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第三章

裏会議⑤

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〈父:フリッツィSide〉



「はぁ…っ、何だかとっても衝撃的なお話だったわん…」

シロガネ殿とペルル殿が転移で部屋を出ていった後、エミリーがソファーの背もたれに体を預け、ため息を溢した。

「エミリー、明日からの王都の生活では、エルと一緒に過ごす時間が一番多いのはお前になる。どうかエルシーアをよろしく頼む」

「何よ、水臭いわね。さっきも言った通り、あたくしにとってエルちゃんは、大事な大事なお友達よん?任せておきなさいなんっ♪
アンタはアンタで陛下にどう話をするか考えなさいな」

私の言葉に、バチンッとウィンクをして答えるエミリー。
エミリーは元々鋭い奴だから、先程のシロガネ殿と私の会話で色々と察したのだろう。

「では、一旦解散としようか。
さぁ、お前たちもいろんな話を聞いて疲れただろう。部屋に戻り休みなさい。
エルが目を覚したら一緒におやつを食べよう」

「「「わかりました。お父様」」」

ウィルフリード、バルドリック、ルイーザがそれぞれ私に一礼し、サロンから出て行く。

「では、あっしもここで失礼します」

「あぁ、バメイ。驚きが多かっただろうが、話を聞いてくれてありがとう。助かったよ。
どうか、明日からもよろしく頼む」

「旦那様、エミリーじゃあないが水臭いっすよ。お嬢はあっしにとっても大事なお嬢ですからね。お嬢の食事は任せてくだせぇ。
さっ、あっしは今晩の食事の下ごしらえをしますかね」

そう言うと、バメイはサロンから出て行った。

「ベアティ、私はエルがお昼寝から目覚め、一緒に3時のティータイムを終えてから王城に戻る。
それまでに謁見の先触れのをしなくてはな。準備をしておいてくれ」

「かしこまりました。では先に旦那様の執務室に行き、準備をしておきます」

「よろしく頼む」

「では、一旦失礼致します」

ベアティが一礼し、サロンを出て行った。

「アメリア、アンネリース、日頃からエルシーアの面倒を見てくれてありがとう。
あの子は無茶ばかりするから大変だろうが、これからもよろしく頼むよ」

「「はっ。旦那様、ありがたきお言葉」」

「さぁ、エルシーアが目覚める前に戻ってやってくれ」

「「では、御前を失礼致します」」

アメリアとアンネリースが揃って頭を下げ、サロンを出て行く。

「ハリー、私は一旦執務室に戻るが君はどうする?」

「そうね、わたくしはエルが目覚めるまで、ここでエミリーと話をしたいわ」

「そうか。ではエミリー、ハリーの相手を頼むよ」

「はいはぁ~いっ♪任せて頂戴なんっ☆」

そう言って、手をひらひらと振るエミリー。

「デルミーラ、ハリーとエミリーに新しいお茶を」

「かしこまりました。旦那様。では、奥様とエミリー様のお茶の準備をしてまいります」

「うん、よろしくね。
さて、セバス。明日から私達一家は王都へ行く。その間、この家の事は頼んだよ」

「お任せください、旦那様。
旦那様方こそ、王都では何が起こるかわかりません。どうかお気をつけて。
では、わたくしは通常の業務に戻ります」

スッと一礼してサロンを出て行くセバス。
セバスは私の父の代からずっとこの家に仕えてくれている。彼に任せておけば問題無いだろう。

さぁ、私はどうやって陛下を説得するか考えなくてはな。


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