15 / 15
部下
しおりを挟む
にこにことお話しながら、何度も惜しげなく通い、きっちり、案件を取るそんな姿に憧れた。
「先輩は凄いんですよ」
台所でお茶を用意している横でトウマという男に語る。
自分しか知らない姿を。
彼は知らない姿を。
先日、戻ってきてほしいとお願いしたが、無理とやんわり断られた。
なのにこんな男に走るなんて。
「先輩はどーんな厄介な取引相手にも笑顔で対応していつの間にかお互いにいいプランを提供できる凄いやり手なんですよ」
「ほー」
「他の人が匙投げたところだって、笑顔でいつのまにか丸め込まれていてですね」
「それ、褒められてますか?」
先輩の気配がする。
「も、もちろんですよ」
先輩がお茶を持って戻ってくる。
お茶を自分とトウマに渡す。
「トウマさんをあまり困らせないであげてください。困っている姿も可愛いんですけどねぇ」
お茶を飲もうとしたトウマは顔を上げて、かわいい?と疑問符を浮かべている。
「にしても、営業の人間だったのか」
「そうですよ。言いませんでしたっけ」
「仕事はやめたとだけ。その後ここ初めてたから慣れたもんだと思っていたが」
「昔取った杵柄ですかね」
微笑む様子に、少々の居心地の悪さを感じる。
「しかし、あのソウマ、うちの息子がお前を早々に受け入れた理由を納得した」
「そうですか?」
「言いくるめられたってことだな」
「可愛いお子さんじゃないですか」
「生意気もすぎると面倒だろう」
即答するトウマに、その生意気ざかりを味わいたかったのだろう先輩を盗み見てしまう。
「では、今度一緒にソウマさんと遊びに出かけましょうかね。誘われてますし」
「なっ!んで。あいつ」
ちっと舌打ちする様子に、何故か一瞬体が竦んでしまう。
ちょっと怖いと思わずタクマの背後に隠れる。
後にタクマとソウマに誕生日パーティを開かれ、度肝を抜かれるのだがまた別の話。
「先輩は凄いんですよ」
台所でお茶を用意している横でトウマという男に語る。
自分しか知らない姿を。
彼は知らない姿を。
先日、戻ってきてほしいとお願いしたが、無理とやんわり断られた。
なのにこんな男に走るなんて。
「先輩はどーんな厄介な取引相手にも笑顔で対応していつの間にかお互いにいいプランを提供できる凄いやり手なんですよ」
「ほー」
「他の人が匙投げたところだって、笑顔でいつのまにか丸め込まれていてですね」
「それ、褒められてますか?」
先輩の気配がする。
「も、もちろんですよ」
先輩がお茶を持って戻ってくる。
お茶を自分とトウマに渡す。
「トウマさんをあまり困らせないであげてください。困っている姿も可愛いんですけどねぇ」
お茶を飲もうとしたトウマは顔を上げて、かわいい?と疑問符を浮かべている。
「にしても、営業の人間だったのか」
「そうですよ。言いませんでしたっけ」
「仕事はやめたとだけ。その後ここ初めてたから慣れたもんだと思っていたが」
「昔取った杵柄ですかね」
微笑む様子に、少々の居心地の悪さを感じる。
「しかし、あのソウマ、うちの息子がお前を早々に受け入れた理由を納得した」
「そうですか?」
「言いくるめられたってことだな」
「可愛いお子さんじゃないですか」
「生意気もすぎると面倒だろう」
即答するトウマに、その生意気ざかりを味わいたかったのだろう先輩を盗み見てしまう。
「では、今度一緒にソウマさんと遊びに出かけましょうかね。誘われてますし」
「なっ!んで。あいつ」
ちっと舌打ちする様子に、何故か一瞬体が竦んでしまう。
ちょっと怖いと思わずタクマの背後に隠れる。
後にタクマとソウマに誕生日パーティを開かれ、度肝を抜かれるのだがまた別の話。
0
お気に入りに追加
8
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
いつかコントローラーを投げ出して
せんぷう
BL
オメガバース。世界で男女以外に、アルファ・ベータ・オメガと性別が枝分かれした世界で新たにもう一つの性が発見された。
世界的にはレアなオメガ、アルファ以上の神に選別されたと言われる特異種。
バランサー。
アルファ、ベータ、オメガになるかを自らの意思で選択でき、バランサーの状態ならどのようなフェロモンですら影響を受けない、むしろ自身のフェロモンにより周囲を調伏できる最強の性別。
これは、バランサーであることを隠した少年の少し不運で不思議な出会いの物語。
裏社会のトップにして最強のアルファ攻め
×
最強種バランサーであることをそれとなく隠して生活する兄弟想いな受け
※オメガバース特殊設定、追加性別有り
.
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
インテリヤクザは子守りができない
タタミ
BL
とある事件で大学を中退した初瀬岳は、極道の道へ進みわずか5年で兼城組の若頭にまで上り詰めていた。
冷酷非道なやり口で出世したものの不必要に凄惨な報復を繰り返した結果、組長から『人間味を学べ』という名目で組のシマで立ちんぼをしていた少年・皆木冬馬の教育を任されてしまう。
なんでも性接待で物事を進めようとするバカな冬馬を煙たがっていたが、小学生の頃に親に捨てられ字もろくに読めないとわかると、徐々に同情という名の情を抱くようになり……──
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
黄色い水仙を君に贈る
えんがわ
BL
──────────
「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」
「ああ、そうだな」
「っ……ばいばい……」
俺は……ただっ……
「うわああああああああ!」
君に愛して欲しかっただけなのに……
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる