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色を飲み込む沈黙
色彩を手放した緑林
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明らかに、おかしい。何がおかしいかって?それは、この森の生態だ。
私は疲れ果てて数時間ほど眠っていた。余程熟睡してたのだろうと分かるほど、実に気持ちのいい目覚めだったのだが・・・。
ふと、空を見上げた。あぁ、真っ白な空だなぁ・・・。それが、空を見て思った第一の感想。
そして第二の感想としては、どうして空の明るさが変って居ないのだろうか、という疑問に尽きる。もうとっくに夜くらいの時間のはずなのに。
もしかしたらこの世界は私達のいた世界とは異なる気候や周期なのかもしれない。が、果たしてこんなにも変わらない空は存在するのだろうか。まぁ、今私が見ているのだから存在するのだろうけど・・・。
『・・・はぁ。』
本日何回目かのため息を零す。この静かな空間といい明るさが変わらない空といい、まるで時間が止まっているような場所だ。
何よりも、どこか色褪せた空や草木は、精神や心を壊すのに十分な要素を揃えている。
ずっとここにいたらおかしくなる。そう確信した。だからこそ疲れた足を無理やりに動かし、この場所から抜け出そうと再び歩き出した。
しかし運の悪い私がそう簡単に出口を見つけられるはずもなく、またしても疲れ果てて膝を着いた。
せめて休める場所でもあれば・・・と屋根のある小屋が見つかることを願った矢先。
視界の端に茶色い建物が映った。それに反応しバッと顔を上げてよく見てみると、なんと小屋があるではないか。
私は急な運の良さに不信感を抱きながらも、やはり疲れには勝てず、これ幸いと小屋まで歩き、一応ノックをして誰もいないことを確認してから小屋の中に入った。
案の定小屋の中は誰もおらず、静かな空間が広がっていた。人の気配もしないし、やはり誰も住んではいないようだ。
とりあえずかなりボロい椅子に腰掛け、部屋の中を見回してみる。
部屋は6畳くらいで、外装も内装もボロい。恐らく何十年・・・いや、何百年も前の建物だと思われる。
あとは例の如くボロいベッドに本棚に暖炉、そしてテーブルと私が座ってる椅子が置いてあって、部屋の隅や天井、床は埃や汚れだらけだ。
だというのに、蜘蛛やゴキブリなどの虫は1匹としていなかった。その点に関しては些か不審に思ったが、居ないに越したことはないので今は良しとする。
一先ずは拠点に出来そうな小屋なので出口が見つかるまではここに住もうと思う。暖炉もあるし寒さも凌げ・・・寒さ?そういえば、この森は気温も変わらないのか?今だって、寒いとも暑いとも感じない。
ほんと、この森はどうかしてる。私の持ち合わせている常識が一切役に立たないのだから。
しかしまぁ・・・この森に関することかは分からないけど、それっぽい資料は先から視界に入ってる。私は机の上に散乱している紙の1枚を手に取り、一通り目を通してみる。
沈黙の森の生態について、ね。この森の名前は沈黙の森というのか。言い得て妙な名前だな。
しかし・・・うーむ、どうして知らない文字なのに読めるのだろう。私の頭がおかしくなったのか?・・・いいや、これは恐らくスキルの影響だな。
まぁ、それにしてもだ。知らないはずの文字をスラスラと読めるというのは、違和感があるというか・・・変な感じがするというか・・・。
この森に来てから・・・いや、こちらの世界に来てからは変な体験ばかりするなぁと思って思わず苦笑いを浮かべる。でもまぁ、元の世界で退屈に生きるよりかは、幾分も楽しめるかもしれない。
そう思った私は、資料を順番に並べ替え、数時間かけて読み込んだ。
だがそれではまだまだ知識が不足していたため、それを補うべく本棚に並んでいた本も読み漁った。
全ての本を読み終わったのは、その日から2日後か3日後か。30冊程度あった本を読み終えたのだから、軽く一日は経っているだろうが。
なにぶん時計もないし空の明るさも変わらないので、一日を数える術がないのだ。だから召喚されてから何日経ったのかなんて、もう覚えてない。
さて、資料と本から分かった知識の大事な部分だけを、簡潔に分かりやすく伝えようと思う。
まずこの世界について。この世界には魔法がある。これらの情報は先程も話したが、まぁ一応おさらいしておこう。火、水、風、土、雷、光、闇の7つが1番オーソドックスな魔法属性で、七大魔法と呼ばれている。他にも属性は無限にあって、特に知られているのは聖属性、氷属性、酸属性、毒属性など。稀に誰も持ち得ない属性を持っている人も居るらしい。
魔法属性は1人3つが限界で、3つ以上持っている人は勇者と呼ばれる。
勇者がいれば魔王もいるわけで、勇者は魔王を倒すために召喚魔法で召喚されることが多いのだそう。恐らく今回の私達の召喚もそうなのだろう。
魔法についてもう少し詳しく説明すると、魔法にはユニークスキル、エクストラスキル、ポッシブスキル、アクティブスキルの4つに分類され、ユニークスキルはその人固有のスキルで、レア度が高い。エクストラスキルは覚えられる人が限られていて、習得が難しい。ポッシブスキルは常に発動されているもので、毒耐性などがそうだ。最後にアクティブスキル。これにはさっきも説明した属性というものがあって、主に攻撃の手段としての役割が高い。
次にこの世界の種族や王国の情報について。これは昔の資料だと思われるので、今はどうなっているのか分からないが、恐らくほとんど変わっていないと思われる。
ここ、沈黙の森はヴァイスという国の最南端に位置している。南東方向に進んで森を抜けると、海に出る。そして海を超えると小さな島が見えてきて、その島にはオラシオンという国がある。
そのオラシオンとヴァイスは沈黙の森により阻まれていて、現在貿易は他の国を経由して行われている。
ヴァイスの3分の1の土地が沈黙の森らしく、そこには誰も住んでいないし、近づく人も居ないのだそう。
なぜなら沈黙の森は、特殊な結界で覆われており、入ることは愚か、出ることすらできないから。
これを見た時思わず頭を抱えたが、この森で死ぬまで引き篭って平穏な生活を送るのも悪くは無いなと思い直した。
さて、最後にこの森には酸と毒が混じった空気が蔓延しており、普通の人が長時間いると酸と毒に侵されて死に至るのだそう。沈黙の森の所以でもある静けさや不気味な気候変動も、精神を破壊に至らしめるに足る要素であろう。
因みにこの静けさだが、動物や虫などの生物が生息していないためだそうだ。何故ならこの空気に耐えられる動物や虫が存在しないから。
しかし、酸と毒の属性を持つLv150越えの魔物が沈黙の森の最南端にうじゃうじゃと生息しているらしく、これに出会ったら逃げろとすら書いてある。
ところでここで疑問なのが、なぜ私はこの森で死ぬことなく生きているのか、だ。
答えはシンプルで、私の持っている属性が、酸と毒だからだ。これら2つの属性を持っている場合、この森に居ても死にはしないらしい。
因みに先程使った《解析(アナリシス)》だが、自分と自分より下位のLvの者のステータスやプロフィールを閲覧出来るというものだった。
言い忘れていたが、私のLvは1だった。だから絶対に魔物には出会わないようにしようと心に誓った。
それと、私のステータスにいくつか疑問な部分があった。
まずは、状態異常の欄に書かれている絶運の呪いについて。《解析(アナリシス)》でもっと詳しく詳細を調べてみると、呪いを掛けられた者の運をかなり下げる禁忌魔法らしい。これが本当だとしたら、私は誰かしらに呪われていることになる。身に覚えがないのだが、一体いつどこで呪われたというのだろうか。
最後に、アクティブスキルについて。私の属性は酸と毒と言ったが、実はもうひとつある。それが、星だ。
星?と首を傾げた私は悪くないはず。調べてみたが、星属性なんて属性は今までに存在したことがないらしい。
つまり新種の属性、ということになる。属性の系統としては土属性に似ているが。
何故こんな属性が発生したのか、と考えたところ、思いついた原因があった。それは、私が星好きの天体観測が趣味の人間だったということ。
このことから色々と推測し、結論を導き出した結果、召喚された人間は召喚前の好みや趣味趣向、性格や武術などの身体的スキルが色濃く反映されるということ。
その証拠に、先程の星属性が挙げられる。また、ポッシブスキルの欄に私が召喚前に身につけていた護身術や刀術や銃術などのスキルがあるというのも証拠の1つとして挙げられる。
さてと、まぁ推察や推論はここまでにして、私はこれからどうやって生きていくかについて考えないと。
この小屋には食料は愚か水すらない。唯一見つけたのは麦の苗と大量の謎の袋。麦の苗はまぁいいとして、大量の袋は何に使うんだ?という疑問の元、とりあえず1つの袋を逆さまにしてみた所、中から宝石やら何やらがジャラジャラと出てきた。本気で驚いて後ろに飛び退き、壁に体をぶつけたのは忘れたい黒歴史のひとつとなった。
こういう時、誰も見てないと分かってても思わずキョロキョロと周りを見てしまうのは仕様がないことだと思う。
いや、それよりも。ぺったんこに萎んだ何も入ってない袋を、何も無いとは思いつつもつい出来心でひっくり返して振ってみただけなのだが。
なんということでしょう、中からキラキラと光る宝石が。・・・ほんとにどうしてだ?
そう思って色々と検証してみた結果、この袋にはその時の状態そのままで保存出来る、しかも袋の中には無限に入るかつ何か入ってるように見えないという便利な機能がついていたのだ。
そんなド〇えもんの便利道具の如き高スペック袋だったわけだが、さてここで質問。計35枚あった袋の中身を全て出してみたらどうなったと思う?
正解は、とりあえずは食料問題が解決した。品質がいい食料が山ほどあって、食器や調理器具や裁縫道具、布や布団など、無いものは無いんじゃないかってくらい生活用品が揃った。
だけど一生暮らすのに食料が持つかと聞かれれば答えはNOで、節約しても1年しか持たないだろう。
ということでまず、小屋の外に畑を作ってみた。畑には麦を撒き、人参やトマトなどの野菜の種も植えてみた。
我ながらいい出来だと自画自賛しつつ、次は周りの木を切り倒して板を作る。板で畑を囲い、更に小屋の修繕をしていたら流石にお腹が空いた。やはり大量にある食材に心が踊らないわけも無かったのだが、とりあえず今日はパンにとろっとしたチーズを乗っけて食べた。1度はしてみたかったんだよね、この食べ方。因みにこの食事が私の毎朝の朝食になったのは言うまでもない。
さて、今日は畑を作って小屋の修繕をした。作業を始めてどのくらい経ったのかは分からないが、眠たいので今日はこの辺にしておこうか。
そう決めた私は、硬いベッドに敷かれたシーツの埃を払い、ボスっと横になって眠りについた。
明日は何をしようか、なんて柄にもなく未来のことを考えて、思わずワクワクするくらいには、既にこの生活が気に入っていた。
私を害する者がいない、最高の隠れ家。一人だけの空間は、酷く空虚で、それでいてとても心地が良かった。
─────────────────────────
それから約1年が過ぎた。早いって?だって仕方ないじゃないか。延々と畑仕事して果物収穫して木の実や山菜やキノコを採集するだけの繰り返しだったんだから。
そんな生活の中でも特に特筆すべきことだけを話そうと思う。
まず畑仕事について。畑では麦や野菜なんかを育てていたのだが、まぁ一回目は見事に失敗した。それもこれも、この森の異常すぎる生態のせいだ。だってまさか、成長スピードが普通の何十倍も早いだなんて思わないでしょう?
種を撒いて3日で出来ているなんて思わなくて、1ヶ月間ほとんど放置していた私は悪くないはず。まぁ、1ヶ月で気付いて今度はちゃんと収穫出来たから良しとする。
因みに収穫出来たのは麦と野菜、詳しく言うと人参、玉ねぎ、キャベツ、ほうれん草、茄子、キュウリ、トマト、カブ、ピーマンだ。これだけあれば料理の幅も広がって、実に楽しく料理が出来るというものだ。
次に、採集で採れた果物や山菜、キノコだ。まずこの森で採れる果物は2種類で、リンゴとルミの実というこの世界特有の食べ物だ。見た目は球状で、色は黄色をしている。味はとても甘くて、多分メロンよりも甘い。その上冷たくひんやりとしており、シャーベットの果物バージョンみたいな感じだ。
次の採集成果が山菜だ。山菜はワラビ、山わさび、ふきのとう、そしてナシオギという4種類があり、ナシオギという山菜はこの世界特有のものだ。
色は青緑で、葉先が丸く筋がない。少しの苦味はあるが、それが癖になる味。
そして次がキノコだ。キノコは椎茸、松茸、酸茸という3種類あって、酸茸は言わずもがなこの世界特有のもの。酸味が強く、松茸に似た食感をしている。
最後に木の実だ。クルミ、ヤグマの2種類あり、ヤグマは世界特有のもの。一粒一粒が豆のように小さく、だけど一粒一粒に甘みがある。私はケーキやタルトを作る時などによく使う。
余談だが、これらの採集を繰り返すうちに《知識人》というポッシブスキルを手に入れた。なんでも、様々な専門知識が分かるのだそう。
さて、次に話すのは家についてだ。家は小屋とは言えないほどに拡大し、今では6畳だった小屋の10倍程の大きさになっている。
正直掃除が大変なだけなので、何故この大きさにしたのかと今でも疑問だ。
まぁしかし、まるで山奥の別荘のような立派な建物に成長したので良しとしよう。
次にLvについて。なんと、今の私のLvは250だ。これが凄いのか普通なのかはよく分からないが、まぁとりあえず危険視されていた最南端に生息する魔物を瞬殺出来るくらいには強いということで。
私が主に使う武器は刀だが、銃もたまに使う。後は短剣も。因みに全て手作りの武器である。材料は魔物の角と牙、後は魔法の袋に入っていた宝石。
実はこの宝石、ただの宝石ではなくとてつもない効力を秘めており、攻撃力が上がる効果があったり防御力が上がったりと凄まじい能力向上アイテムだったのだ。
それを知った私は、ならもっと設定盛り込んで最強の石にしてしまおう、と考えその宝石に更に能力向上バフの魔法を掛けた。
その石を刀の柄の部分に嵌め込んでいるので、そんじょそこらの刀よりかは威力が強いと思う。なんなら太刀だからでかいし。
まぁ、こういう話をし出すとキリがないので一旦止めて、次に服の話をしようと思う。服も私の手作りで、材料は魔法の袋に入っていた布と魔物の皮と毛だ。
そんな高級材料を使って作った衣服は、動きやすさだけでなく身体能力も向上させる。まぁ、例の如く能力向上バフの魔法を掛けたからなのだが。
因みに外套は自信作で、黒い布を基本色としてフワフワとした魔物の毛を首元やフード部分、末端部にふんだんに使い、高級感を演出。更に白い模様を入れることで高貴さまでも追求している。
オマケにこの外套のフードを被ると目が絶対に見えないという魔法も掛けている。まぁ、その過程で色々な魔法もかけたけど。例えば外部干渉不可の魔法とか、呪いの効果を受けない魔法とか、物理攻撃を無効化する魔法とか。それ以外にも最早チートかってほどの魔法を掛けているが、それは随時報告するとして。
最後にこの森について。なんとこの森、私のものになってしまった。恐らくだが棲み付いていた魔物を倒したことが原因だろう。”沈黙の森の王”という称号まで付けられている。
この”沈黙の森の王”という称号にはバフが付いていて、この森で起こったことが全て把握可能、また出入りは愚か他人の出入りすら私が決めることが出来る。そして他人が中で長時間過ごしても死なないように設定することも可能という、なんともゲームマスターっぽい立ち位置になってしまった訳だが。
それでもいい事ばかりではなく、運の悪さに至ってはどんどん低くなっていく一方で、希望が見えない状態だ。
しかしこの森の中は運の悪さが影響しないのか、運の悪さを発揮したのは今までで100回ほどしかない。
多い?寧ろ少ない方だ。何せ体感覚だけでももう1年はこの森にいる筈だし、1年で100回だよ?少ない、少なすぎて怖いくらいだ。
そんなこんなで、スローライフを満喫してる今日この頃だが、少し気になることが出来た。
大したことでは無いのだが、気になりだしたら止まらない。
私の無二の友達。あの3人が元気に過ごせているのか、それが少し気になっている。
・・・いや、心配な訳ではなくてね?ただ、一応友達だから・・・。それに、あの3人だけは、何故か失いたくないと思ってしまうのだ。それに、今まで私と仲良くしてくれた分と、何度も助けてくれた分の恩を返したい。そう、だからこれは、あくまでも恩返しだ。
何故か言い訳をしてるみたいになってしまったが、つまりはそういうことだ。
というわけで、3人を探すために森の外に出ようと思う。
私はそう決心し、荷物を纏めて森を出る準備をしたのだった。
私は疲れ果てて数時間ほど眠っていた。余程熟睡してたのだろうと分かるほど、実に気持ちのいい目覚めだったのだが・・・。
ふと、空を見上げた。あぁ、真っ白な空だなぁ・・・。それが、空を見て思った第一の感想。
そして第二の感想としては、どうして空の明るさが変って居ないのだろうか、という疑問に尽きる。もうとっくに夜くらいの時間のはずなのに。
もしかしたらこの世界は私達のいた世界とは異なる気候や周期なのかもしれない。が、果たしてこんなにも変わらない空は存在するのだろうか。まぁ、今私が見ているのだから存在するのだろうけど・・・。
『・・・はぁ。』
本日何回目かのため息を零す。この静かな空間といい明るさが変わらない空といい、まるで時間が止まっているような場所だ。
何よりも、どこか色褪せた空や草木は、精神や心を壊すのに十分な要素を揃えている。
ずっとここにいたらおかしくなる。そう確信した。だからこそ疲れた足を無理やりに動かし、この場所から抜け出そうと再び歩き出した。
しかし運の悪い私がそう簡単に出口を見つけられるはずもなく、またしても疲れ果てて膝を着いた。
せめて休める場所でもあれば・・・と屋根のある小屋が見つかることを願った矢先。
視界の端に茶色い建物が映った。それに反応しバッと顔を上げてよく見てみると、なんと小屋があるではないか。
私は急な運の良さに不信感を抱きながらも、やはり疲れには勝てず、これ幸いと小屋まで歩き、一応ノックをして誰もいないことを確認してから小屋の中に入った。
案の定小屋の中は誰もおらず、静かな空間が広がっていた。人の気配もしないし、やはり誰も住んではいないようだ。
とりあえずかなりボロい椅子に腰掛け、部屋の中を見回してみる。
部屋は6畳くらいで、外装も内装もボロい。恐らく何十年・・・いや、何百年も前の建物だと思われる。
あとは例の如くボロいベッドに本棚に暖炉、そしてテーブルと私が座ってる椅子が置いてあって、部屋の隅や天井、床は埃や汚れだらけだ。
だというのに、蜘蛛やゴキブリなどの虫は1匹としていなかった。その点に関しては些か不審に思ったが、居ないに越したことはないので今は良しとする。
一先ずは拠点に出来そうな小屋なので出口が見つかるまではここに住もうと思う。暖炉もあるし寒さも凌げ・・・寒さ?そういえば、この森は気温も変わらないのか?今だって、寒いとも暑いとも感じない。
ほんと、この森はどうかしてる。私の持ち合わせている常識が一切役に立たないのだから。
しかしまぁ・・・この森に関することかは分からないけど、それっぽい資料は先から視界に入ってる。私は机の上に散乱している紙の1枚を手に取り、一通り目を通してみる。
沈黙の森の生態について、ね。この森の名前は沈黙の森というのか。言い得て妙な名前だな。
しかし・・・うーむ、どうして知らない文字なのに読めるのだろう。私の頭がおかしくなったのか?・・・いいや、これは恐らくスキルの影響だな。
まぁ、それにしてもだ。知らないはずの文字をスラスラと読めるというのは、違和感があるというか・・・変な感じがするというか・・・。
この森に来てから・・・いや、こちらの世界に来てからは変な体験ばかりするなぁと思って思わず苦笑いを浮かべる。でもまぁ、元の世界で退屈に生きるよりかは、幾分も楽しめるかもしれない。
そう思った私は、資料を順番に並べ替え、数時間かけて読み込んだ。
だがそれではまだまだ知識が不足していたため、それを補うべく本棚に並んでいた本も読み漁った。
全ての本を読み終わったのは、その日から2日後か3日後か。30冊程度あった本を読み終えたのだから、軽く一日は経っているだろうが。
なにぶん時計もないし空の明るさも変わらないので、一日を数える術がないのだ。だから召喚されてから何日経ったのかなんて、もう覚えてない。
さて、資料と本から分かった知識の大事な部分だけを、簡潔に分かりやすく伝えようと思う。
まずこの世界について。この世界には魔法がある。これらの情報は先程も話したが、まぁ一応おさらいしておこう。火、水、風、土、雷、光、闇の7つが1番オーソドックスな魔法属性で、七大魔法と呼ばれている。他にも属性は無限にあって、特に知られているのは聖属性、氷属性、酸属性、毒属性など。稀に誰も持ち得ない属性を持っている人も居るらしい。
魔法属性は1人3つが限界で、3つ以上持っている人は勇者と呼ばれる。
勇者がいれば魔王もいるわけで、勇者は魔王を倒すために召喚魔法で召喚されることが多いのだそう。恐らく今回の私達の召喚もそうなのだろう。
魔法についてもう少し詳しく説明すると、魔法にはユニークスキル、エクストラスキル、ポッシブスキル、アクティブスキルの4つに分類され、ユニークスキルはその人固有のスキルで、レア度が高い。エクストラスキルは覚えられる人が限られていて、習得が難しい。ポッシブスキルは常に発動されているもので、毒耐性などがそうだ。最後にアクティブスキル。これにはさっきも説明した属性というものがあって、主に攻撃の手段としての役割が高い。
次にこの世界の種族や王国の情報について。これは昔の資料だと思われるので、今はどうなっているのか分からないが、恐らくほとんど変わっていないと思われる。
ここ、沈黙の森はヴァイスという国の最南端に位置している。南東方向に進んで森を抜けると、海に出る。そして海を超えると小さな島が見えてきて、その島にはオラシオンという国がある。
そのオラシオンとヴァイスは沈黙の森により阻まれていて、現在貿易は他の国を経由して行われている。
ヴァイスの3分の1の土地が沈黙の森らしく、そこには誰も住んでいないし、近づく人も居ないのだそう。
なぜなら沈黙の森は、特殊な結界で覆われており、入ることは愚か、出ることすらできないから。
これを見た時思わず頭を抱えたが、この森で死ぬまで引き篭って平穏な生活を送るのも悪くは無いなと思い直した。
さて、最後にこの森には酸と毒が混じった空気が蔓延しており、普通の人が長時間いると酸と毒に侵されて死に至るのだそう。沈黙の森の所以でもある静けさや不気味な気候変動も、精神を破壊に至らしめるに足る要素であろう。
因みにこの静けさだが、動物や虫などの生物が生息していないためだそうだ。何故ならこの空気に耐えられる動物や虫が存在しないから。
しかし、酸と毒の属性を持つLv150越えの魔物が沈黙の森の最南端にうじゃうじゃと生息しているらしく、これに出会ったら逃げろとすら書いてある。
ところでここで疑問なのが、なぜ私はこの森で死ぬことなく生きているのか、だ。
答えはシンプルで、私の持っている属性が、酸と毒だからだ。これら2つの属性を持っている場合、この森に居ても死にはしないらしい。
因みに先程使った《解析(アナリシス)》だが、自分と自分より下位のLvの者のステータスやプロフィールを閲覧出来るというものだった。
言い忘れていたが、私のLvは1だった。だから絶対に魔物には出会わないようにしようと心に誓った。
それと、私のステータスにいくつか疑問な部分があった。
まずは、状態異常の欄に書かれている絶運の呪いについて。《解析(アナリシス)》でもっと詳しく詳細を調べてみると、呪いを掛けられた者の運をかなり下げる禁忌魔法らしい。これが本当だとしたら、私は誰かしらに呪われていることになる。身に覚えがないのだが、一体いつどこで呪われたというのだろうか。
最後に、アクティブスキルについて。私の属性は酸と毒と言ったが、実はもうひとつある。それが、星だ。
星?と首を傾げた私は悪くないはず。調べてみたが、星属性なんて属性は今までに存在したことがないらしい。
つまり新種の属性、ということになる。属性の系統としては土属性に似ているが。
何故こんな属性が発生したのか、と考えたところ、思いついた原因があった。それは、私が星好きの天体観測が趣味の人間だったということ。
このことから色々と推測し、結論を導き出した結果、召喚された人間は召喚前の好みや趣味趣向、性格や武術などの身体的スキルが色濃く反映されるということ。
その証拠に、先程の星属性が挙げられる。また、ポッシブスキルの欄に私が召喚前に身につけていた護身術や刀術や銃術などのスキルがあるというのも証拠の1つとして挙げられる。
さてと、まぁ推察や推論はここまでにして、私はこれからどうやって生きていくかについて考えないと。
この小屋には食料は愚か水すらない。唯一見つけたのは麦の苗と大量の謎の袋。麦の苗はまぁいいとして、大量の袋は何に使うんだ?という疑問の元、とりあえず1つの袋を逆さまにしてみた所、中から宝石やら何やらがジャラジャラと出てきた。本気で驚いて後ろに飛び退き、壁に体をぶつけたのは忘れたい黒歴史のひとつとなった。
こういう時、誰も見てないと分かってても思わずキョロキョロと周りを見てしまうのは仕様がないことだと思う。
いや、それよりも。ぺったんこに萎んだ何も入ってない袋を、何も無いとは思いつつもつい出来心でひっくり返して振ってみただけなのだが。
なんということでしょう、中からキラキラと光る宝石が。・・・ほんとにどうしてだ?
そう思って色々と検証してみた結果、この袋にはその時の状態そのままで保存出来る、しかも袋の中には無限に入るかつ何か入ってるように見えないという便利な機能がついていたのだ。
そんなド〇えもんの便利道具の如き高スペック袋だったわけだが、さてここで質問。計35枚あった袋の中身を全て出してみたらどうなったと思う?
正解は、とりあえずは食料問題が解決した。品質がいい食料が山ほどあって、食器や調理器具や裁縫道具、布や布団など、無いものは無いんじゃないかってくらい生活用品が揃った。
だけど一生暮らすのに食料が持つかと聞かれれば答えはNOで、節約しても1年しか持たないだろう。
ということでまず、小屋の外に畑を作ってみた。畑には麦を撒き、人参やトマトなどの野菜の種も植えてみた。
我ながらいい出来だと自画自賛しつつ、次は周りの木を切り倒して板を作る。板で畑を囲い、更に小屋の修繕をしていたら流石にお腹が空いた。やはり大量にある食材に心が踊らないわけも無かったのだが、とりあえず今日はパンにとろっとしたチーズを乗っけて食べた。1度はしてみたかったんだよね、この食べ方。因みにこの食事が私の毎朝の朝食になったのは言うまでもない。
さて、今日は畑を作って小屋の修繕をした。作業を始めてどのくらい経ったのかは分からないが、眠たいので今日はこの辺にしておこうか。
そう決めた私は、硬いベッドに敷かれたシーツの埃を払い、ボスっと横になって眠りについた。
明日は何をしようか、なんて柄にもなく未来のことを考えて、思わずワクワクするくらいには、既にこの生活が気に入っていた。
私を害する者がいない、最高の隠れ家。一人だけの空間は、酷く空虚で、それでいてとても心地が良かった。
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それから約1年が過ぎた。早いって?だって仕方ないじゃないか。延々と畑仕事して果物収穫して木の実や山菜やキノコを採集するだけの繰り返しだったんだから。
そんな生活の中でも特に特筆すべきことだけを話そうと思う。
まず畑仕事について。畑では麦や野菜なんかを育てていたのだが、まぁ一回目は見事に失敗した。それもこれも、この森の異常すぎる生態のせいだ。だってまさか、成長スピードが普通の何十倍も早いだなんて思わないでしょう?
種を撒いて3日で出来ているなんて思わなくて、1ヶ月間ほとんど放置していた私は悪くないはず。まぁ、1ヶ月で気付いて今度はちゃんと収穫出来たから良しとする。
因みに収穫出来たのは麦と野菜、詳しく言うと人参、玉ねぎ、キャベツ、ほうれん草、茄子、キュウリ、トマト、カブ、ピーマンだ。これだけあれば料理の幅も広がって、実に楽しく料理が出来るというものだ。
次に、採集で採れた果物や山菜、キノコだ。まずこの森で採れる果物は2種類で、リンゴとルミの実というこの世界特有の食べ物だ。見た目は球状で、色は黄色をしている。味はとても甘くて、多分メロンよりも甘い。その上冷たくひんやりとしており、シャーベットの果物バージョンみたいな感じだ。
次の採集成果が山菜だ。山菜はワラビ、山わさび、ふきのとう、そしてナシオギという4種類があり、ナシオギという山菜はこの世界特有のものだ。
色は青緑で、葉先が丸く筋がない。少しの苦味はあるが、それが癖になる味。
そして次がキノコだ。キノコは椎茸、松茸、酸茸という3種類あって、酸茸は言わずもがなこの世界特有のもの。酸味が強く、松茸に似た食感をしている。
最後に木の実だ。クルミ、ヤグマの2種類あり、ヤグマは世界特有のもの。一粒一粒が豆のように小さく、だけど一粒一粒に甘みがある。私はケーキやタルトを作る時などによく使う。
余談だが、これらの採集を繰り返すうちに《知識人》というポッシブスキルを手に入れた。なんでも、様々な専門知識が分かるのだそう。
さて、次に話すのは家についてだ。家は小屋とは言えないほどに拡大し、今では6畳だった小屋の10倍程の大きさになっている。
正直掃除が大変なだけなので、何故この大きさにしたのかと今でも疑問だ。
まぁしかし、まるで山奥の別荘のような立派な建物に成長したので良しとしよう。
次にLvについて。なんと、今の私のLvは250だ。これが凄いのか普通なのかはよく分からないが、まぁとりあえず危険視されていた最南端に生息する魔物を瞬殺出来るくらいには強いということで。
私が主に使う武器は刀だが、銃もたまに使う。後は短剣も。因みに全て手作りの武器である。材料は魔物の角と牙、後は魔法の袋に入っていた宝石。
実はこの宝石、ただの宝石ではなくとてつもない効力を秘めており、攻撃力が上がる効果があったり防御力が上がったりと凄まじい能力向上アイテムだったのだ。
それを知った私は、ならもっと設定盛り込んで最強の石にしてしまおう、と考えその宝石に更に能力向上バフの魔法を掛けた。
その石を刀の柄の部分に嵌め込んでいるので、そんじょそこらの刀よりかは威力が強いと思う。なんなら太刀だからでかいし。
まぁ、こういう話をし出すとキリがないので一旦止めて、次に服の話をしようと思う。服も私の手作りで、材料は魔法の袋に入っていた布と魔物の皮と毛だ。
そんな高級材料を使って作った衣服は、動きやすさだけでなく身体能力も向上させる。まぁ、例の如く能力向上バフの魔法を掛けたからなのだが。
因みに外套は自信作で、黒い布を基本色としてフワフワとした魔物の毛を首元やフード部分、末端部にふんだんに使い、高級感を演出。更に白い模様を入れることで高貴さまでも追求している。
オマケにこの外套のフードを被ると目が絶対に見えないという魔法も掛けている。まぁ、その過程で色々な魔法もかけたけど。例えば外部干渉不可の魔法とか、呪いの効果を受けない魔法とか、物理攻撃を無効化する魔法とか。それ以外にも最早チートかってほどの魔法を掛けているが、それは随時報告するとして。
最後にこの森について。なんとこの森、私のものになってしまった。恐らくだが棲み付いていた魔物を倒したことが原因だろう。”沈黙の森の王”という称号まで付けられている。
この”沈黙の森の王”という称号にはバフが付いていて、この森で起こったことが全て把握可能、また出入りは愚か他人の出入りすら私が決めることが出来る。そして他人が中で長時間過ごしても死なないように設定することも可能という、なんともゲームマスターっぽい立ち位置になってしまった訳だが。
それでもいい事ばかりではなく、運の悪さに至ってはどんどん低くなっていく一方で、希望が見えない状態だ。
しかしこの森の中は運の悪さが影響しないのか、運の悪さを発揮したのは今までで100回ほどしかない。
多い?寧ろ少ない方だ。何せ体感覚だけでももう1年はこの森にいる筈だし、1年で100回だよ?少ない、少なすぎて怖いくらいだ。
そんなこんなで、スローライフを満喫してる今日この頃だが、少し気になることが出来た。
大したことでは無いのだが、気になりだしたら止まらない。
私の無二の友達。あの3人が元気に過ごせているのか、それが少し気になっている。
・・・いや、心配な訳ではなくてね?ただ、一応友達だから・・・。それに、あの3人だけは、何故か失いたくないと思ってしまうのだ。それに、今まで私と仲良くしてくれた分と、何度も助けてくれた分の恩を返したい。そう、だからこれは、あくまでも恩返しだ。
何故か言い訳をしてるみたいになってしまったが、つまりはそういうことだ。
というわけで、3人を探すために森の外に出ようと思う。
私はそう決心し、荷物を纏めて森を出る準備をしたのだった。
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