127 / 166
第三章
サロンにて③
しおりを挟む
シロガネに裏庭での事を、正直に話す様に言われたわたし。
しかし、どこから話せばいいのやら…。
やっぱり錬金術で試験管を造ったところからかな?
バメイに試験管の素材を貰いに行った時点で、なんやかんやでバレそうな気がする…。黙っていて、後からバレた時の方が恐ろしいもんね…。特にかぁしゃまが。
ここは全部素直に話すしかないね。
[あのね、まずこの試験管は、ワインのコルクの栓とか、欠けちゃったりしたグラスをバメイにお願いして貰って造ったの]
おとしゃまの膝の上から、隣に座るかぁしゃまの様子をチラリと伺う。
「まぁ、そうだったの。エルちゃん、バメイにちゃんとお礼を言ったかしら?」
[うん。もちろん。ちゃんとお礼は言ったよ]
「そう。それならよかったわ。それにしても、よく出来ているわ」
えへへ。かぁしゃまに褒められた。
「うん。本当によく出来ているね。流石は僕のエルだ」
ウィルにぃがテーブルの上に置かれた、種入り試験管を摘み上げ、しげしげと眺めている。
しかし、最後の褒めゼリフ、ウィルにぃはブレないな…。
「兄貴のエルじゃなくて、俺達のエルだけど。しかしエルはすげーなっ!!でも、どうしてこんな物を集めようと思ったんだ?」
「そうね、流石はわたくしの妹のエルちゃんね。
エルちゃん、どうしてかわたくしも知りたいわ。教えてくれるかしら?」
バルにぃは涙入り試験管を摘み上げ、ちゃぷちゃぷ振りながら不思議そうに聞いてくる。
それをルーねぇがバルにぃから受け取り、観察しながら聞いてくる。
ところで、ふたりも何でウィルにぃに対抗してるんだろう?
しかし、“どうして”か…。
わたしの、『王都行きに対して、まだ不安』って言う気持ちを正直に話してもいいのだろうか?
チラリとエミリーちゃんの隣に座っているペルルを見る。
ペルルは目が合うと、まるで『大丈夫だ』と言わんばかりにコクンと頷いてくれた。
うん。ペルルが大丈夫って言うんだもん。正直に話してみよう。
[あのね、王都に行く事を決めた気持ちは本物なの。だけど、王都行きに対して、正直まだ不安があって…。
だったらその不安に対抗できるように、対策をしっかり考えなくちゃっ!!って、ポーション作りの勉強をしようと思ったの。ポーションさえあれば、怪我や病気も治せるかなって。そしたら、わたしの身の回りの人も助けられると思って…]
わたしは話しながら段々俯いてしまう。王都行きを決めたのは自分なのに、未だ不安な気持ちが消えないのが恥ずかしくなってしまったのだ。
「エル。エルは王都に行くのは初めてなんだから、不安でいいんだよ。
それに、エルの正直な気持ちを話してくれて、お父様は嬉しかったよ。
でも、ポーションの材料に精霊樹の葉っぱとかを選んだのは何でだい?」
おとしゃまは、俯いてしまったわたしの頭を優しく優しく撫でてくれる。
そしてわたしの正直な気持ちを受け止めてくれた。その事が嬉しくて仕方ない。
ペルルやシロガネが言う通り、家族に甘えていいんだ…。
[あのね、本当はHPもMPも回復する精霊樹の実を持って行きたかったの。だけど、それは危険だから止めなさいってシロガネに言われて。精霊樹の実はダメだけど、精霊樹の葉っぱにも何か効果があるんじゃないかって思って持って来たの。ドラちゃんの葉っぱも同じ理由。
種は弱いけど麻痺の効果があるから、誰かに襲われたりした時に使えないかなって思ったの。
涙の効果はまだわからないけど、これから研究してみようかなって。
ただ、精霊樹とドラちゃんのの葉っぱは、ペルルとシロガネが居る時のみ使用するって制限がついてるけど…]
「そうか…。エルは自分だけじゃなくて、自分の周りに居る人を護るために色々考えていたんだね。ありがとう…。
エルはまだまだ幼いのにいっぱいいっぱい悩んで考えて、本当にえらいね。
ただ、エルはまだまだ幼子だ。だからこそ、今は私達に甘え、護らせておくれ。
まぁ、エルが大きくなっても護るけどね」
おとしゃまが優しく頭を撫でながら、甘えていいんだと教えてくれる。
あぁ…。わたしはこの家の子に生まれ変わってなんて幸せなんだろう。
しかし、どこから話せばいいのやら…。
やっぱり錬金術で試験管を造ったところからかな?
バメイに試験管の素材を貰いに行った時点で、なんやかんやでバレそうな気がする…。黙っていて、後からバレた時の方が恐ろしいもんね…。特にかぁしゃまが。
ここは全部素直に話すしかないね。
[あのね、まずこの試験管は、ワインのコルクの栓とか、欠けちゃったりしたグラスをバメイにお願いして貰って造ったの]
おとしゃまの膝の上から、隣に座るかぁしゃまの様子をチラリと伺う。
「まぁ、そうだったの。エルちゃん、バメイにちゃんとお礼を言ったかしら?」
[うん。もちろん。ちゃんとお礼は言ったよ]
「そう。それならよかったわ。それにしても、よく出来ているわ」
えへへ。かぁしゃまに褒められた。
「うん。本当によく出来ているね。流石は僕のエルだ」
ウィルにぃがテーブルの上に置かれた、種入り試験管を摘み上げ、しげしげと眺めている。
しかし、最後の褒めゼリフ、ウィルにぃはブレないな…。
「兄貴のエルじゃなくて、俺達のエルだけど。しかしエルはすげーなっ!!でも、どうしてこんな物を集めようと思ったんだ?」
「そうね、流石はわたくしの妹のエルちゃんね。
エルちゃん、どうしてかわたくしも知りたいわ。教えてくれるかしら?」
バルにぃは涙入り試験管を摘み上げ、ちゃぷちゃぷ振りながら不思議そうに聞いてくる。
それをルーねぇがバルにぃから受け取り、観察しながら聞いてくる。
ところで、ふたりも何でウィルにぃに対抗してるんだろう?
しかし、“どうして”か…。
わたしの、『王都行きに対して、まだ不安』って言う気持ちを正直に話してもいいのだろうか?
チラリとエミリーちゃんの隣に座っているペルルを見る。
ペルルは目が合うと、まるで『大丈夫だ』と言わんばかりにコクンと頷いてくれた。
うん。ペルルが大丈夫って言うんだもん。正直に話してみよう。
[あのね、王都に行く事を決めた気持ちは本物なの。だけど、王都行きに対して、正直まだ不安があって…。
だったらその不安に対抗できるように、対策をしっかり考えなくちゃっ!!って、ポーション作りの勉強をしようと思ったの。ポーションさえあれば、怪我や病気も治せるかなって。そしたら、わたしの身の回りの人も助けられると思って…]
わたしは話しながら段々俯いてしまう。王都行きを決めたのは自分なのに、未だ不安な気持ちが消えないのが恥ずかしくなってしまったのだ。
「エル。エルは王都に行くのは初めてなんだから、不安でいいんだよ。
それに、エルの正直な気持ちを話してくれて、お父様は嬉しかったよ。
でも、ポーションの材料に精霊樹の葉っぱとかを選んだのは何でだい?」
おとしゃまは、俯いてしまったわたしの頭を優しく優しく撫でてくれる。
そしてわたしの正直な気持ちを受け止めてくれた。その事が嬉しくて仕方ない。
ペルルやシロガネが言う通り、家族に甘えていいんだ…。
[あのね、本当はHPもMPも回復する精霊樹の実を持って行きたかったの。だけど、それは危険だから止めなさいってシロガネに言われて。精霊樹の実はダメだけど、精霊樹の葉っぱにも何か効果があるんじゃないかって思って持って来たの。ドラちゃんの葉っぱも同じ理由。
種は弱いけど麻痺の効果があるから、誰かに襲われたりした時に使えないかなって思ったの。
涙の効果はまだわからないけど、これから研究してみようかなって。
ただ、精霊樹とドラちゃんのの葉っぱは、ペルルとシロガネが居る時のみ使用するって制限がついてるけど…]
「そうか…。エルは自分だけじゃなくて、自分の周りに居る人を護るために色々考えていたんだね。ありがとう…。
エルはまだまだ幼いのにいっぱいいっぱい悩んで考えて、本当にえらいね。
ただ、エルはまだまだ幼子だ。だからこそ、今は私達に甘え、護らせておくれ。
まぁ、エルが大きくなっても護るけどね」
おとしゃまが優しく頭を撫でながら、甘えていいんだと教えてくれる。
あぁ…。わたしはこの家の子に生まれ変わってなんて幸せなんだろう。
79
お気に入りに追加
3,611
あなたにおすすめの小説
裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~
あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい?
とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。
犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
神獣に転生!?人を助けて死んだら異世界に転生する事になりました
Miki
ファンタジー
学校が終わりバイトに行く途中、子供を助けて代わりに死んでしまった。
実は、助けた子供は別の世界の神様でお詫びに自分の世界に転生させてくれると言う。
何か欲しい能力があるか聞かれたので希望をいい、いよいよ異世界に転生すると・・・・・・
何故か神獣に転生していた!
始めて書いた小説なので、文章がおかしかったり誤字などあるかもしてませんがよろしくお願いいたします。
更新は、話が思いついたらするので早く更新できる時としばらく更新てきない時があります。ご了承ください。
人との接し方などコミュニケーションが苦手なので感想等は返信できる時とできない時があります。返信できなかった時はごめんなさいm(_ _)m
なるべく返信できるように努力します。
ハイエルフの幼女に転生しました。
レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは
神様に転生させてもらって新しい世界で
たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく
死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。
ゆっくり書いて行きます。
感想も待っています。
はげみになります。
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
転生少女の異世界のんびり生活 ~飯屋の娘は、おいしいごはんを食べてほしい~
明里 和樹
ファンタジー
日本人として生きた記憶を持つ、とあるご飯屋さんの娘デリシャ。この中世ヨーロッパ風ファンタジーな異世界で、なんとかおいしいごはんを作ろうとがんばる、そんな彼女のほのぼのとした日常のお話。
異世界転生はうっかり神様のせい⁈
りょく
ファンタジー
引きこもりニート。享年30。
趣味は漫画とゲーム。
なにかと不幸体質。
スイーツ大好き。
なオタク女。
実は予定よりの早死は神様の所為であるようで…
そんな訳あり人生を歩んだ人間の先は
異世界⁈
魔法、魔物、妖精もふもふ何でもありな世界
中々なお家の次女に生まれたようです。
家族に愛され、見守られながら
エアリア、異世界人生楽しみます‼︎
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる