転生幼女の怠惰なため息

(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉

文字の大きさ
上 下
86 / 166
第三章

王都出発に向けて⑨

しおりを挟む
早速かぁしゃまの部屋へとやってきた、エルシーアです。

コンコンコンッ。
「エルお嬢様をお連れしました」

アンネリースが代表して声をかける。

「どうぞお入りなさい」

かぁしゃまの言葉と共に、デルミーラがかぁしゃまの執務室の扉を開けて迎え入れてくれる。

しちゅれーしまちゅ なの失礼します

扉の前でアメリアに下ろしてもらい、ちょこちょことかぁしゃまの側まで行く。

「エルちゃん、そこのソファーに座りなさい」

執務室の応接用ソファーに、アメリアに座らせてもらう。ペルルはアンネリースにソファーに降ろしてもらっている。

「エルちゃん、人払いは済んでいるから、お話ししても大丈夫よ」

[かぁしゃま、ありがとうございます]

かぁしゃまの許可が出たので、早速説明して行きましょう。

[かぁしゃま、あのね──]

わたしはかぁしゃまに、ウィルにぃの7歳の誕生日に特別なプレゼントを贈りたい事。
本当は以前造った虹色の魔石でブローチを造ろうと思ったけど、ペルルにわたしの存在が王都中に知れ渡ると危険と言われた事。
その代替案として、わたしの目の色である緑色の宝石を使って錬金術でブローチを作りたい事。
そのためには、かぁしゃまがもう使っていない、緑色のアクセサリーが欲しい事を説明した。

「そう。よくわかったわ。今日はちゃんと事前に相談してくれてありがとう。
確かにペルルちゃんの言うとおり、あの虹色の魔石は危険ね。この世の中に一つとしてないんだもの。だから、お母さまがもう使っていないアクセサリーをエルちゃんにあげるわ」

かぁしゃまがわたしの説明を聞いて納得してくれた様だ。良かったぁ~っ。

「デルミーラ、わたしの部屋に行って、いくつか使っていない緑色のアクセサリーを持って来てちょうだいな」

「かしこまりました」

かぁしゃまの言葉を受けて、デルミーラが一礼して執務室を出ていく。

「エルちゃん、昨日の庭池の事は本当に大変だったのよ?」

かぁしゃまがそう言いながら、自分の執務イスからわたしの隣に座る。

「ヨーガンが腰を抜かしそうなほど、本当にビックリしていたわ。
ヨーガンがぎっくり腰にならない様に気をつけなくちゃね。
エルちゃんは夢中になると直ぐに相談する事忘れちゃうんだから」

かぁしゃまが「困った子ね」と言いながら、わたしのおでこを優しくコツンとする。

[かぁしゃま、本当にごめんなさい…]

本当に反省しています。マンドラゴラちゃんに精霊樹、そして今度は女神像付きの庭池…。
そりゃあ、ヨーガンじぃもビックリするよね。
かぁしゃまに怒られた後に、裏庭の様子を見に行ったお兄ちゃんズとお姉ちゃん、仕事から帰って来た後に、その事実を知らされたおとしゃまもビックリしてたもんねぇ~っ。ハハハ…。

コンコンコンッ
「ただいま戻りました」

「どうぞ」

そんな話をしていると、デルミーラが宝石箱を抱えて戻ってきた。

「奥様、こちらになります」

そう言って、デルミーラが宝石箱を机の上に置き、蓋を開ける。
中には10個のいろんな緑色の宝石がついたアクセサリーが入っていた。
エメラルドに翡翠(ジェード)にペリドット、グリーン・トルマリン、クリソベリル、スフェーン、マラカイト…。本当にいっぱいだ。

[かぁしゃま…]

あまりの宝石の輝きに怯んでしまう。

「どれでも好きな物を選んでいいのよ?」

わたしが怯んだのがわかったかぁしゃまが優しく言う。
選べと言われてもなぁ…。どうしよう…。

「本当にどれでもいいのよ?エルが使い、ウィルに特別なプレゼントととして渡るんだもの。どれを使ったってお母さまは困る事なんてないわ」

[エメラルド、翡翠、ペリドットを使ってもいい??]

「もちろんよ。ただ、出来上がったらお母さまに見せてね」

とパチンッとウィンクして、戯けて言うかぁしゃま。本当にかぁしゃまは優しいな。

[じゃあ、かぁしゃまのお仕事の邪魔にならない様に、サロンで造ってくるね]

「ええ。じゃあ、出来たら一番に教えてちょうだいな。
ペルルちゃん、エルが暴走しない様に、お任せしてもいいかしら?」

〔任せろっきゅっ!!〕

えっ!?かぁしゃま、暴走とか何ですか!?
ペルルも何でそこで“任せろ”とかいうかなぁっ!?
もうっ!!プンプンっ!!!!



しおりを挟む
感想 220

あなたにおすすめの小説

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい? とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。 犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!

聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!

山田みかん
ファンタジー
「貴方には剣と魔法の異世界へ行ってもらいますぅ~」 ────何言ってんのコイツ? あれ? 私に言ってるんじゃないの? ていうか、ここはどこ? ちょっと待てッ!私はこんなところにいる場合じゃないんだよっ! 推しに会いに行かねばならんのだよ!!

滅びる異世界に転生したけど、幼女は楽しく旅をする!

白夢
ファンタジー
 何もしないでいいから、世界の終わりを見届けてほしい。  そう言われて、異世界に転生することになった。  でも、どうせ転生したなら、この異世界が滅びる前に観光しよう。  どうせ滅びる世界なら、思いっきり楽しもう。  だからわたしは旅に出た。  これは一人の幼女と小さな幻獣の、  世界なんて救わないつもりの放浪記。 〜〜〜  ご訪問ありがとうございます。    可愛い女の子が頼れる相棒と美しい世界で旅をする、幸せなファンタジーを目指しました。    ファンタジー小説大賞エントリー作品です。気に入っていただけましたら、ぜひご投票をお願いします。  お気に入り、ご感想、応援などいただければ、とても喜びます。よろしくお願いします! 23/01/08 表紙画像を変更しました

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

婚約破棄されたので森の奥でカフェを開いてスローライフ

あげは
ファンタジー
「私は、ユミエラとの婚約を破棄する!」 学院卒業記念パーティーで、婚約者である王太子アルフリードに突然婚約破棄された、ユミエラ・フォン・アマリリス公爵令嬢。 家族にも愛されていなかったユミエラは、王太子に婚約破棄されたことで利用価値がなくなったとされ家を勘当されてしまう。 しかし、ユミエラに特に気にした様子はなく、むしろ喜んでいた。 これまでの生活に嫌気が差していたユミエラは、元孤児で転生者の侍女ミシェルだけを連れ、その日のうちに家を出て人のいない森の奥に向かい、森の中でカフェを開くらしい。 「さあ、ミシェル! 念願のスローライフよ! 張り切っていきましょう!」 王都を出るとなぜか国を守護している神獣が待ち構えていた。 どうやら国を捨てユミエラについてくるらしい。 こうしてユミエラは、転生者と神獣という何とも不思議なお供を連れ、優雅なスローライフを楽しむのであった。 一方、ユミエラを追放し、神獣にも見捨てられた王国は、愚かな王太子のせいで混乱に陥るのだった――。 なろう・カクヨムにも投稿

転生先は盲目幼女でした ~前世の記憶と魔法を頼りに生き延びます~

丹辺るん
ファンタジー
前世の記憶を持つ私、フィリス。思い出したのは五歳の誕生日の前日。 一応貴族……伯爵家の三女らしい……私は、なんと生まれつき目が見えなかった。 それでも、優しいお姉さんとメイドのおかげで、寂しくはなかった。 ところが、まともに話したこともなく、私を気に掛けることもない父親と兄からは、なぜか厄介者扱い。 ある日、不幸な事故に見せかけて、私は魔物の跋扈する場所で見捨てられてしまう。 もうダメだと思ったとき、私の前に現れたのは…… これは捨てられた盲目の私が、魔法と前世の記憶を頼りに生きる物語。

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

処理中です...