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第四章
王都1日目⑩
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「うんみゅ~っ…、うっ…??」
目が覚めて身じろぎしようとするも、何かにガッチリと阻まれて動けない。
「みゅ??みゅっ!?」
寝起きの、頭がまだ半分寝ている状態で必死に考える。
目の前には肌色の壁。そしてほんのり温かい。
ん…??温かい肌色の壁??
「にゅぅ~っ????」
ぺたぺたと目の前の肌色の壁に手を当てて、これが何なのかを探る。
ぺたぺた ぺたぺた
「ふっ…っふふふっ。くすぐったいよエル」
頭の上からウィルにぃのくすぐったそうな笑い声が聞こえる。
「うみゅ?? うぃーにぃー??」
「ふふふっ。そうだよ。おはよう、エル。」
ウィルにぃは笑いながら、ちゅっちゅっとわたしのおでこにおはようのキスを贈ってくる。
わたしが肌色の壁だと思っていたのはウィルにぃのはだけた胸元だった。
しかし、何でわたしはウィルにぃに抱きしめられて寝てるんだろう??
「エル、エルはおはようのキスを贈ってくれないの?」
わたしがそんな事を考えていると、ウィルにぃのしょんぼりした声色が聞こえてくる。
未だにウィルにぃの腕の中でベッドに寝ている状態だが、胸元がはだけたウィルにぃから香るほのかなかな色気。
まだ7歳なのにほのかな色気とか、ウィルにぃ恐ろしい子っ!!
「エル?どうしたの??」
「ううん にゃんでもにゃい なの うぃーにぃー はーよ」
わたしはウィルにぃのほっぺにちゅっとおはようのキスを贈る。
「ありがとう、エル。こうしてエルと一緒に目覚められるなんて僕は凄く嬉しいよ」
うっ…!!眩しいっ!!
鼻血が出るんじゃないかと言うぐらいに、麗しく眩しい笑顔のウィルにぃに身悶える。
ウィルにぃの笑顔、ごちそうさまですっ!!
〔何してるっきゅか…〕
【エル、起きたか】
目線を上げて枕元を見ると、ウィルにぃの麗しい笑顔を拝んでいるわたしを、呆れた顔で見ているペルルと目が合う。
「ぺりゅりゅ ちりょぎゃね はーよ」
ウィルにぃの腕から開放してもらって起き上がり、ペルルとシロガネ抱きしめ、ふたりのおでこにおはようのキスをする。
〔はいはい、おはよ〕
【あぁ、おはよう。だが、もう昼過ぎだぞ】
ペルルとシロガネがおはようのあいさつをしながら、キスの代わりにすりすりと体を擦り付けてくる。
「ほえっ??そうなの??」
くきゅきゅきゅぅ~っ…
お昼の時間と聞いた途端、わたしのお腹が空腹を訴えて鳴る。
「ぷっ…、エル、可愛らしい音が鳴ったね。エルがお腹を空かせてるみたいだし、着替えてお昼ごはんにしようか。エルは何が食べたい?」
くすくすっと笑い、ウィルにぃが頭を優しく撫でながらお昼ごはんのリクエストを聞いてくる。
「う~ん…」
お昼ごはんかぁ。
ベッドの脇に置かれている時計を見ると、時間は2時を過ぎたあたり。
この時間にガッツリ食べると晩ごはんが食べられなくなる。
う~ん。何がいいかなぁ~。
食事でもあり、おやつでもある食べ物…。
うんっ!!決定っ!!
「うぃーにぃー あにょね エルね パンケーキ たべりゅ しゅるっ!!」
「パンケーキだね。わかったよ。エルはいつものメープルシロップたっぷりに生クリーム、果物のトッピングかな?」
「うんっ!!」
「そっか。じゃあ僕は甘くないパンケーキを用意してもらおうかな。
よしっ。そうと決まれば着替えをしなくちゃね」
そう言うとウィルにぃがベッドの脇に置かれているベルを鳴らす。
チリリリ~ン
コンコンコンッ
「ウィルフリード様、アメリアとアンネリースでございます」
「入れ」
「「失礼いたします」」
アメリアとアンネリースが扉の前で一礼をし、部屋に入ってくる。
「アメリアはエルの着替えを。アンネリースは厨房のバメイに私達の昼食はパンケーキにする様に伝えてくれ。エルはいつものメープルシロップたっぷりに生クリーム、果物のトッピング。僕は甘くないパンケーキだ。
あと、厨房に行くついでにアンヌルフを呼んでくれ。僕も着替える」
「「かしこまりました」」
「ウィルフリード様、エルお嬢様。先程お目覚めになられたバルドリック様とルイーザお嬢様が昼食をご一緒したいとの事ですが、如何なさいますか?」
「そうだね。まぁ、ふたりの目的はエルなんだろうけど、僕は構わないよ。エルもいいよね?」
「うんっ!!」
「じゃあ、バルドリックとルイーザに“構わない”と伝えておいて」
「かしこまりました」
ウィルにぃの指示でアメリアとアンネリースが動き出す。
そうか、バルにぃもルーねぇも、あの後眠ったんだね。
ふたりとも魔力が暴走寸前まで溢れてたけど、眠って少しでも元気になったかな?
ってか、今更だけど、本当に今更だけど、ここ、わたしの部屋じゃなくて、ウィルにぃの部屋?
何でわたしはウィルにぃの部屋で、しかもウィルにぃと一緒に眠ってたんだろ?
まぁ、ウィルにぃと一緒なのはデフォルトだから全然構わないけど。
「エル?どうしたの?やっぱり何処が調子悪い?」
ウィルにぃの部屋をキョロキョロ見渡すわたしの顔を、ウィルにぃが心配そうに覗き込む。
「う??」
「ううん、何でもないよ」
ウィルにぃはきょとんとするわたしを膝の上に乗せると、ぎゅうっと抱きしめてくる。
あんまりキョロキョロするものだから、ウィルにぃに心配かけちゃったかな?
わたしは大丈夫だよの意味を込めて、ウィルにぃをぎゅっと抱かしめ返す。
お互いを抱きしめ合い、わたしとウィルにぃは顔を見合わせて笑いあった。
目が覚めて身じろぎしようとするも、何かにガッチリと阻まれて動けない。
「みゅ??みゅっ!?」
寝起きの、頭がまだ半分寝ている状態で必死に考える。
目の前には肌色の壁。そしてほんのり温かい。
ん…??温かい肌色の壁??
「にゅぅ~っ????」
ぺたぺたと目の前の肌色の壁に手を当てて、これが何なのかを探る。
ぺたぺた ぺたぺた
「ふっ…っふふふっ。くすぐったいよエル」
頭の上からウィルにぃのくすぐったそうな笑い声が聞こえる。
「うみゅ?? うぃーにぃー??」
「ふふふっ。そうだよ。おはよう、エル。」
ウィルにぃは笑いながら、ちゅっちゅっとわたしのおでこにおはようのキスを贈ってくる。
わたしが肌色の壁だと思っていたのはウィルにぃのはだけた胸元だった。
しかし、何でわたしはウィルにぃに抱きしめられて寝てるんだろう??
「エル、エルはおはようのキスを贈ってくれないの?」
わたしがそんな事を考えていると、ウィルにぃのしょんぼりした声色が聞こえてくる。
未だにウィルにぃの腕の中でベッドに寝ている状態だが、胸元がはだけたウィルにぃから香るほのかなかな色気。
まだ7歳なのにほのかな色気とか、ウィルにぃ恐ろしい子っ!!
「エル?どうしたの??」
「ううん にゃんでもにゃい なの うぃーにぃー はーよ」
わたしはウィルにぃのほっぺにちゅっとおはようのキスを贈る。
「ありがとう、エル。こうしてエルと一緒に目覚められるなんて僕は凄く嬉しいよ」
うっ…!!眩しいっ!!
鼻血が出るんじゃないかと言うぐらいに、麗しく眩しい笑顔のウィルにぃに身悶える。
ウィルにぃの笑顔、ごちそうさまですっ!!
〔何してるっきゅか…〕
【エル、起きたか】
目線を上げて枕元を見ると、ウィルにぃの麗しい笑顔を拝んでいるわたしを、呆れた顔で見ているペルルと目が合う。
「ぺりゅりゅ ちりょぎゃね はーよ」
ウィルにぃの腕から開放してもらって起き上がり、ペルルとシロガネ抱きしめ、ふたりのおでこにおはようのキスをする。
〔はいはい、おはよ〕
【あぁ、おはよう。だが、もう昼過ぎだぞ】
ペルルとシロガネがおはようのあいさつをしながら、キスの代わりにすりすりと体を擦り付けてくる。
「ほえっ??そうなの??」
くきゅきゅきゅぅ~っ…
お昼の時間と聞いた途端、わたしのお腹が空腹を訴えて鳴る。
「ぷっ…、エル、可愛らしい音が鳴ったね。エルがお腹を空かせてるみたいだし、着替えてお昼ごはんにしようか。エルは何が食べたい?」
くすくすっと笑い、ウィルにぃが頭を優しく撫でながらお昼ごはんのリクエストを聞いてくる。
「う~ん…」
お昼ごはんかぁ。
ベッドの脇に置かれている時計を見ると、時間は2時を過ぎたあたり。
この時間にガッツリ食べると晩ごはんが食べられなくなる。
う~ん。何がいいかなぁ~。
食事でもあり、おやつでもある食べ物…。
うんっ!!決定っ!!
「うぃーにぃー あにょね エルね パンケーキ たべりゅ しゅるっ!!」
「パンケーキだね。わかったよ。エルはいつものメープルシロップたっぷりに生クリーム、果物のトッピングかな?」
「うんっ!!」
「そっか。じゃあ僕は甘くないパンケーキを用意してもらおうかな。
よしっ。そうと決まれば着替えをしなくちゃね」
そう言うとウィルにぃがベッドの脇に置かれているベルを鳴らす。
チリリリ~ン
コンコンコンッ
「ウィルフリード様、アメリアとアンネリースでございます」
「入れ」
「「失礼いたします」」
アメリアとアンネリースが扉の前で一礼をし、部屋に入ってくる。
「アメリアはエルの着替えを。アンネリースは厨房のバメイに私達の昼食はパンケーキにする様に伝えてくれ。エルはいつものメープルシロップたっぷりに生クリーム、果物のトッピング。僕は甘くないパンケーキだ。
あと、厨房に行くついでにアンヌルフを呼んでくれ。僕も着替える」
「「かしこまりました」」
「ウィルフリード様、エルお嬢様。先程お目覚めになられたバルドリック様とルイーザお嬢様が昼食をご一緒したいとの事ですが、如何なさいますか?」
「そうだね。まぁ、ふたりの目的はエルなんだろうけど、僕は構わないよ。エルもいいよね?」
「うんっ!!」
「じゃあ、バルドリックとルイーザに“構わない”と伝えておいて」
「かしこまりました」
ウィルにぃの指示でアメリアとアンネリースが動き出す。
そうか、バルにぃもルーねぇも、あの後眠ったんだね。
ふたりとも魔力が暴走寸前まで溢れてたけど、眠って少しでも元気になったかな?
ってか、今更だけど、本当に今更だけど、ここ、わたしの部屋じゃなくて、ウィルにぃの部屋?
何でわたしはウィルにぃの部屋で、しかもウィルにぃと一緒に眠ってたんだろ?
まぁ、ウィルにぃと一緒なのはデフォルトだから全然構わないけど。
「エル?どうしたの?やっぱり何処が調子悪い?」
ウィルにぃの部屋をキョロキョロ見渡すわたしの顔を、ウィルにぃが心配そうに覗き込む。
「う??」
「ううん、何でもないよ」
ウィルにぃはきょとんとするわたしを膝の上に乗せると、ぎゅうっと抱きしめてくる。
あんまりキョロキョロするものだから、ウィルにぃに心配かけちゃったかな?
わたしは大丈夫だよの意味を込めて、ウィルにぃをぎゅっと抱かしめ返す。
お互いを抱きしめ合い、わたしとウィルにぃは顔を見合わせて笑いあった。
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