上 下
130 / 166
第三章

サロンにて⑥

しおりを挟む
〈父:フリッツィSide〉



「さて、話はまとまった事だし、各々、明日からのスケジュールは大丈夫だね?
私は陛下に謁見の先触れを出すために、一度王宮に戻るけど、君たちはどうする?」

私は先触れのために王宮に戻るが、妻や息子、娘達、そしてエミリーは夕食までの時間をどの様に過ごすかを確認する。

「わたくしは、明日からのスケジュールの最終確認を、執務室でセバスと行いますわ」

「ありがとう。よろしく頼むよ」

王都でのスケジュール調整は全て妻に任せっきりとなってしまっている。
しかし、セバスとであれば、任せてしまっても大丈夫だろう。

「あらぁんっ♡じゃあ、あたくしは夕食までの時間、子ども達を独占しようかしらんっ♪」

「うっ…」
「げっ…」
「お゛ぉ゛んっ!?」

ウィルフリードとバルドリックの拒否の反応に、エミリーがこめかみをピクピクさせている。

「そう。だったらウィルちゃんと、バルちゃんは部屋に戻りなさいな。
あたくしは、ルイーザちゃんとエルちゃんとの女の子同士で過ごすわんっ♪女子会よぉ~っ♡!!」

エミリーが、ウィルフリードとバルドリックに対して、シッシッとぞんざいに手を払う。

「「なっ…!?!?」」

「あらぁん??あたくしと一緒に過ごすのは嫌なのでしょう?無理しなくてもいいのよん??
ルイーザちゃん、あたくし、エルちゃんと一緒にルイーザちゃんのお部屋でおしゃべりしたい気分だわぁ~っん♡」

「「ぐぬっ…」」

にやにや笑うエミリーに、悔しがるウィルフリードとバルドリック。
これはふたりの負けだね。

「エミリー、うちの息子達をぞんざいに扱わないでおくれ。
それと、ウィルフリード、バルドリック。君達の負けだよ。エルと一緒に居たかったら、大人しくエミリーに従いなさい」

「「………わかりました。」」

うん。随分と溜めたね…。
うちの息子達は、本当にエミリーの事が苦手だよね。

「じゃあ、私は一度王宮に戻るよ。エミリー、子ども達を頼んだよ」

「わたくしも執務室に参りますわ。
わたくしは打ち合わせが終わり次第、サロンに戻るけど、よろしくお願いね、エミリー」

「はいはぁ~いっ☆任せなさいなんっ♪」

私は子ども達をエミリーに任せ、王宮へと向かった。


────────────────────


「エルちゃん、あたくしね、エルちゃんに紹介したい子が居るのよん」

おとしゃまとかぁしゃまがサロンを退室した後、エミリーちゃんがわたしに声をかけてきた。

[紹介??]

紹介したい子って誰だろう?これから家に来るのかな??

「あたくしのお友達よんっ♪エルちゃん、よく見ていてねんっ☆」

そう言うと、エミリーちゃんは、腰まである藤色の髪をふわりとかき上げる。すると、その長い髪の中から、黒く光り輝く精霊が出てきた。

[精霊さん??]

「ええ、そうよ。この子は闇の精霊。あたくしの契約精霊で、名前はシュワーツというの。仲良くしてあげてねんっ♪」

エミリーちゃんの契約精霊は女の子で、墨色の目と髪を持っている。全長は10cm程度だけど、人間で言うところの10歳位の姿をしている。
いつもわたしの周りを飛び回っている精霊は、全長2cm程度で、だいたい2~3歳位の姿だ。

[わたしの周りにいる精霊さんと姿が全然違う。エミリーちゃん、何で??]

「あぁ。それはね、この子は契約精霊で、契約精霊は契約主の魔力を糧に成長するからよ。
シュワーツもね、最初は3歳位の姿たったのよん」

エミリーちゃんは、自分の肩に座るシュワーツの頭を人差し指で優しく撫でている。
シュワーツも嬉しそうだ。

[エミリーちゃん、精霊契約はどうやったらできるの??]

「ん~っ。そうねぇ、まずは精霊に好かれないとダメねん。精霊が“この人だったら契約してもいいかな”って人を選ぶのよ。
そうすると、次は精霊側からアクションを起こすわ。具体的には姿が見える様になるとか、声が聞こえる様になるとかねん。で、選ばれた側の人が精霊に唯一の名前を与え、契約完了ね」

[なるほどぉ~っ。じゃあ、ウィルにぃの側にいつも居る氷と水の精霊が“契約したい”って騒いでるけど───]

〔エぇルぅ~~~っ!!!!〕



しおりを挟む
感想 220

あなたにおすすめの小説

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい? とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。 犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

乙女ゲームの世界に転生したと思ったらモブですらないちみっこですが、何故か攻略対象や悪役令嬢、更にヒロインにまで溺愛されています

真理亜
ファンタジー
乙女ゲームの世界に転生したと思ったら...モブですらないちみっこでした。 なのに何故か攻略対象者達や悪役令嬢、更にヒロインにまで溺愛されています。 更に更に変態銀髪美女メイドや変態数学女教師まで現れてもう大変!  変態が大変だ! いや大変な変態だ! お前ら全員ロ○か!? ロ○なんか!? ロ○やろぉ~! しかも精霊の愛し子なんて言われちゃって精霊が沢山飛んでる~! 身長130cmにも満たないちみっこヒロイン? が巻き込まれる騒動をお楽しみ下さい。 操作ミスで間違って消してしまった為、再掲しております。ブックマークをして下さっていた方々、大変申し訳ございません。

幼子は最強のテイマーだと気付いていません!

akechi
ファンタジー
彼女はユリア、三歳。 森の奥深くに佇む一軒の家で三人家族が住んでいました。ユリアの楽しみは森の動物達と遊ぶこと。 だが其がそもそも規格外だった。 この森は冒険者も決して入らない古(いにしえ)の森と呼ばれている。そしてユリアが可愛い動物と呼ぶのはSS級のとんでもない魔物達だった。 「みんなーあしょぼー!」 これは幼女が繰り広げるドタバタで規格外な日常生活である。

異世界母さん〜母は最強(つよし)!肝っ玉母さんの異世界で世直し無双する〜

トンコツマンビックボディ
ファンタジー
馬場香澄49歳 専業主婦 ある日、香澄は買い物をしようと町まで出向いたんだが 突然現れた暴走トラック(高齢者ドライバー)から子供を助けようとして 子供の身代わりに車にはねられてしまう

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

処理中です...