164 / 166
第四章
王都1日目⑪
しおりを挟む
着替えを済ませたわたしはウィルにぃに、ペルルはアメリア、シロガネはアンネリースに抱っこされて食堂へと向う。
食堂の前に着くと、先導をしてくれていたアンヌルフが扉を開けてくれる。
「エル、おはよう」
「エルちゃん、おはよう」
《エルちゃん、おはようなの》
扉が開くと、既に席に着席していたバルにぃとルーねぇがおはようの挨拶をしてくれる。
ん…?んんんっ!?!?
なんか今、声がひとつ多くなかったか??
食堂の席にはバルにぃ、ルーねぇ、七色の美しい蝶の羽を持つ女の子。
んんん~~~っ!?!?
「だれ…??」
「「えぇぇぇ~っ!?!?」」
バルにぃとルーねぇは隣に座っていた女の子の存在に全く気がついていなかったのか、物凄くビックリしている。
〔精霊女王ラーレ!!また出たなっ…!!!!〕
アメリアの腕の中でぐぅぐぅっと唸るペルル。
ペルルの知り合いかな??
それにしてはペルルは威嚇しているし…。
【ペルルよ落ち着け。このまま立ち話をする訳にはゆくまいて。まずは全員席に着こうではないか】
〔ちっ…。わかったっきゅよ〕
ペルル…。めっちゃ舌打ちするやん…。
シロガネの言葉に従い、全員が席に座る。
わたしはもちろんウィルにぃの横。
向いにバルにぃ、ルーねぇ、蝶の羽を持つ女の子。
ペルルとシロガネはアメリアとアンネリースの手によってそっとテーブルの上に下ろされる。
《ペルル、ひどいのなの。わたしをまるで全世界で忌み嫌われる、夏の風物詩の黒き悪魔の様に言うなんて…。ひどいのなの…》
七色の美しい蝶の羽を持つ女の子が、よよよっ…と崩れ、ぐすんぐすん…っと泣きまねをする。
「えぇっと… ぺりゅりゅ ちりあい??」
そんな様子を見ながらわたしは、ペルルにぽしょりと耳打ちをする。
するとペルルが物凄く苦くてマズいモノを噛んでしまったかの様にしかめっ面をしながら、
〔アレは全ての精霊の母である精霊女王ラーレ。それに決して知り合いなんかじゃ無くて、ただの顔見知りなだけっきゅっ!!!!〕
「おっ… おぅ…っ」
「「精霊女王ラーレっ!?!?」」
わたしはペルルの全力否定に思わずコクコク頷いてしまったが、バルにぃとルーねぇの驚き具合から見るに有名人なのだろうか??
「うぃーにぃー ちっちゅてる??」
バルにぃとルーねぇが、「マジかっ!?ウソだろぅっ!?!?」とか「本当に本物っ!?これは奇跡だわっ!!」と騒ぐ中、ひとりだけ静かにジッと精霊女王を見つめるウィルにぃ。
「うぃーにぃー??」
わたしがもう一度呼びかけると、ウィルにぃがハッとしてわたしを見る。
「あっ…、あぁ…。精霊女王ラーレだね。ペルルの言うとおりだよ。全ての精霊の母としてその名は知られているけど、今まで誰もその姿を見た者が居なかったんだよ。普段は精霊の森に住んでいて、精霊女王も他の精霊と同じで気まぐれ。そんな精霊女王を目の前にして、バルドリックとルイーザは興奮しているんだろうね」
「へぇ~っ…」
そんな風に答えながら、未だに精霊女王を見つめるウィルにぃと、にこにこ微笑んでいる精霊女王ラーレ。
そんなふたりの顔を交互に見ながらわたしはピコンっ!!と閃く。
もしかしたらもしかして、ウィルにぃは精霊女王ラーレがタイプなんじゃないっ!?!?
そうするとコレは可愛くて神秘的なラーレにウィルにぃが一目惚れした感じですねっ!!!!
精霊女王ラーレは本当に可愛い。
キメが細かく雪の様に白い肌、形の整った薄桃色のぷるんとした唇、足元まで伸びる緩くウェーブするその髪はまるで光の束を集めたかの様な黄金色。
そして何より神秘的ななのはその瞳だ。
精霊女王の瞳は七色が星の光の様に瞬いている。
普段はわたしを溺愛しまくるウィルにぃだけど、ウィルにぃも男の子って事だね。
わたしは思わず、ギュフフッと笑ってしまう。
〔エル…。思っている事が全部顔に出てるけど、それは絶対に無いと思うっきゅ…〕
にやにや笑うわたしにペルルが頭が痛そうにため息をつく、しかし妄想が爆発しているわたしは、そんなペルルの様子に全く気がつく事は無かった。
食堂の前に着くと、先導をしてくれていたアンヌルフが扉を開けてくれる。
「エル、おはよう」
「エルちゃん、おはよう」
《エルちゃん、おはようなの》
扉が開くと、既に席に着席していたバルにぃとルーねぇがおはようの挨拶をしてくれる。
ん…?んんんっ!?!?
なんか今、声がひとつ多くなかったか??
食堂の席にはバルにぃ、ルーねぇ、七色の美しい蝶の羽を持つ女の子。
んんん~~~っ!?!?
「だれ…??」
「「えぇぇぇ~っ!?!?」」
バルにぃとルーねぇは隣に座っていた女の子の存在に全く気がついていなかったのか、物凄くビックリしている。
〔精霊女王ラーレ!!また出たなっ…!!!!〕
アメリアの腕の中でぐぅぐぅっと唸るペルル。
ペルルの知り合いかな??
それにしてはペルルは威嚇しているし…。
【ペルルよ落ち着け。このまま立ち話をする訳にはゆくまいて。まずは全員席に着こうではないか】
〔ちっ…。わかったっきゅよ〕
ペルル…。めっちゃ舌打ちするやん…。
シロガネの言葉に従い、全員が席に座る。
わたしはもちろんウィルにぃの横。
向いにバルにぃ、ルーねぇ、蝶の羽を持つ女の子。
ペルルとシロガネはアメリアとアンネリースの手によってそっとテーブルの上に下ろされる。
《ペルル、ひどいのなの。わたしをまるで全世界で忌み嫌われる、夏の風物詩の黒き悪魔の様に言うなんて…。ひどいのなの…》
七色の美しい蝶の羽を持つ女の子が、よよよっ…と崩れ、ぐすんぐすん…っと泣きまねをする。
「えぇっと… ぺりゅりゅ ちりあい??」
そんな様子を見ながらわたしは、ペルルにぽしょりと耳打ちをする。
するとペルルが物凄く苦くてマズいモノを噛んでしまったかの様にしかめっ面をしながら、
〔アレは全ての精霊の母である精霊女王ラーレ。それに決して知り合いなんかじゃ無くて、ただの顔見知りなだけっきゅっ!!!!〕
「おっ… おぅ…っ」
「「精霊女王ラーレっ!?!?」」
わたしはペルルの全力否定に思わずコクコク頷いてしまったが、バルにぃとルーねぇの驚き具合から見るに有名人なのだろうか??
「うぃーにぃー ちっちゅてる??」
バルにぃとルーねぇが、「マジかっ!?ウソだろぅっ!?!?」とか「本当に本物っ!?これは奇跡だわっ!!」と騒ぐ中、ひとりだけ静かにジッと精霊女王を見つめるウィルにぃ。
「うぃーにぃー??」
わたしがもう一度呼びかけると、ウィルにぃがハッとしてわたしを見る。
「あっ…、あぁ…。精霊女王ラーレだね。ペルルの言うとおりだよ。全ての精霊の母としてその名は知られているけど、今まで誰もその姿を見た者が居なかったんだよ。普段は精霊の森に住んでいて、精霊女王も他の精霊と同じで気まぐれ。そんな精霊女王を目の前にして、バルドリックとルイーザは興奮しているんだろうね」
「へぇ~っ…」
そんな風に答えながら、未だに精霊女王を見つめるウィルにぃと、にこにこ微笑んでいる精霊女王ラーレ。
そんなふたりの顔を交互に見ながらわたしはピコンっ!!と閃く。
もしかしたらもしかして、ウィルにぃは精霊女王ラーレがタイプなんじゃないっ!?!?
そうするとコレは可愛くて神秘的なラーレにウィルにぃが一目惚れした感じですねっ!!!!
精霊女王ラーレは本当に可愛い。
キメが細かく雪の様に白い肌、形の整った薄桃色のぷるんとした唇、足元まで伸びる緩くウェーブするその髪はまるで光の束を集めたかの様な黄金色。
そして何より神秘的ななのはその瞳だ。
精霊女王の瞳は七色が星の光の様に瞬いている。
普段はわたしを溺愛しまくるウィルにぃだけど、ウィルにぃも男の子って事だね。
わたしは思わず、ギュフフッと笑ってしまう。
〔エル…。思っている事が全部顔に出てるけど、それは絶対に無いと思うっきゅ…〕
にやにや笑うわたしにペルルが頭が痛そうにため息をつく、しかし妄想が爆発しているわたしは、そんなペルルの様子に全く気がつく事は無かった。
125
お気に入りに追加
3,686
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~
あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい?
とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。
犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです
ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。
女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。
前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る!
そんな変わった公爵令嬢の物語。
アルファポリスOnly
2019/4/21 完結しました。
沢山のお気に入り、本当に感謝します。
7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。
2021年9月。
ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。
10月、再び完結に戻します。
御声援御愛読ありがとうございました。
転生先は盲目幼女でした ~前世の記憶と魔法を頼りに生き延びます~
丹辺るん
ファンタジー
前世の記憶を持つ私、フィリス。思い出したのは五歳の誕生日の前日。
一応貴族……伯爵家の三女らしい……私は、なんと生まれつき目が見えなかった。
それでも、優しいお姉さんとメイドのおかげで、寂しくはなかった。
ところが、まともに話したこともなく、私を気に掛けることもない父親と兄からは、なぜか厄介者扱い。
ある日、不幸な事故に見せかけて、私は魔物の跋扈する場所で見捨てられてしまう。
もうダメだと思ったとき、私の前に現れたのは……
これは捨てられた盲目の私が、魔法と前世の記憶を頼りに生きる物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界母さん〜母は最強(つよし)!肝っ玉母さんの異世界で世直し無双する〜
トンコツマンビックボディ
ファンタジー
馬場香澄49歳 専業主婦
ある日、香澄は買い物をしようと町まで出向いたんだが
突然現れた暴走トラック(高齢者ドライバー)から子供を助けようとして
子供の身代わりに車にはねられてしまう
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
夫婦で異世界に召喚されました。夫とすぐに離婚して、私は人生をやり直します
もぐすけ
ファンタジー
私はサトウエリカ。中学生の息子を持つアラフォーママだ。
子育てがひと段落ついて、結婚生活に嫌気がさしていたところ、夫婦揃って異世界に召喚されてしまった。
私はすぐに夫と離婚し、異世界で第二の人生を楽しむことにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる