吾輩のご主人

ユウ

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吾輩のご主人は頑張り屋さん

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『吾輩のご主人』



吾輩のご主人はなんでも『編集者』というものらしい。
よく分からぬが。

吾輩が起きる前に起き、吾輩が眠っている間に帰ってくる。

『お疲れ様です!あの──』

『あ、もしもし!〇〇さんでしょうか!私──』

よく大きな物と睨めっこをしながら手を動かし、耳に『ケイタイ』というものを当てながらよく話すご主人。

疲れないのか?

あの日ご主人に拾ってもらってから早くも数ヶ月が経つのだ。
だんだんと物事が分かってきたが、吾輩はご主人が休んでいるところをあまり見たことが無いのである。

『ご主人!休まれよ!』

そう伝えてもご主人は吾輩の頭をなで、ご飯をくれる。
勿論ご飯は缶詰とカリカリ。

うむ好物だ!
ご主人、好きだ!


……ってそうじゃなく!


『ごめんね、お前のこと放ったらかしで……』

たまにご主人が吾輩を抱き上げてくれる。
でも何故か哀しそうたのだ。
吾輩は、ご主人のそんな顔が見たいわけじゃない。

『ご主人、気にするな!吾輩はご主人が好きだぞ!』

吾輩のとっておきをしてやるから泣くでないぞ!

そう思って毛繕いをする。

『くすぐったいよ~!』

おお!やっと笑ったのだ。
うむ、やはり吾輩はご主人のこの顔が好きだ。


『これからもよろしく頼む!ご主人!』



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