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第四章

王都1日目⑨

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ビーーーーーッ!!!!

ビーーーーーッ!!!!

ビーーーーーッ!!!!



わたしが設定した警報音が屋敷中に鳴り響く。
嘘でしょっ!?何でっ!?!?
だって来たのは、おとしゃまの弟さん家族だよ!?
もしかして、弟さん家族の誰かに悪意を持つ人が居るって事!?

今回張った結界は、王都に居る間の、あくまでも保険のつもりだった。
だから自分で設定したくせに、本当に鳴るとは思ってもみなくて、自分が青ざめていくのがわかる。
そして呼吸がどんどん浅くなる。

「ぺりゅりゅぅ…、ちろぎゃねぇ…っ」

どうしたからいいのかわからず、膝の上にいるペルルにすがりつく。

〔エル、エルっ!!大丈夫っきゅか??一旦深呼吸して落ち着くっきゅよ。ほら、一緒に深呼吸するっきゅ〕

ペルルに頬をペチペチと叩かれ、深呼吸を促される。

すぅ~~っ…、はぁ~~っ…
すぅ~~っ…、はぁ~~っ…

〔少しは落ち着いたっきゆか??〕

[うん…、少し落ち着いたよ。ありがとう、ペルル]

その様子を見ていたシロガネか、ピョンとかぁしゃまの膝の上からこちらにやって来て、私の目に滲んだ涙を舐めとり、額をすりすりと擦りつけてくる。
すると青ざめ、呼吸が浅くなり、冷たくなっていた体を、ふんわりと温かい魔力が包み込む。

【精神安定のリラックスの魔法をかけておいた。これで少しは落ち着くはずだ】

[ありがとう。シロガネ]

【気にするな。それに我とペルルが常に側に居る。安心するがよい】

[ふふふっ。うん、そうだね。わたしには頼もしいペルルとシロガネが居て、家族にエミリーちゃんも居るもんね。わたしはひとりじゃない。だから絶対に大丈夫!!よしっ、元気が出てきたよっ!!]

わたしはペルルとシロガネをぎゅうっと抱きしめ、お互いの頬を擦り合わせた。



「エル、大丈夫かい??」

おとしゃまがわたしの顔を覗き込んで聞いてくる。他のみんなも心配そうにわたしの様子を窺っている。

[うん。おとしゃま、みんな。ちょっとビックリし過ぎただけだよ。わたしはもう大丈夫]

「そうか、よかった…」

おとしゃまが優しく頭を撫でてくれる。他のみんなも安堵したみたい。
そして、おとしゃまが真剣な顔つきになる。

「エル。今、応接室に私の弟家族を待たせている。警報音が鳴ったという事は、残念ながら弟家族の中に悪意を持つ者が居るという事だ。
だけど、向こうはこちらが警戒している事を知らない。
そのため、何も知らないフリをして、今から顔合わせの挨拶に向う。
本当はエルにはここに残ってもらいたいが、家族同士の顔合わせだからね。エルも一緒に挨拶をしてもらう事になる。
どうかな??大丈夫そうかい??」

[おとしゃま、わたしにはペルルもシロガネも居るから大丈夫よ]

「お父様、エルの事は必ず僕が護ります。なのでご安心ください。
エル、エルの事は必ず僕が護るから。だから何も心配しなくてもいいからね」

そう言うと、ウィルにぃは立ち上がってわたしの手を取り、上目使いで見つめながら、手の甲にちゅっとキスをした。
にゃふんっ!!!!自分の頬が赤く、熱くなるのがわかる。

「あっ!!兄貴ばっかりずりぃ~っ!!
エル。兄貴だけじゃなくて、俺も必ず護ってやるからなっ!!」

今度はバルにぃが立ち上がり、ウィンクをしながらわたしの髪を一房つまみ、ちゅっとキスをしてきた。
ぬぉぉぉぉ~っ!!!!バルにぃっ!!何の対抗心やねんっ!!

「もうっ!!ウィルお兄様もバルも冗談が過ぎますわよっ!!
エルちゃん、安心して。たとえ相手が誰であろうと、このわたくしが指一本触れさせませんわっ!!」

そう言うとルーねぇは立ち上がり、わたしの両手を握りながら、ぶんぶん振り上げては下ろす。
しかし、ルーねぇ、言う事が男前ですね。惚れてまうやろぉ~~っ!!

「はいはい。そこまでよん、あんたたち。
もうっ、エルちゃんがビックリして固まってるじゃあないのん」

パンパンッと手を叩きながら、お兄ちゃんズとお姉ちゃんを窘めるエミリーちゃん。

「そうよ、あなた達。これ以上お客様をお待たせする訳にはいかないの。今から応接室に向かいますから、しっかりしてちょうだいね」

かぁしゃまが左手を腰に当て、右手の人差し指を、ぴっと立て“めっ”としながら各自身だしなみを整え、しっかりする様に言ってくる。

「エル。エルはペルル殿やシロガネ殿と一緒に私の腕の中に居れば大丈夫だからね。
さて、みんな準備はいいかい?」

おとしゃまがペルルとシロガネごとわたしを抱き上げ、準備ができたかどうか見渡し確認する。

「よし、じゃあ行こうか」


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