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第三章
王都出発に向けて⑭
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「オォォ~~~ンッ!!!!」
動物や鳥達、マンドラゴラちゃんに精霊さんと歌って踊っていると、森のから遠吠えが聞こえた。
[だぁれ??]
わたしが問いかけると、1匹の白くて美しいオオカミが、口に猫(?)を咥えてわたしの元までやって来る。
白いオオカミの登場に、動物や鳥達は歌い踊るのを止めて頭を垂れる。
「「エルお嬢様っ!!!!」」
オオカミからわたしを庇う様にアメリアとアンネリースが前に出る。
その手には何処から取り出したのか、アメリアは投げナイフの様な暗器、アンネリースの手には鞭が握られている。
えっ…。何処から出したの!?
ハッ!!今はそんな事より、
「あみぇり、あんにぇ」
「わちゃし だいじょーび」
「「しかし…っ!!」」
わたしは静かにフルフルっと首元を横に振る。
「「かしこまりました…」」
アメリアとアンネリースが、渋々といった感じで後ろに下がる。
暗器はメイド服のスカートの下、太ももに巻かれたベルトに戻す。
えっ!?!?そんなところに収納してたんかいっ!?
いかん、いかん。今は双子なメイドの暗器と鞭のことより、オオカミさんの事を確認しないとっ!!
[あなたはだぁれ??]
そんなオオカミにわたしがもう一度問いかけると、口に咥えていた猫(?)をソッと降ろしてお座りをする。そのしっぽはパタパタと横に振っている。わたしに害を加えようといった悪意はなさそう。
チラッとペルルを確認するけど、ペルルも威嚇はしていない。ただ、顔がスンッとチベットスナギツネみたいになっているのが気になるけど…。
オオカミさんが鼻先で猫(?)をわたしの方へ押しやる。
わたしはしゃがんで猫(?)さんと目線を合わせる。
すると猫(?)さんがすりすり、ゴンゴンっと額をわたしの顔に擦り付けて来る。
[痛っ…痛たっ…。ねこさん、あなたはだぁれ??初めて見る子だよね?]
すりすり、ゴンゴンしてくる猫(?)さんの体を押さえながら聞く。
「ようやっと会えたな。愛し子殿」
「えっ!?!?」
突然喋りだしたねこさんに驚く。普通の猫って喋らないよね??
[どうして…。どうして、わたしが愛し子だと知ってるの??あなたは一体誰なの??]
「うむ。我はこの世界を守護する四聖獣がひとり、西の守護者である白虎の分体じゃっ!!」
ドヤァっといった感じでフフンッと胸を張る白虎。
四聖獣の白虎ってアレだよね?青龍・朱雀・白虎・玄武の一体。
〔やっぱりっきゅ…〕
顔がチベットスナギツネだったペルルがポツリと言う。
[えっ!?ペルルわかってたの!?!?]
〔まぁねっきゅ。
ところで白虎殿。どうしてエルの元へ?それも分体を送るなんて、一体何を考えている?〕
ペルルが普段とは違う、鋭い目つきで白虎に問う。
「うむ。我もエルシーアと契約し、飼い猫になって王都に一緒に行こうと思ってな。どうしゃ、いい案であろう?」
「え゛っ!?」
「「えぇぇ~っ!?」」
白虎様の分体の突拍子もない案に思わずヘンな声が出る。
アメリアもアンネリースも驚いている。
まぁ、驚くよね。世界を守護する四聖獣、分体とはいえ、その一体が契約を持ちかけて来てるんだから。
[白虎様、本気ですか?わたしと契約するなんて…]
「もちろん本気じゃ。そのために来たんじゃからな。
エルシーアは王都行きを不安がっておったじゃろう?我の鋭い爪と牙でそなたを守ろう。
大丈夫じゃ。本体と常に意識は繋がっているが、名をもらい、契約すれば我は本体と別の個体となる。
緊張せずともよい。さぁ、エルシーアよ。我に名を授けるのじゃっ!!」
さあさあっと白虎様の分体が相変わらず、すりすりゴンゴンと額を押し付けてくる。
「ぺりゅりゅ…」
本当にこのまま契約していいものかとペルルを見る。ペルルはみじかい腕を組んで何かを考え込んでいるようだ。
〔エル…、短いは余計っきゅ。
はぁ…。仕方ないっきゅね。断っても絶対に帰らないだろうしっきゅ。
エル、サッサと名前をつけて契約を終わらせるっきゅ〕
ひらひらと手を振りながら、諦めろと言わんばかりに言う。
サッサと名前をつけろとか…。そんなに簡単そうに言われてもなぁ…。
[白虎様、本当によろしいのですね?]
「うむ。かまわん。さぁ、我に名を授けるがよいっ!!」
うん。さっきから名付けの圧が凄いね。
名付け…、名付けかぁ。どんな名前がいいかなぁ??
白虎様の姿を確認する。白銀に輝く毛皮に黒縞模様。瞳は金色。白銀…。うんっ!!決めたっ!!
白虎様の額に自分の額をソッと合わせる。
「わちゃし エルシーア」
「あにゃた しりょがね なのっ!!」
「シロガネ…。うむ。良い名じゃっ!!」
白虎様…、シロガネが頷くと、パァァ~ッっとその体が輝き出した。
「これで契約完了じゃな。我はシロガネ。今日からこの鋭い爪と牙でそなたを護ろうぞっ!!」
シロガネが誇らしげに名乗りを上げると、
「オォォ~~ンッ!!!!」
と白いオオカミが遠吠えをし、動物や鳥達も一斉に嬉しそうに鳴き出した。
うぅ…っ。かぁしゃまとおとしゃまへの説明どうしよう…。
動物や鳥達、マンドラゴラちゃんに精霊さんと歌って踊っていると、森のから遠吠えが聞こえた。
[だぁれ??]
わたしが問いかけると、1匹の白くて美しいオオカミが、口に猫(?)を咥えてわたしの元までやって来る。
白いオオカミの登場に、動物や鳥達は歌い踊るのを止めて頭を垂れる。
「「エルお嬢様っ!!!!」」
オオカミからわたしを庇う様にアメリアとアンネリースが前に出る。
その手には何処から取り出したのか、アメリアは投げナイフの様な暗器、アンネリースの手には鞭が握られている。
えっ…。何処から出したの!?
ハッ!!今はそんな事より、
「あみぇり、あんにぇ」
「わちゃし だいじょーび」
「「しかし…っ!!」」
わたしは静かにフルフルっと首元を横に振る。
「「かしこまりました…」」
アメリアとアンネリースが、渋々といった感じで後ろに下がる。
暗器はメイド服のスカートの下、太ももに巻かれたベルトに戻す。
えっ!?!?そんなところに収納してたんかいっ!?
いかん、いかん。今は双子なメイドの暗器と鞭のことより、オオカミさんの事を確認しないとっ!!
[あなたはだぁれ??]
そんなオオカミにわたしがもう一度問いかけると、口に咥えていた猫(?)をソッと降ろしてお座りをする。そのしっぽはパタパタと横に振っている。わたしに害を加えようといった悪意はなさそう。
チラッとペルルを確認するけど、ペルルも威嚇はしていない。ただ、顔がスンッとチベットスナギツネみたいになっているのが気になるけど…。
オオカミさんが鼻先で猫(?)をわたしの方へ押しやる。
わたしはしゃがんで猫(?)さんと目線を合わせる。
すると猫(?)さんがすりすり、ゴンゴンっと額をわたしの顔に擦り付けて来る。
[痛っ…痛たっ…。ねこさん、あなたはだぁれ??初めて見る子だよね?]
すりすり、ゴンゴンしてくる猫(?)さんの体を押さえながら聞く。
「ようやっと会えたな。愛し子殿」
「えっ!?!?」
突然喋りだしたねこさんに驚く。普通の猫って喋らないよね??
[どうして…。どうして、わたしが愛し子だと知ってるの??あなたは一体誰なの??]
「うむ。我はこの世界を守護する四聖獣がひとり、西の守護者である白虎の分体じゃっ!!」
ドヤァっといった感じでフフンッと胸を張る白虎。
四聖獣の白虎ってアレだよね?青龍・朱雀・白虎・玄武の一体。
〔やっぱりっきゅ…〕
顔がチベットスナギツネだったペルルがポツリと言う。
[えっ!?ペルルわかってたの!?!?]
〔まぁねっきゅ。
ところで白虎殿。どうしてエルの元へ?それも分体を送るなんて、一体何を考えている?〕
ペルルが普段とは違う、鋭い目つきで白虎に問う。
「うむ。我もエルシーアと契約し、飼い猫になって王都に一緒に行こうと思ってな。どうしゃ、いい案であろう?」
「え゛っ!?」
「「えぇぇ~っ!?」」
白虎様の分体の突拍子もない案に思わずヘンな声が出る。
アメリアもアンネリースも驚いている。
まぁ、驚くよね。世界を守護する四聖獣、分体とはいえ、その一体が契約を持ちかけて来てるんだから。
[白虎様、本気ですか?わたしと契約するなんて…]
「もちろん本気じゃ。そのために来たんじゃからな。
エルシーアは王都行きを不安がっておったじゃろう?我の鋭い爪と牙でそなたを守ろう。
大丈夫じゃ。本体と常に意識は繋がっているが、名をもらい、契約すれば我は本体と別の個体となる。
緊張せずともよい。さぁ、エルシーアよ。我に名を授けるのじゃっ!!」
さあさあっと白虎様の分体が相変わらず、すりすりゴンゴンと額を押し付けてくる。
「ぺりゅりゅ…」
本当にこのまま契約していいものかとペルルを見る。ペルルはみじかい腕を組んで何かを考え込んでいるようだ。
〔エル…、短いは余計っきゅ。
はぁ…。仕方ないっきゅね。断っても絶対に帰らないだろうしっきゅ。
エル、サッサと名前をつけて契約を終わらせるっきゅ〕
ひらひらと手を振りながら、諦めろと言わんばかりに言う。
サッサと名前をつけろとか…。そんなに簡単そうに言われてもなぁ…。
[白虎様、本当によろしいのですね?]
「うむ。かまわん。さぁ、我に名を授けるがよいっ!!」
うん。さっきから名付けの圧が凄いね。
名付け…、名付けかぁ。どんな名前がいいかなぁ??
白虎様の姿を確認する。白銀に輝く毛皮に黒縞模様。瞳は金色。白銀…。うんっ!!決めたっ!!
白虎様の額に自分の額をソッと合わせる。
「わちゃし エルシーア」
「あにゃた しりょがね なのっ!!」
「シロガネ…。うむ。良い名じゃっ!!」
白虎様…、シロガネが頷くと、パァァ~ッっとその体が輝き出した。
「これで契約完了じゃな。我はシロガネ。今日からこの鋭い爪と牙でそなたを護ろうぞっ!!」
シロガネが誇らしげに名乗りを上げると、
「オォォ~~ンッ!!!!」
と白いオオカミが遠吠えをし、動物や鳥達も一斉に嬉しそうに鳴き出した。
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