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第四章
大人達の会議⑦
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「エルシーアちゃんがこの世界の愛し子…」
「私の言葉が信じられないかい?」
「いいえ、実際にエルシーアちゃんが浄化と治癒の魔法を使うのを見ましたし、何より四聖獣が一体で在らせられる白虎様の分身体が護っていらっしゃる時点で本当の話なのでしょう。
しかし兄上はエルシーアちゃんが愛し子である事と、今回の騒動について何か関係があるとお考えなのですか?」
「実はね、新たな邪神が聖神国で誕生した様なんだけど、前回の邪神と今回の邪神、同じ邪神にしてはすいぶんと毛色が違う様な気がしてね」
「新たな邪神の誕生っ!?!?
兄上…、それでは今回の騒動はその新たな邪神がもたらしたと?
やはりカーラとその邪神は繋がりがあるのですね…」
アーデルハードが眉根を下げ、不安そうな様子で聞いてくる。
アーデルハードには不憫で申し訳ないが、真実を伝えなければならない。
真実を踏まえた上で、邪神がどの様に絡んでいるかを考えなければ。
「アーデルハード、実は──」
〔シロガネ…〕
【うむ。エルの元へ飛ぶぞ。其方達は話の続きをしていろ。直に戻ってくる】
私がアーデルハードに話を切り出そうとした瞬間、ペルル殿とシロガネ殿がエルの元へと転移する。
「あなた…」
妻が不安そうに私へ視線を向けてくる。
ペルル殿とシロガネ殿が転移でエルの元へ飛んだのだ。不安になっても仕方ない。
「大丈夫だよ、ハリエット。シロガネ殿は直に戻ってくると仰っていただろう?
私達はシロガネ殿の言葉を信じて先に話を進めておこう。皆もそれでいいかな?」
私が視線を巡らせると、それぞれ了承の意を示す。
「アーデルハード、先程の話の続きなんだが、シロガネ殿が仰っしゃるには、どうやらカーラは邪神の精神操作を受けていた様なんだ」
「な…っ!?!?」
アーデルハードが驚愕のあまり立ち上がる。
「アーデルハード、大丈夫だから、落ち着きなさい。カーラ嬢の精神操作は、エルの浄化と治癒の魔法で解けているから安心しなさい」
「えっ…??あっ…はい」
カーラ嬢の精神操作が解けていると聞いて安心したのか、アーデルハードがストンとソファーに座り込む。
「カーラ嬢とハンナ夫人だが、後でエミリーに今回の騒動の記憶を消してもらうつもりだ。覚えていて良い事などひとつも無いしね。
それに、エルシーアがあれだけの魔法を使えることを知る者は少ない方がいい」
「兄上、そこまでご配慮していただきありがとうございます。
エミリーさんもご協力ありがとうございます」
「あらぁ~ん♪気にしなくてもいいのよん。全てはエルちゃんを護る為のですものん♪」
「そうですか…」
「そうなのよぉ~んっ♪」
バチンッ☆とエミリーがアーデルハードにウィンクをする。
それを受けたアーデルハードはタジタジだ。
そんなふたりの様子を見て、くすくすっと可笑しそうに笑うハリエット。
エミリーは相変わらず雰囲気を明るくする才能があるな。
「私の言葉が信じられないかい?」
「いいえ、実際にエルシーアちゃんが浄化と治癒の魔法を使うのを見ましたし、何より四聖獣が一体で在らせられる白虎様の分身体が護っていらっしゃる時点で本当の話なのでしょう。
しかし兄上はエルシーアちゃんが愛し子である事と、今回の騒動について何か関係があるとお考えなのですか?」
「実はね、新たな邪神が聖神国で誕生した様なんだけど、前回の邪神と今回の邪神、同じ邪神にしてはすいぶんと毛色が違う様な気がしてね」
「新たな邪神の誕生っ!?!?
兄上…、それでは今回の騒動はその新たな邪神がもたらしたと?
やはりカーラとその邪神は繋がりがあるのですね…」
アーデルハードが眉根を下げ、不安そうな様子で聞いてくる。
アーデルハードには不憫で申し訳ないが、真実を伝えなければならない。
真実を踏まえた上で、邪神がどの様に絡んでいるかを考えなければ。
「アーデルハード、実は──」
〔シロガネ…〕
【うむ。エルの元へ飛ぶぞ。其方達は話の続きをしていろ。直に戻ってくる】
私がアーデルハードに話を切り出そうとした瞬間、ペルル殿とシロガネ殿がエルの元へと転移する。
「あなた…」
妻が不安そうに私へ視線を向けてくる。
ペルル殿とシロガネ殿が転移でエルの元へ飛んだのだ。不安になっても仕方ない。
「大丈夫だよ、ハリエット。シロガネ殿は直に戻ってくると仰っていただろう?
私達はシロガネ殿の言葉を信じて先に話を進めておこう。皆もそれでいいかな?」
私が視線を巡らせると、それぞれ了承の意を示す。
「アーデルハード、先程の話の続きなんだが、シロガネ殿が仰っしゃるには、どうやらカーラは邪神の精神操作を受けていた様なんだ」
「な…っ!?!?」
アーデルハードが驚愕のあまり立ち上がる。
「アーデルハード、大丈夫だから、落ち着きなさい。カーラ嬢の精神操作は、エルの浄化と治癒の魔法で解けているから安心しなさい」
「えっ…??あっ…はい」
カーラ嬢の精神操作が解けていると聞いて安心したのか、アーデルハードがストンとソファーに座り込む。
「カーラ嬢とハンナ夫人だが、後でエミリーに今回の騒動の記憶を消してもらうつもりだ。覚えていて良い事などひとつも無いしね。
それに、エルシーアがあれだけの魔法を使えることを知る者は少ない方がいい」
「兄上、そこまでご配慮していただきありがとうございます。
エミリーさんもご協力ありがとうございます」
「あらぁ~ん♪気にしなくてもいいのよん。全てはエルちゃんを護る為のですものん♪」
「そうですか…」
「そうなのよぉ~んっ♪」
バチンッ☆とエミリーがアーデルハードにウィンクをする。
それを受けたアーデルハードはタジタジだ。
そんなふたりの様子を見て、くすくすっと可笑しそうに笑うハリエット。
エミリーは相変わらず雰囲気を明るくする才能があるな。
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