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第三章

やっぱり家族会議⑤

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「シロガネ様…、その、エルの飼い猫というのは?」

おとしゃまが恐る恐る尋ねる。

「うむ。我の事は“シロガネ”だけで大丈夫だぞ。
其方達は明日から王都に行くのであろう?
じゃが、エルが王都行きに対して不安がっておったからの。
そのため我の本体がエルの不安を取り除こうと我を送り出したのだ。だから我はエルの飼い猫となって側にいる事にした。なに、我には鋭い爪と牙があるからの。エルシーアを悪意あるものから護ろうぞっ!!」

ドヤるシロガネ。まぁ、可愛いけどさ。
家族の反応が気になって、チラリと様子を伺う。うん。やっぱりポカンとしてるね。
まぁ?突然、四聖獣の一体がやってきて飼い猫になったんだから仕方ないけどさ。

[おとしゃま…、みんな、大丈夫??]

「あっ…。あぁ…。大丈夫だよ。エル、心配かけるね。
ところで、シロガネ様…シロガネ殿とはやっぱり従者契約を?」

[う?ペルルも問題ないって言ったし、契約したよ。何よりシロガネ本人が従魔契約を強くのぞんだから]

「そっか…、そうなんだね」

そう言ったっきり、おとしゃまは何か考え込んでしまった。
なんだろう…。ベアティに整えられたはずなのに、おとしゃまがしおしおに枯れているような…??気のせいかな?
やっぱりお仕事が大変なのかな?栄養ドリンクとかいる??ん?この世界に栄養ドリンクってあるのかな??う~ん…

「ちゅきゅるか…??」ポソッ

〔何を考えているか知らないけど、やめとけっきゅ。明日から王都なのに、これ以上フリッツィを枯れさすな〕

むぅ…。ペルルがヒドい。ただおとしゃまの事を心配しただけなのにぃ~っ。

〔いやだから、フリッツィの為に大人しく、何もしない事が親孝行っきゅ〕

「うにゅにゅ…っ!!」

「エル、どうしたんだい?」

唸るわたしにウィルにぃが問いかけてくる。

「にゃんでもにゃい なの…」

「そうなんだね。おいで、エル」

そう言ってウィルにぃが両手を広げるので、ぽてぽてと側まで行く。すると優しく抱き上げられ、ギュッと抱きしめられた。

「しかし、エルはスゴイね。ペルルの次は分体とはいえ、白虎様とまで従魔契約するなんて」

「なぁ~っ。エルはすげーよなっ!!羨ましいぜ。俺も何かカッコイイ魔獣と従魔契約してみたいぜっ!!」

「あら、カッコイイだけではダメよ。美しくもなくっちゃ」

ウィルにぃの感心の言葉に、バルにぃが自分も従魔契約をしたいと言う。男の子だしねぇ~っ。憧れるんだろうなぁ。そしてルーねぇ。美しい魔獣ってなんだろう?可愛いじゃあダメなのかな?
そんな事を考えていると、

「なんだ?従魔契約がしたいのか?それなら残りの四聖獣とすればいい。我がエルシーアの側にいる事を知れば、そのうち否応なく駆けつけて来るぞ?」

とシロガネがあっけらかんと言う。

「「「「「え゙っ…!?!?」」」」」

シロガネの言葉に家族はドン引き…、いや、バルにぃだけがキラキラした目をしてるな。そしてウィルにぃとルーねぇは何かブツブツと考え込んでいる。

しかし、しかしだよ?ただでさえシロガネの存在がスーパースペシャルウルトラレアなのに、それが四体揃うなんて、恐ろしすぎる…。

[シロガネ、ホントに来ちゃうのっ!?]

「アイツらなら来るじゃろ」

またしても、あっけらかんと言うシロガネ。マジかぁ…。来ちゃうんだ。
んで、お兄ちゃんズとお姉ちゃんが契約主??
いいと思うけど、うちの兄妹だけで世界征服でもするのかな??

「はっ…はははっ…」
「あらぁ~っ…、ほほほほ…」

あっ…。おとしゃまが完全に枯れた…。いつもはにこにこ笑顔なかぁしゃまの顔も引きつってる…。
よし、わたしも笑ってごまかしとこっ!!!!

[あはっ…あははははぁ~っ…]




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