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第三章

夜更けの密談②

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〈父:フリッツィSide〉



「『王宮、陛下の執務室へと転移』」

私は転移陣へと魔力を流し、陛下の待つ執務室へとシロガネ殿と共に転移する。
白い光に包まれ、目を開けると、そこは陛下の待つ執務室。

「フリッツィ、よく来たな」

「陛下、本日は貴重なお時間を頂き、誠にありがとうございます」

執務室のソファーに座る陛下に対片膝を付き、話し合いの時間を設けてもらえた事に対し感謝の意を伝える。

「その様な挨拶は良い。お前もソファーに座れ」

「失礼いたします」

陛下に促され執務室のソファーに座る。
シロガネ殿には隠匿魔法で姿を隠してもらっている。
一緒に姿を現し、私との繋がりを疑われない為だ。

「さて、では早速話をしようか。
こんな夜更けに謁見を求めるという事は、財政部長のフリッツィでは無く、王家の裏の番犬としての謁見か?」

黄金の髪とロイヤルブルーの目を持ち、この国の統治者であり、私の友人でもあるデットリックが話を切り出してくる。

「流石ですね、陛下。よくお分かりで」

「デット。デットでいい。ここには我とフリッツィ、其方しか居ない。楽にして構わない」

「しかし…」

「いくら其方が王国の裏の番犬とは言え、もうとっくに執務の時間は終わっている」

「しかし、事はこの国に関わる重大な話なのです。ケジメはしっかりとつけなければ」

「そうか、其方は相変わらず堅いな」

「陛下が気安すぎるのです」

デットリックはとても親しみ深く、いい奴だ。しかし、これから話す内容には“デット”と言う呼び方は相応しくない。
これは王国の裏の番犬からこの国を統治する者への話なのだから。

「陛下、これから話す内容はとても重大な事なのです。陛下には今日中に決断して貰わなければなりません」

私はこれから話す内容は、軽々しいものでは無いと、陛下の目を見つめ告げる。

「そんなにか…。わかった。話せ」

陛下は一瞬天を仰ぎ、息を吐いてから話を促す。その姿はもう友人同士の気安いものではなく、統治者としての姿だ。

「ご理解頂きありがとうございます。
では、明後日に迫っているお披露目の儀式ですが、例年通りなら公表される、個人の魔力属性やスキルを伏せていただきたいのです」

「ほう…何故?と聞いても?」

【その件については、我から話そう】

今まで姿を隠していた、シロガネ殿が本来の白虎としての姿で現れる。

「貴方様は…」

【我は白虎。この世界の西を守護する四聖獣が一体である】

「白虎様…。お会いできて光栄です。
わたくしはこの王国の統治者、デットリック・ローザモンドと申します」

陛下はソファーから立ち上がり、膝を付いて頭を垂れ、敬意を表す。
私もそれに倣い、後ろで膝を付いて頭を垂れる。

【その様な堅苦しい挨拶は不要だ。二人とも頭を上げ、ソファーに座れ】

「「はっ。では失礼します」」

【うむ。では我から理由を説明しよう】

シロガネ殿は私の座るソファーの横に伏せ、陛下にその理由を語りだした。


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