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第三章
裏会議①
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〈父:フリッツィSide〉
コンコンコンッ
「旦那様、バメイです。お呼びとの事で参りました」
「入ってくれ」
バメイの呼びかけに入室を許可する。セバスが扉を開け、中に入るように促す。
普段はあまり入るのとの無いサロンへの入室に戸惑っているのが伺える。
「急に呼びたして悪かった。明日からの王都での生活について、事前に話して起きたい事があるんだ。だから遠慮せず、座ってくれ」
「いえ…、しかし…」
部屋の隅に控える家令のセバス、従者のベアティ、メイドのデルミーラ、アメリア、アンネリースが立っているのに、自分だけが座る事に抵抗があるようだ。
「構わない。座ってくれ。妻のハリエットが戻ってきたら、全員座らせる。話が長くなるからな」
「はぁ…、では失礼して…」
私を中心にして、左側にウィルフリード、バルドリック、ルイーザ。右側にエミリーが座って居る。バメイはエミリーと同じソファーの端に座る。
シロガネ殿はエミリーの膝の上で目を瞑り、大人しく撫でられている。
コンコンコンッ
「旦那様、ハリエットです。戻りましたわ」
「あぁ、入ってくれ」
私の声掛けに応じ、扉を開けるセバス。
戻ってきた妻の腕の中には、一緒にエルを寝かしに行ったペルル殿が居る。妻はペルル殿を腕に抱いたまま私の隣へと座る。
「これで全員揃ったな。セバス達も座りなさい」
「「「「「かしこまりました。失礼致します」」」」」
私の指示でサロンの端にある待機用のイスに座るセバス達。
「これからこの場で見聞きする事は、一切他言無用とする。良いな」
私が一人ずつ見渡すと、それぞれが頷く。
「よろしい。では、ペルル殿。申し訳ありませんが結界をお願いします」
〔わかったよ。遮音結界発動〕
ペルル殿の額にある、緑色の宝石がキラリと光る。
〔もういいよ〕
ペルル殿の念話と結界を初めて見聞きする、エミリーやバメイ達は驚いているようだ。
「まずは改めて紹介させて貰おう。ペルル殿は幻獣のカーバンクルであり、願いの守護獣。いつもは常にエルの側に居て護ってくださっている。そして、もう一方──」
私がシロガネ殿を紹介しようとすると、エミリーの膝の上からピョンと飛び上がり、サロンのテーブルの上に座る。
「やあやあ、諸君。我の名はシロガネ。
この世界の四方を守護する四聖獣が一体、白虎の分体である。
今は従魔契約を結び、エルシーアの飼い猫になっておるが、よろしく頼む」
「「えぇっ!?!?」」
エミリーとバメイが驚きの声を上げる。
「お喋りするから、ただの猫ちゃんじゃあないって思っていたけどん…。まさか白虎様だなんてん…」
エミリーは戸惑いを隠せず、バメイ至っては驚きで固まっている。
「エミリーやバメイが驚くことは無理もない。私達も存分に驚いたからな。だが、これは事実。正真正銘、シロガネ殿は四聖獣の一体であらせられる白虎様だ。
シロガネ殿は明日からの王都行きに不安がっている、エルシーアの為だけにわざわざ分体を遣わし、我が家に来てくださったのだ」
「そうだったのねん…。でも、何故わざわざエルちゃんの為だけに?」
エミリーは鋭い。普通の子どもがただ王都に行くのが不安だからといって、わざわざ聖獣がやって来る事はありえない。
「ペルル殿、シロガネ殿。エルシーアの事を話しても?」
エルシーアが愛し子である事を話してもいいかどうかを尋ねる。
〔必要な事だから、いいんじゃない?〕
妻の腕の中に居る、ペルル殿は話してもいいと言う。シロガネ殿はどうだろうか…。
「シロガネ殿は如何でしょうか?」
「うむ。ペルルと同じく、エルシーアを護るためには必要な事じゃからな。我から話そうぞ。
ただし、これから話すエルシーアの事については他言無用。もし、少しでも漏らす様な事があれば、躊躇なく罰を与える。常に精霊達が我の目となり耳となり其方達を見張っているからな。しかと心得よ」
シロガネ殿がその黄金の瞳でひとりひとり見渡し、忠告する。
この場にいる全員が覚悟を持った目をしている。
「シロガネ殿。大丈夫な様です。では、お話をお願いできますか?」
「良かろう。エルシーアはこの世界、アクスルの愛し子じゃ──」
シロガネ殿は私達とペルル殿しか知らない、エルシーアの秘密について話し始めた。
コンコンコンッ
「旦那様、バメイです。お呼びとの事で参りました」
「入ってくれ」
バメイの呼びかけに入室を許可する。セバスが扉を開け、中に入るように促す。
普段はあまり入るのとの無いサロンへの入室に戸惑っているのが伺える。
「急に呼びたして悪かった。明日からの王都での生活について、事前に話して起きたい事があるんだ。だから遠慮せず、座ってくれ」
「いえ…、しかし…」
部屋の隅に控える家令のセバス、従者のベアティ、メイドのデルミーラ、アメリア、アンネリースが立っているのに、自分だけが座る事に抵抗があるようだ。
「構わない。座ってくれ。妻のハリエットが戻ってきたら、全員座らせる。話が長くなるからな」
「はぁ…、では失礼して…」
私を中心にして、左側にウィルフリード、バルドリック、ルイーザ。右側にエミリーが座って居る。バメイはエミリーと同じソファーの端に座る。
シロガネ殿はエミリーの膝の上で目を瞑り、大人しく撫でられている。
コンコンコンッ
「旦那様、ハリエットです。戻りましたわ」
「あぁ、入ってくれ」
私の声掛けに応じ、扉を開けるセバス。
戻ってきた妻の腕の中には、一緒にエルを寝かしに行ったペルル殿が居る。妻はペルル殿を腕に抱いたまま私の隣へと座る。
「これで全員揃ったな。セバス達も座りなさい」
「「「「「かしこまりました。失礼致します」」」」」
私の指示でサロンの端にある待機用のイスに座るセバス達。
「これからこの場で見聞きする事は、一切他言無用とする。良いな」
私が一人ずつ見渡すと、それぞれが頷く。
「よろしい。では、ペルル殿。申し訳ありませんが結界をお願いします」
〔わかったよ。遮音結界発動〕
ペルル殿の額にある、緑色の宝石がキラリと光る。
〔もういいよ〕
ペルル殿の念話と結界を初めて見聞きする、エミリーやバメイ達は驚いているようだ。
「まずは改めて紹介させて貰おう。ペルル殿は幻獣のカーバンクルであり、願いの守護獣。いつもは常にエルの側に居て護ってくださっている。そして、もう一方──」
私がシロガネ殿を紹介しようとすると、エミリーの膝の上からピョンと飛び上がり、サロンのテーブルの上に座る。
「やあやあ、諸君。我の名はシロガネ。
この世界の四方を守護する四聖獣が一体、白虎の分体である。
今は従魔契約を結び、エルシーアの飼い猫になっておるが、よろしく頼む」
「「えぇっ!?!?」」
エミリーとバメイが驚きの声を上げる。
「お喋りするから、ただの猫ちゃんじゃあないって思っていたけどん…。まさか白虎様だなんてん…」
エミリーは戸惑いを隠せず、バメイ至っては驚きで固まっている。
「エミリーやバメイが驚くことは無理もない。私達も存分に驚いたからな。だが、これは事実。正真正銘、シロガネ殿は四聖獣の一体であらせられる白虎様だ。
シロガネ殿は明日からの王都行きに不安がっている、エルシーアの為だけにわざわざ分体を遣わし、我が家に来てくださったのだ」
「そうだったのねん…。でも、何故わざわざエルちゃんの為だけに?」
エミリーは鋭い。普通の子どもがただ王都に行くのが不安だからといって、わざわざ聖獣がやって来る事はありえない。
「ペルル殿、シロガネ殿。エルシーアの事を話しても?」
エルシーアが愛し子である事を話してもいいかどうかを尋ねる。
〔必要な事だから、いいんじゃない?〕
妻の腕の中に居る、ペルル殿は話してもいいと言う。シロガネ殿はどうだろうか…。
「シロガネ殿は如何でしょうか?」
「うむ。ペルルと同じく、エルシーアを護るためには必要な事じゃからな。我から話そうぞ。
ただし、これから話すエルシーアの事については他言無用。もし、少しでも漏らす様な事があれば、躊躇なく罰を与える。常に精霊達が我の目となり耳となり其方達を見張っているからな。しかと心得よ」
シロガネ殿がその黄金の瞳でひとりひとり見渡し、忠告する。
この場にいる全員が覚悟を持った目をしている。
「シロガネ殿。大丈夫な様です。では、お話をお願いできますか?」
「良かろう。エルシーアはこの世界、アクスルの愛し子じゃ──」
シロガネ殿は私達とペルル殿しか知らない、エルシーアの秘密について話し始めた。
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