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第四章

王都1日目⑪

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着替えを済ませたわたしはウィルにぃに、ペルルはアメリア、シロガネはアンネリースに抱っこされて食堂へと向う。
食堂の前に着くと、先導をしてくれていたアンヌルフが扉を開けてくれる。

「エル、おはよう」

「エルちゃん、おはよう」

《エルちゃん、おはようなの》

扉が開くと、既に席に着席していたバルにぃとルーねぇがおはようの挨拶をしてくれる。

ん…?んんんっ!?!?
なんか今、声がひとつ多くなかったか??

食堂の席にはバルにぃ、ルーねぇ、七色の美しい蝶の羽を持つ女の子。

んんん~~~っ!?!?

「だれ…??」

「「えぇぇぇ~っ!?!?」」

バルにぃとルーねぇは隣に座っていた女の子の存在に全く気がついていなかったのか、物凄くビックリしている。

〔精霊女王ラーレ!!また出たなっ…!!!!〕

アメリアの腕の中でぐぅぐぅっと唸るペルル。
ペルルの知り合いかな??
それにしてはペルルは威嚇しているし…。

【ペルルよ落ち着け。このまま立ち話をする訳にはゆくまいて。まずは全員席に着こうではないか】

〔ちっ…。わかったっきゅよ〕

ペルル…。めっちゃ舌打ちするやん…。

シロガネの言葉に従い、全員が席に座る。
わたしはもちろんウィルにぃの横。
向いにバルにぃ、ルーねぇ、蝶の羽を持つ女の子。
ペルルとシロガネはアメリアとアンネリースの手によってそっとテーブルの上に下ろされる。

《ペルル、ひどいのなの。わたしをまるで全世界で忌み嫌われる、夏の風物詩の黒き悪魔の様に言うなんて…。ひどいのなの…》

七色の美しい蝶の羽を持つ女の子が、よよよっ…と崩れ、ぐすんぐすん…っと泣きまねをする。

「えぇっと… ぺりゅりゅ ちりあい??」

そんな様子を見ながらわたしは、ペルルにぽしょりと耳打ちをする。
するとペルルが物凄く苦くてマズいモノを噛んでしまったかの様にしかめっ面をしながら、

〔アレは全ての精霊の母である精霊女王ラーレ。それに決して知り合いなんかじゃ無くて、ただの顔見知りなだけっきゅっ!!!!〕

「おっ… おぅ…っ」

「「精霊女王ラーレっ!?!?」」

わたしはペルルの全力否定に思わずコクコク頷いてしまったが、バルにぃとルーねぇの驚き具合から見るに有名人なのだろうか??

「うぃーにぃー ちっちゅてる??」

バルにぃとルーねぇが、「マジかっ!?ウソだろぅっ!?!?」とか「本当に本物っ!?これは奇跡だわっ!!」と騒ぐ中、ひとりだけ静かにジッと精霊女王を見つめるウィルにぃ。

「うぃーにぃー??」

わたしがもう一度呼びかけると、ウィルにぃがハッとしてわたしを見る。

「あっ…、あぁ…。精霊女王ラーレだね。ペルルの言うとおりだよ。全ての精霊の母としてその名は知られているけど、今まで誰もその姿を見た者が居なかったんだよ。普段は精霊の森に住んでいて、精霊女王も他の精霊と同じで気まぐれ。そんな精霊女王を目の前にして、バルドリックとルイーザは興奮しているんだろうね」

「へぇ~っ…」

そんな風に答えながら、未だに精霊女王を見つめるウィルにぃと、にこにこ微笑んでいる精霊女王ラーレ。
そんなふたりの顔を交互に見ながらわたしはピコンっ!!と閃く。
もしかしたらもしかして、ウィルにぃは精霊女王ラーレがタイプなんじゃないっ!?!?
そうするとコレは可愛くて神秘的なラーレにウィルにぃが一目惚れした感じですねっ!!!!

精霊女王ラーレは本当に可愛い。
キメが細かく雪の様に白い肌、形の整った薄桃色のぷるんとした唇、足元まで伸びる緩くウェーブするその髪はまるで光の束を集めたかの様な黄金色。
そして何より神秘的ななのはその瞳だ。
精霊女王の瞳は七色が星の光の様に瞬いている。

普段はわたしを溺愛しまくるウィルにぃだけど、ウィルにぃも男の子って事だね。
わたしは思わず、ギュフフッと笑ってしまう。

〔エル…。思っている事が全部顔に出てるけど、それは絶対に無いと思うっきゅ…〕

にやにや笑うわたしにペルルが頭が痛そうにため息をつく、しかし妄想が爆発しているわたしは、そんなペルルの様子に全く気がつく事は無かった。




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