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第四章

王都1日目⑦

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チャールズさんに案内されたお部屋で、かぁしゃまの指示の元、デルミーラとアメリア、アンネリースが荷解きをしています。
わたしはその邪魔にならない様に、大人しくしているのです。
もちろんペルルとシロガネも一緒です。

〔さてと、じゃあ今のうちに結界を張っておくっきゅ〕

[ねぇ、ペルル。その結界を張る作業だけど、わたしも手伝っていい??]

〔……一体何をするっきゅ??〕

ペルルが動きを止め、わたしを疑わしそうに見る。

[やだなぁ。そんな目で見ないでよ。
ただ、わたしには悪意察知って言うスキルがあるでしょ?
だから、そのスキルを使って、わたしだけじゃあなくて、このヴァイマル家に関わる全ての者に対し、悪意を持つ者が近づいたら警報が鳴る様にしようと思って。
わたしだけが護られるんじゃなくて、わたしもみんなを護りたいの]

〔まぁ、それぐらいならいいっきゅけど。
じゃあ、ボクの手を握って魔力を同調させるっきゅ〕

[わかった]

ペルルを向かい合わせになる様に膝に乗せ、小さな手を握る。
握ったペルルの手から温かい魔力が流れてくる。その魔力に合わせる様に、わたしも自分の魔力を流していく。
わたしとペルルの魔力がピタリと重なったところで、

〔『防護結界発動』〕

ペルルが結界を発動させる。わたしとペルルの手の間から、七色の光が溢れ、屋敷の敷地全体に広がり、魔力が染み込んで行くのがわかる。

〔魔力も馴染んだし、結界は上手く張れたようきゅね〕

ペルルはうんうんと頷きながら、結界の出来に満足している。

〔エル、後でちゃんとフリッツィとハリエットに報告するっきゅよ〕

[あっ、はい…]

ちゃんと報告するもん。

[あれっ??ねぇねぇ、シロガネ。
そういえば、わたしの認識阻害はいつかけるの??]

【ん??認識阻害の魔法なら、もうかけてある
ぞ】

うつらうつらと微睡んでいたシロガネが、目を開けてサラリと言う。

[えっ??いつの間に??]

【先程、其方がソファーに座る際に、我が尻尾で頭を撫でたであろう?その時だ】

[おぉ~っ。なるほど。
じゃあ、知らない人には、わたしの顔がぼんやりとしか見えないんだね?]

【あぁ。ぼんやりとしか見えないし、後から思い出そうにも思い出せない】

[ほぇ~っ。それは便利な魔法だねぇ。
ところでさ、シロガネは何で念話なの??]

【ん?それは飼い猫のフリをしているからだが?普通の猫は喋らないのであろう??】

[まぁ、そうだね]

【そういう事だ。周りには我が鳴いている様にしか見えん】

ほうほう。シロガネも対人対策をちゃんとしてるんだね。




「あら、エルちゃん。ペルルちゃんとシロガネちゃんと楽しそうね」

「あっ…」

実は、かぁしゃま達の荷解きを待つ間、最初はいい子に座っていたけど、だんだんとジッとしているのが耐えられなくなったのです。
幼子の忍耐力はめっちゃ短く、一瞬なのです。
そこで、お行儀が悪いと知りつつ、ソファーの上でうつ伏せに寝転がり、足をプラプラ、左手にペルルを囲いつつ、右手でシロガネのお腹のもふもふを堪能していた。

「かぁしゃま、もうお片付けは終わった??」

「えぇ、デルミーラとアメリア、アンネリースが手伝ってくれたもの」

かぁしゃまの言葉を聞きつつ、怒られる前に起き上がる。

[三人とも優秀だもんねぇ~]

かぁしゃまの手伝いをしてくれていた、デルミーラ達を褒めながら、さっきまで寝転がっていた事を無かった事にする。

「えぇ。本当にそのとおりね。あなた達には感謝をしないとね。いつもありがとう」

[ありがとうなの]

「「「もったいなきお言葉、ありがとうございます」」」

デルミーラ、アメリア、アンネリースが揃ってお辞儀をする。
その所作は美しく、流石は上級メイドって感じなのです。

[かぁしゃま、お片付けが終わったのなら、おとしゃまの所に行きたいの。
おとしゃまとかぁしゃまにお話する事があるのよ]

「まぁ、そうなのね。先程感じた魔力に関係があるのかしら?
旦那様の所もそろそろ片付けが終わったでしょうし、行きましょうか」

「はーい」

右手を挙げて、良い子のお返事をする。
ってか、かぁしゃまは気がついていたんだね。
じゃあ、おとしゃまも気がついているかな??
さてさて、ちゃんと説明しなくちゃね。



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