僕のおじさんは☓☓でした

林 業

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家の中を探検して、間取りを把握する。
観音寺と書かれたネームプレートの書かれたドア。
ノックするが返事はないので諦めて隣を見る。
霧島と書かれた部屋。
部屋主はいないので今度お邪魔することにする。
プレートは新しく見えるのでわざわざ買って来たことが伺える。
リビングに行けば、横になって寝ている伯父。

覗き込めば、起きる気配はない。
毛布はないかと探すが、見当たらない。
だが、唐突に毛布が出てきて、お礼を言いながら受け取り、しかし誰だ。と見上げる。
「はじめまして」
中性的な顔立ちで笑えばもてること間違いないだろう。
しかし無愛想の一言に尽きる。
「え、えっと」
「あれ。キョウヘイ。帰って来たのか」
「ちょっと畑の様子見に行っていた」
「あぁ。おつかれ」
「えっと。ソウスケおじさん」
レンがソウスケを見れば、ソウスケは一度彼を見て示す。
「こいつが観音寺、京平。若干人見知りするタイプでな。愛想無いのは緊張してんだ」
「キョウヘイです。よろしく。何かあったらすぐ言ってくれるとありがたい」
「あ。はい。男の、人だったんだ」
「電話でも話しただろ」
「てっきりおじさんの恋人だと思って、女の人だって思ってた」
何故か二人が固まり、しかしすぐにキョウヘイが動き出す。
「今日の晩御飯野菜一杯カレー。カレー好き、か?」
「うん。好き」
「よし」
満足そうに頷く。
「肉は?」
ソウスケは体を伸ばしながら聞いてくる。
「鶏肉」
「そこは牛か豚だろ?」
キョウヘイが素早くソウスケの胸ぐらを掴んでいる。
「安かったんだ。文句あるか?」
「いいえ。ありません」
やっぱり尻に敷かれてると思う。



レンはカレーを口にする。
「美味しい」
野菜は苦手だがこれなら美味しく食べれる。
「甘口」
ぼそりと呟くソウスケに、キョウヘイはカレーの辛味を渡す。
「お手数おかけします」
ソウスケは早速と味を調整して食べている。
「うん。これこれ。うまいうまい」
満足そうにしているソウスケ。
「レン君。おかわりは?遠慮いらないからな」
「じゃあ。俺が」
ソウスケが手を挙げようとして睨まれる。

「食べ終わってから言います」

「お、おじさんたちってどういう知り合いなの?」
「ソウスケが元ホストでそいつの店の店主と知り合いで通ってた」
「あ」
ソウスケが固まり、キョウヘイはソウスケを見てから告げる。
「ホスト言ってない、のか?」
コクコクと頷くソウスケ。
「おじさん。元ホスト?じゃあ、接客業なのは?」
「バイトでホストだったんだ。レンが大人になってから色々言うつもりだったんだ」
「ごめん。てっきり」
「妹に、俺が子供に関わるのは悪影響だと家を出る前から言われてた。だから今は言わないことにしてたんだ」
「僕は別におじさんは悪い人じゃないと思ってる」
「ちがうともそうとも言いづらい」
「それにホストだろうとおじさんはおじさんだ」
「詳しいことはせめて高校になってからな」
乱暴に頭を撫でられ、渋々頷く。
「キョウヘイ、言わなくて悪かったな」
「ごめん」
「いいって」
「じゃあさ。なんで一緒に住んでるの」
「あー。元々息があったんだけどな。俺がこっちに就職したときに、キョウヘイが農家になりたいから。って言い出して、自分の家捨てる覚悟でこっち来てる。でいいのか?」
こくりと頷くキョウヘイ。
「ちなみにお前の家、言っていいのか?いいのか。こいつ金持ちのぼっちゃん。いわゆる御曹司ってやつだ」
「いるんだ」
「次男坊だから後継ぎじゃない。好き勝手やっていいって言質は取ってる」
なのにと何か思い出したのかカレーを口に運ぶ。
「あー。とりあえず明日は仕事あるから朝からいない。昼飯、弁当作る。でいいか?」
「うん」
「外に散歩行ってもいいけど、山や森ん中はまだ入るなよ」
「わかりました」
頷いてカレーを食べる。

母の味とは違うが、これも好きな味と伯父を見る。
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