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第三章
王都出発に向けて⑫
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ウィルにぃへの7歳の誕生日プレゼントであるブローチとペンダント、バルにぃとルーねぇ用のペンダントは錬金をしたその日の夕食後、サロンでの家族の語らいの時間にひとりずつ手渡ししました。
そしたらもう、ウィルにぃの物凄い喜びようったら…。ぎゅうぎゅう抱きしめられ、両頬にキスの嵐をいただきました。ペンダントは「一生死んでも離さない」って言っていたよ。
もちろん、バルにぃもルーねぇも物凄く喜んでくれました。
ただ、その様子を見ていたおとしゃまが、物凄く悔しがり、「私にはプレゼントが無い…」と落ち込み、かぁしゃまに慰められてるのが印象的でした。
おとしゃまも欲しかったんかいっ…。
さてさて、プレゼントも無事に完成して、いっぱい喜んでもらえたし、後は本当に行きたくないけど、数日後に王都に行くだけだね。
何も起こらず、無事に帰って来れるといいなぁ…。
────────────────────
【???Side】
ここは人が決して立ち入れない、森の奥深くにある聖域。
「何とっ!?我らが愛し子が王都に行くと??」
その聖域の主はいつも森の動物達から、愛し子であるエルシーアの様子を聞くのを楽しみにしていた。
そして、そのエルシーアが王都に行くという。
「はい。一番上の兄君のお披露目の儀式がある為、しばらく王都で過ごすと」
森の主の前で1匹のオオカミが報告する。
森の主の姿は大きい。白銀に輝く毛皮に黒縞模様。瞳は金色。6m以上はあろう体長。
そして、この世界の西の守護をエアネストより任されている。
「邪神が捕まったとはいえ、邪教そのものが無くなった訳では無い。そして何より、最近の王都からは嫌な気配がする…。
そんな場所に我らが愛し子を行かせるなど…」
人間主上主義で邪神を崇めていた聖神国。
最近、王都からは風に乗ってその聖神国と似たような嫌な臭いがするのだ。
北と東の守護者は動けない。動けるのは西の守護者である自分と南の守護者だけ。
「南の守護者はうるさいし、苦手じゃしのう…」
「いかがなさいますか?主殿」
森の主はどうしたものかと悩む。
「うむ。決めた。我自身は西の守護がある故動けぬが、我が分体を愛し子の元へ送ろう。分体とはいえ、我には鋭い爪も牙もある。愛し子の護りとなろう」
「愛し子様は、もふもふとした可愛いものがお好きと聞き及んでおります」
「うむ。なれば分体は小さき可愛らしい姿としよう」
森の主は自分の魔力を練り分体を創り上げていく。
「にゃ~ん。どうじゃ?我自身の姿は威圧感があり過ぎるが、この姿であれば愛し子も喜ぼう」
そこには体調が60cm程に小さくなった、西の守護者の分体の姿が。
「…よろしいかと」
「にゃんじゃ、その間は?」
「いえ、何でもございません」
「うむ。では、分体である我を愛し子の元へ運んでくれ。
そして、四つ足の者には徹底して愛し子を護る様に伝えるのじゃ」
「かしこまりました。では失礼して」
オオカミは口でパクッと分体の首元を掴む。そして颯爽と愛し子であるエルシーアの元まで掛けるのであった。
そしたらもう、ウィルにぃの物凄い喜びようったら…。ぎゅうぎゅう抱きしめられ、両頬にキスの嵐をいただきました。ペンダントは「一生死んでも離さない」って言っていたよ。
もちろん、バルにぃもルーねぇも物凄く喜んでくれました。
ただ、その様子を見ていたおとしゃまが、物凄く悔しがり、「私にはプレゼントが無い…」と落ち込み、かぁしゃまに慰められてるのが印象的でした。
おとしゃまも欲しかったんかいっ…。
さてさて、プレゼントも無事に完成して、いっぱい喜んでもらえたし、後は本当に行きたくないけど、数日後に王都に行くだけだね。
何も起こらず、無事に帰って来れるといいなぁ…。
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ここは人が決して立ち入れない、森の奥深くにある聖域。
「何とっ!?我らが愛し子が王都に行くと??」
その聖域の主はいつも森の動物達から、愛し子であるエルシーアの様子を聞くのを楽しみにしていた。
そして、そのエルシーアが王都に行くという。
「はい。一番上の兄君のお披露目の儀式がある為、しばらく王都で過ごすと」
森の主の前で1匹のオオカミが報告する。
森の主の姿は大きい。白銀に輝く毛皮に黒縞模様。瞳は金色。6m以上はあろう体長。
そして、この世界の西の守護をエアネストより任されている。
「邪神が捕まったとはいえ、邪教そのものが無くなった訳では無い。そして何より、最近の王都からは嫌な気配がする…。
そんな場所に我らが愛し子を行かせるなど…」
人間主上主義で邪神を崇めていた聖神国。
最近、王都からは風に乗ってその聖神国と似たような嫌な臭いがするのだ。
北と東の守護者は動けない。動けるのは西の守護者である自分と南の守護者だけ。
「南の守護者はうるさいし、苦手じゃしのう…」
「いかがなさいますか?主殿」
森の主はどうしたものかと悩む。
「うむ。決めた。我自身は西の守護がある故動けぬが、我が分体を愛し子の元へ送ろう。分体とはいえ、我には鋭い爪も牙もある。愛し子の護りとなろう」
「愛し子様は、もふもふとした可愛いものがお好きと聞き及んでおります」
「うむ。なれば分体は小さき可愛らしい姿としよう」
森の主は自分の魔力を練り分体を創り上げていく。
「にゃ~ん。どうじゃ?我自身の姿は威圧感があり過ぎるが、この姿であれば愛し子も喜ぼう」
そこには体調が60cm程に小さくなった、西の守護者の分体の姿が。
「…よろしいかと」
「にゃんじゃ、その間は?」
「いえ、何でもございません」
「うむ。では、分体である我を愛し子の元へ運んでくれ。
そして、四つ足の者には徹底して愛し子を護る様に伝えるのじゃ」
「かしこまりました。では失礼して」
オオカミは口でパクッと分体の首元を掴む。そして颯爽と愛し子であるエルシーアの元まで掛けるのであった。
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