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第四章
王都1日目③
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おとしゃまに抱っこされて、地下へと続く階段を下る。
おとしゃまの後ろには、家族のみんなにエミリーちゃん、そしてセバスにベアティ、デルミーラ、ペルルとシロガネをそれぞれ抱っこしたアメリアにアンネリース、バメイが続く。
「エル、これが転移陣へと繋がる扉だよ」
アカンサス模様が施された木の扉の上には、二本のクロスした剣とオオカミの顔が彫られた美しいレリーフがはめ込まれている。
そのオオカミの瞳の部分にはアンバー色の魔石が輝いている。
まるで本物のオオカミがこちらをジッと見ているようだ。
「この扉はね、ヴァイマル家の直系の者にしか開くことができないんだよ。エル、扉に触れてごらん」
おとしゃまに言われたとおり、転移陣へと続く扉にソッと触れる。
するとオオカミの瞳が輝き出し、ひとりでに扉が開いた。
「おぉぉぉ~っ!!!!」
思わず感嘆の声を上げてしまう。
そこにはギリシャ神殿の様なコリント式の支柱が12本、円形に並んでいた。
「さぁ、中に入ろうか」
おとしゃまは、わたしを抱っこしたまま支柱の中心へと進んて行く。
バルにぃが言っていたとおり、その支柱は太く大きかった。
支柱の高さは2階建てぐらいなので、6m程だろうか。
支柱の天辺には、透明な珠を抱えた動物の彫刻が置かれている。
ネズミ、牛、虎、ウサギ、辰…って、おぉぉぉ~~いっ!!!!
辰はまんま龍やないかいっ!!
龍が珠持っとるやないかいっ!!
何っ!?!?なんなのっ!?!?
支柱の上の動物は十二支がモチーフなの??
わたしは全ての動物の彫刻を確認する。
うん…十二支でした…。
この転移陣を最初に創って伝えたのって、絶対にエアネスト様だよね…。
しかし何だろう??この十二支は方角でも示してるのかな??
「にぇえにぇえ、とーしゃ、とーしゃ」
わたしはおとしゃまの腕をタップする。
「うん?どうしたんだい?」
[おとしゃま、この支柱の上の動物って方角を示してる??]
「方角??その様な話は初めて聞いたな。
エルはあの支柱の上の動物の意味がわかるのかい?
それに、残念だけど、お父様には何の動物なのかわからないのもあるんだ」
あ~っ…。確かに。
全部前世の、日本で見る干支そのもので形が造られてるからね。
特に龍なんて見たこと無いよね。
[おとしゃま、この家から王宮に転移する時に、動物が持ってる珠が光ったりする??]
「よくわかったね。いつも全ての珠が光ってるよ」
[ふむ…。じゃあ、王宮から家に帰って来るときは全部光る??]
「いいや。そういえば家に帰る時は、いつもあそことあそこの2つの動物の珠が光ってるね」
[ふむふむ…]
おとしゃまが指を差したのは羊と猿。
仮説でしか無いけど、我が家から王宮に転移する時に、十二支全部が光るのは、多分王都を中心としてるから。
そして王宮から家に帰って来る時に、羊と猿の珠が光るのは、我が家は王都から見て南西にあるってことかな??
まぁ、検証したわけじゃ無いし、正確にはわからないけど。
「エル、何かわかったのかい?」
[ん~っ…。検証した訳じゃないから、ハッキリとは言えないけど…。
王都を中心とした時に、あのネズミを北として、時計回りに方角を示してるんじゃないかなって。
そうすると北がネズミ、東がウサギ、南が馬、西がニワトリって当てはまるの。
だから、おとしゃまが王宮に行く時は全部の珠が光って、王宮から帰って来る時は、羊と猿の珠が光る。
そうやって当てはめると、我が家は王都から見て南西になるんじゃないかな?って思ったの]
「なるほど…。古くからこの転移陣について、魔塔が研究していたが、何故この動物で、何故この並びでないと転移できないのかばかりを研究していてね。
しかしなるほど。方角か…。
一度エルの考えを、エルの名前を伏せて魔塔に伝えてみようか。きっと研究が進むはずだよ」
[えっ!?!?でも、確信も何も無いよ??そんな事を話しちゃっても大丈夫なの??]
「あぁ。あの研究バカ共にはいい刺激になるだろう」
研究バカっておとしゃま…。
まぁ、おとしゃまが大丈夫って言うならいいのかな??
「あらあら、まぁまぁ。それにしてもエルちゃんは、よくそんな難しい事を考えついたわね」
かぁしゃまが、抱っこされているわたしに近づき、頭をなでなでしてくれる。
えへへっ。かぁしゃまに褒められちゃった。
まぁ、前世の記憶なんだけどね。
でも、かぁしゃまに褒められるのは凄く嬉しい。
「うん。流石は僕のエルだね。エルは天才だっ」
ウィルにぃも近づいてきて、頭をなでなでしてくれる。
そしてなでなでの最後に、わたしの右手を取り、指先にちゅっとキスをした。
「あらぁ~っ。まぁまぁ。ウィルは本当にエルちゃんが大好きなのねぇ~っ」
「はい。世界で一番、他の何よりもエルの事を愛しています」
かぁしゃまの、のほほんとした言葉に対して、キリッとキメ顔を作り答えるウィルにぃ。
ちょっ…まっ…、えぇ~っ…。
愛って言い切っちゃってるしぃ~っ!!!!
「あらぁ~んっ♡エルちゃんは本当に愛されているのねぇ~んっ♪
うらやましいわぁんっ♡」
エミリーちゃんがくねくねしながら、わたしのほっぺをツンツンしてくる。
そんな様子をウィルにぃ以外の家族はやれやれと見守り、セバス達使用人はクスクス笑っていた。
おとしゃまの後ろには、家族のみんなにエミリーちゃん、そしてセバスにベアティ、デルミーラ、ペルルとシロガネをそれぞれ抱っこしたアメリアにアンネリース、バメイが続く。
「エル、これが転移陣へと繋がる扉だよ」
アカンサス模様が施された木の扉の上には、二本のクロスした剣とオオカミの顔が彫られた美しいレリーフがはめ込まれている。
そのオオカミの瞳の部分にはアンバー色の魔石が輝いている。
まるで本物のオオカミがこちらをジッと見ているようだ。
「この扉はね、ヴァイマル家の直系の者にしか開くことができないんだよ。エル、扉に触れてごらん」
おとしゃまに言われたとおり、転移陣へと続く扉にソッと触れる。
するとオオカミの瞳が輝き出し、ひとりでに扉が開いた。
「おぉぉぉ~っ!!!!」
思わず感嘆の声を上げてしまう。
そこにはギリシャ神殿の様なコリント式の支柱が12本、円形に並んでいた。
「さぁ、中に入ろうか」
おとしゃまは、わたしを抱っこしたまま支柱の中心へと進んて行く。
バルにぃが言っていたとおり、その支柱は太く大きかった。
支柱の高さは2階建てぐらいなので、6m程だろうか。
支柱の天辺には、透明な珠を抱えた動物の彫刻が置かれている。
ネズミ、牛、虎、ウサギ、辰…って、おぉぉぉ~~いっ!!!!
辰はまんま龍やないかいっ!!
龍が珠持っとるやないかいっ!!
何っ!?!?なんなのっ!?!?
支柱の上の動物は十二支がモチーフなの??
わたしは全ての動物の彫刻を確認する。
うん…十二支でした…。
この転移陣を最初に創って伝えたのって、絶対にエアネスト様だよね…。
しかし何だろう??この十二支は方角でも示してるのかな??
「にぇえにぇえ、とーしゃ、とーしゃ」
わたしはおとしゃまの腕をタップする。
「うん?どうしたんだい?」
[おとしゃま、この支柱の上の動物って方角を示してる??]
「方角??その様な話は初めて聞いたな。
エルはあの支柱の上の動物の意味がわかるのかい?
それに、残念だけど、お父様には何の動物なのかわからないのもあるんだ」
あ~っ…。確かに。
全部前世の、日本で見る干支そのもので形が造られてるからね。
特に龍なんて見たこと無いよね。
[おとしゃま、この家から王宮に転移する時に、動物が持ってる珠が光ったりする??]
「よくわかったね。いつも全ての珠が光ってるよ」
[ふむ…。じゃあ、王宮から家に帰って来るときは全部光る??]
「いいや。そういえば家に帰る時は、いつもあそことあそこの2つの動物の珠が光ってるね」
[ふむふむ…]
おとしゃまが指を差したのは羊と猿。
仮説でしか無いけど、我が家から王宮に転移する時に、十二支全部が光るのは、多分王都を中心としてるから。
そして王宮から家に帰って来る時に、羊と猿の珠が光るのは、我が家は王都から見て南西にあるってことかな??
まぁ、検証したわけじゃ無いし、正確にはわからないけど。
「エル、何かわかったのかい?」
[ん~っ…。検証した訳じゃないから、ハッキリとは言えないけど…。
王都を中心とした時に、あのネズミを北として、時計回りに方角を示してるんじゃないかなって。
そうすると北がネズミ、東がウサギ、南が馬、西がニワトリって当てはまるの。
だから、おとしゃまが王宮に行く時は全部の珠が光って、王宮から帰って来る時は、羊と猿の珠が光る。
そうやって当てはめると、我が家は王都から見て南西になるんじゃないかな?って思ったの]
「なるほど…。古くからこの転移陣について、魔塔が研究していたが、何故この動物で、何故この並びでないと転移できないのかばかりを研究していてね。
しかしなるほど。方角か…。
一度エルの考えを、エルの名前を伏せて魔塔に伝えてみようか。きっと研究が進むはずだよ」
[えっ!?!?でも、確信も何も無いよ??そんな事を話しちゃっても大丈夫なの??]
「あぁ。あの研究バカ共にはいい刺激になるだろう」
研究バカっておとしゃま…。
まぁ、おとしゃまが大丈夫って言うならいいのかな??
「あらあら、まぁまぁ。それにしてもエルちゃんは、よくそんな難しい事を考えついたわね」
かぁしゃまが、抱っこされているわたしに近づき、頭をなでなでしてくれる。
えへへっ。かぁしゃまに褒められちゃった。
まぁ、前世の記憶なんだけどね。
でも、かぁしゃまに褒められるのは凄く嬉しい。
「うん。流石は僕のエルだね。エルは天才だっ」
ウィルにぃも近づいてきて、頭をなでなでしてくれる。
そしてなでなでの最後に、わたしの右手を取り、指先にちゅっとキスをした。
「あらぁ~っ。まぁまぁ。ウィルは本当にエルちゃんが大好きなのねぇ~っ」
「はい。世界で一番、他の何よりもエルの事を愛しています」
かぁしゃまの、のほほんとした言葉に対して、キリッとキメ顔を作り答えるウィルにぃ。
ちょっ…まっ…、えぇ~っ…。
愛って言い切っちゃってるしぃ~っ!!!!
「あらぁ~んっ♡エルちゃんは本当に愛されているのねぇ~んっ♪
うらやましいわぁんっ♡」
エミリーちゃんがくねくねしながら、わたしのほっぺをツンツンしてくる。
そんな様子をウィルにぃ以外の家族はやれやれと見守り、セバス達使用人はクスクス笑っていた。
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