
「知り合いの息子さん。こっちに留学しているんだよ。ほっとくと勉強ばっかりしててご飯食べないから時々見に行くんだ」
「へぇ」
それにしてもとルーンティルを見る。
三十人近くの師弟、親子関係を気づいてきた人間にしては見た目が若く人間なのかと囁かれている彼。
ただその人柄ゆえからか街の人々には信頼されている。
リースティーンも育てられた一人であると同時に、末の弟として彼の育てた子供、義兄弟たちから末っ子として甘やかし、口出されることしばしば。
(新しい弟妹、引き取らないかな)
等と最近、過干渉になりそうな兄弟を思い返して憂鬱になる。
病院を開院したときには隣国からわざわざ擦り傷をこしらえてやってきた義兄妹がいた。
ほとんど治ってますと追い返したのはいい思い出。
結婚したら余計に干渉してきそうではある。
仲良く優しくしてくれてありがたいが、いい大人なのだと義兄妹には理解してほしい。
そろそろ自分も兄弟として下の子の面倒みたり可愛がりたい。
が、ルーンティルの様子からまだ当分先だろうことは理解できる。
「弟でも妹でもいいからほしいなぁ」
「そのうちね。そういえば、上の子たち。会ってないなぁ。もうちょっと体調良くなったら顔を見せに行こうかな」
上の子たち。と言われて、数年前に出会った彼らを思い出す。
「ティル兄さんたちのことですか?」
何年か前に出会い、未だに手紙や、お小遣いとお金を送ってくれる長男、次女たちを思い出す。
お金は大丈夫ですと突っ返そうとするが可愛い末弟であり、将来有望な医者に投資しているんだと。と返ってくるのでありがたく受け取るしかない。
「そーそー。手紙は届くし送るんだけどね。お互いにあんまり今住んでる場所離れたがらない」
「まぁ、元気そうですよ。姉さん方も含めて」
「そっかぁ」
何か考えている様子にそれより晩御飯ですよ。とご飯について語る。
1
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
帝国皇子のお婿さんになりました
クリム
BL
帝国の皇太子エリファス・ロータスとの婚姻を神殿で誓った瞬間、ハルシオン・アスターは自分の前世を思い出す。普通の日本人主婦だったことを。
そして『白い結婚』だったはずの婚姻後、皇太子の寝室に呼ばれることになり、ハルシオンはひた隠しにして来た事実に直面する。王族の姫が19歳まで独身を貫いたこと、その真実が暴かれると、出自の小王国は滅ぼされかねない。
「それなら皇太子殿下に一服盛りますかね、主様」
「そうだね、クーちゃん。ついでに血袋で寝台を汚してなんちゃって既成事実を」
「では、盛って服を乱して、血を……主様、これ……いや、まさかやる気ですか?」
「うん、クーちゃん」
「クーちゃんではありません、クー・チャンです。あ、主様、やめてください!」
これは隣国の帝国皇太子に嫁いだ小王国の『姫君』のお話。
【再掲】オメガバースの世界のΩが異世界召喚でオメガバースではない世界へ行って溺愛されてます
緒沢 利乃
BL
突然、異世界に召喚されたΩ(オメガ)の帯刀瑠偉。
運命の番は信じていないけれど、愛している人と結ばれたいとは思っていたのに、ある日、親に騙されてα(アルファ)とのお見合いをすることになってしまう。
独身の俺を心配しているのはわかるけど、騙されたことに腹を立てた俺は、無理矢理のお見合いに反発してホテルの二階からダーイブ!
そして、神子召喚として異世界へこんにちは。
ここは女性が極端に少ない世界。妊娠できる女性が貴ばれる世界。
およそ百年に一人、鷹の痣を体に持つ選ばれた男を聖痕者とし、その者が世界の中心の聖地にて祈ると伴侶が現れるという神子召喚。そのチャンスは一年に一度、生涯で四回のみ。
今代の聖痕者は西国の王太子、最後のチャンス四回目の祈りで見事召喚に成功したのだが……俺?
「……今代の神子は……男性です」
神子召喚された神子は聖痕者の伴侶になり、聖痕者の住む国を繁栄に導くと言われているが……。
でも、俺、男……。
Ωなので妊娠できるんだけどなー、と思ったけど黙っておこう。
望んで来た世界じゃないのに、聖痕者の異母弟はムカつくし、聖痕者の元婚約者は意地悪だし、そんでもって聖痕者は溺愛してくるって、なんなんだーっ。
αとのお見合いが嫌で逃げた異世界で、なんだが不憫なイケメンに絆されて愛し合ってしまうかも?
以前、別名義で掲載した作品の再掲載となります。
王子様と魔法は取り扱いが難しい
南方まいこ
BL
とある舞踏会に出席したレジェ、そこで幼馴染に出会い、挨拶を交わしたのが運の尽き、おかしな魔道具が陳列する室内へと潜入し、うっかり触れた魔具の魔法が発動してしまう。
特殊な魔法がかかったレジェは、みるみるうちに体が縮み、十歳前後の身体になってしまい、元に戻る方法を探し始めるが、ちょっとした誤解から、幼馴染の行動がおかしな方向へ、更には過保護な執事も加わり、色々と面倒なことに――。
※濃縮版
[長編版]異世界転移したら九尾の子狐のパパ認定されました
ミクリ21
BL
長編版では、子狐と主人公加藤 純也(カトウ ジュンヤ)の恋愛をメインにします。(BL)
ショートショート版は、一話読み切りとなっています。(ファンタジー)
狼くんは耳と尻尾に視線を感じる
犬派だんぜん
BL
俺は狼の獣人で、幼馴染と街で冒険者に登録したばかりの15歳だ。この街にアイテムボックス持ちが来るという噂は俺たちには関係ないことだと思っていたのに、初心者講習で一緒になってしまった。気が弱そうなそいつをほっとけなくて声をかけたけど、俺の耳と尻尾を見られてる気がする。
『世界を越えてもその手は』外伝。「アルとの出会い」「アルとの転機」のキリシュの話です。
冤罪で投獄された異世界で、脱獄からスローライフを手に入れろ!
風早 るう
BL
ある日突然異世界へ転移した25歳の青年学人(マナト)は、無実の罪で投獄されてしまう。
物騒な囚人達に囲まれた監獄生活は、平和な日本でサラリーマンをしていたマナトにとって当然過酷だった。
異世界転移したとはいえ、何の魔力もなく、標準的な日本人男性の体格しかないマナトは、囚人達から揶揄われ、性的な嫌がらせまで受ける始末。
失意のどん底に落ちた時、新しい囚人がやって来る。
その飛び抜けて綺麗な顔をした青年、グレイを見た他の囚人達は色めき立ち、彼をモノにしようとちょっかいをかけにいくが、彼はとんでもなく強かった。
とある罪で投獄されたが、仲間思いで弱い者を守ろうとするグレイに助けられ、マナトは急速に彼に惹かれていく。
しかし監獄の外では魔王が復活してしまい、マナトに隠された神秘の力が必要に…。
脱獄から魔王討伐し、異世界でスローライフを目指すお話です。
*異世界もの初挑戦で、かなりのご都合展開です。
*性描写はライトです。
仄仄
papiko
BL
ルルニアは、没落寸前の男爵家の三男だった。没落寸前だというのに、貴族思考が捨てられなかった両親に売られ、伯爵家であるシルヴェルに引き取られた。
養子のルルニアと養父のシルヴェル、それから使用人たちの仄仄(ほのぼの)としたお話。
※かわいいを目指して。
※気持ちBL
※保険のR15指定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる