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第三章
王都出発に向けて⑨
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早速かぁしゃまの部屋へとやってきた、エルシーアです。
コンコンコンッ。
「エルお嬢様をお連れしました」
アンネリースが代表して声をかける。
「どうぞお入りなさい」
かぁしゃまの言葉と共に、デルミーラがかぁしゃまの執務室の扉を開けて迎え入れてくれる。
「しちゅれーしまちゅ なの」
扉の前でアメリアに下ろしてもらい、ちょこちょことかぁしゃまの側まで行く。
「エルちゃん、そこのソファーに座りなさい」
執務室の応接用ソファーに、アメリアに座らせてもらう。ペルルはアンネリースにソファーに降ろしてもらっている。
「エルちゃん、人払いは済んでいるから、お話ししても大丈夫よ」
[かぁしゃま、ありがとうございます]
かぁしゃまの許可が出たので、早速説明して行きましょう。
[かぁしゃま、あのね──]
わたしはかぁしゃまに、ウィルにぃの7歳の誕生日に特別なプレゼントを贈りたい事。
本当は以前造った虹色の魔石でブローチを造ろうと思ったけど、ペルルにわたしの存在が王都中に知れ渡ると危険と言われた事。
その代替案として、わたしの目の色である緑色の宝石を使って錬金術でブローチを作りたい事。
そのためには、かぁしゃまがもう使っていない、緑色のアクセサリーが欲しい事を説明した。
「そう。よくわかったわ。今日はちゃんと事前に相談してくれてありがとう。
確かにペルルちゃんの言うとおり、あの虹色の魔石は危険ね。この世の中に一つとしてないんだもの。だから、お母さまがもう使っていないアクセサリーをエルちゃんにあげるわ」
かぁしゃまがわたしの説明を聞いて納得してくれた様だ。良かったぁ~っ。
「デルミーラ、わたしの部屋に行って、いくつか使っていない緑色のアクセサリーを持って来てちょうだいな」
「かしこまりました」
かぁしゃまの言葉を受けて、デルミーラが一礼して執務室を出ていく。
「エルちゃん、昨日の庭池の事は本当に大変だったのよ?」
かぁしゃまがそう言いながら、自分の執務イスからわたしの隣に座る。
「ヨーガンが腰を抜かしそうなほど、本当にビックリしていたわ。
ヨーガンがぎっくり腰にならない様に気をつけなくちゃね。
エルちゃんは夢中になると直ぐに相談する事忘れちゃうんだから」
かぁしゃまが「困った子ね」と言いながら、わたしのおでこを優しくコツンとする。
[かぁしゃま、本当にごめんなさい…]
本当に反省しています。マンドラゴラちゃんに精霊樹、そして今度は女神像付きの庭池…。
そりゃあ、ヨーガンじぃもビックリするよね。
かぁしゃまに怒られた後に、裏庭の様子を見に行ったお兄ちゃんズとお姉ちゃん、仕事から帰って来た後に、その事実を知らされたおとしゃまもビックリしてたもんねぇ~っ。ハハハ…。
コンコンコンッ
「ただいま戻りました」
「どうぞ」
そんな話をしていると、デルミーラが宝石箱を抱えて戻ってきた。
「奥様、こちらになります」
そう言って、デルミーラが宝石箱を机の上に置き、蓋を開ける。
中には10個のいろんな緑色の宝石がついたアクセサリーが入っていた。
エメラルドに翡翠(ジェード)にペリドット、グリーン・トルマリン、クリソベリル、スフェーン、マラカイト…。本当にいっぱいだ。
[かぁしゃま…]
あまりの宝石の輝きに怯んでしまう。
「どれでも好きな物を選んでいいのよ?」
わたしが怯んだのがわかったかぁしゃまが優しく言う。
選べと言われてもなぁ…。どうしよう…。
「本当にどれでもいいのよ?エルが使い、ウィルに特別なプレゼントととして渡るんだもの。どれを使ったってお母さまは困る事なんてないわ」
[エメラルド、翡翠、ペリドットを使ってもいい??]
「もちろんよ。ただ、出来上がったらお母さまに見せてね」
とパチンッとウィンクして、戯けて言うかぁしゃま。本当にかぁしゃまは優しいな。
[じゃあ、かぁしゃまのお仕事の邪魔にならない様に、サロンで造ってくるね]
「ええ。じゃあ、出来たら一番に教えてちょうだいな。
ペルルちゃん、エルが暴走しない様に、お任せしてもいいかしら?」
〔任せろっきゅっ!!〕
えっ!?かぁしゃま、暴走とか何ですか!?
ペルルも何でそこで“任せろ”とかいうかなぁっ!?
もうっ!!プンプンっ!!!!
コンコンコンッ。
「エルお嬢様をお連れしました」
アンネリースが代表して声をかける。
「どうぞお入りなさい」
かぁしゃまの言葉と共に、デルミーラがかぁしゃまの執務室の扉を開けて迎え入れてくれる。
「しちゅれーしまちゅ なの」
扉の前でアメリアに下ろしてもらい、ちょこちょことかぁしゃまの側まで行く。
「エルちゃん、そこのソファーに座りなさい」
執務室の応接用ソファーに、アメリアに座らせてもらう。ペルルはアンネリースにソファーに降ろしてもらっている。
「エルちゃん、人払いは済んでいるから、お話ししても大丈夫よ」
[かぁしゃま、ありがとうございます]
かぁしゃまの許可が出たので、早速説明して行きましょう。
[かぁしゃま、あのね──]
わたしはかぁしゃまに、ウィルにぃの7歳の誕生日に特別なプレゼントを贈りたい事。
本当は以前造った虹色の魔石でブローチを造ろうと思ったけど、ペルルにわたしの存在が王都中に知れ渡ると危険と言われた事。
その代替案として、わたしの目の色である緑色の宝石を使って錬金術でブローチを作りたい事。
そのためには、かぁしゃまがもう使っていない、緑色のアクセサリーが欲しい事を説明した。
「そう。よくわかったわ。今日はちゃんと事前に相談してくれてありがとう。
確かにペルルちゃんの言うとおり、あの虹色の魔石は危険ね。この世の中に一つとしてないんだもの。だから、お母さまがもう使っていないアクセサリーをエルちゃんにあげるわ」
かぁしゃまがわたしの説明を聞いて納得してくれた様だ。良かったぁ~っ。
「デルミーラ、わたしの部屋に行って、いくつか使っていない緑色のアクセサリーを持って来てちょうだいな」
「かしこまりました」
かぁしゃまの言葉を受けて、デルミーラが一礼して執務室を出ていく。
「エルちゃん、昨日の庭池の事は本当に大変だったのよ?」
かぁしゃまがそう言いながら、自分の執務イスからわたしの隣に座る。
「ヨーガンが腰を抜かしそうなほど、本当にビックリしていたわ。
ヨーガンがぎっくり腰にならない様に気をつけなくちゃね。
エルちゃんは夢中になると直ぐに相談する事忘れちゃうんだから」
かぁしゃまが「困った子ね」と言いながら、わたしのおでこを優しくコツンとする。
[かぁしゃま、本当にごめんなさい…]
本当に反省しています。マンドラゴラちゃんに精霊樹、そして今度は女神像付きの庭池…。
そりゃあ、ヨーガンじぃもビックリするよね。
かぁしゃまに怒られた後に、裏庭の様子を見に行ったお兄ちゃんズとお姉ちゃん、仕事から帰って来た後に、その事実を知らされたおとしゃまもビックリしてたもんねぇ~っ。ハハハ…。
コンコンコンッ
「ただいま戻りました」
「どうぞ」
そんな話をしていると、デルミーラが宝石箱を抱えて戻ってきた。
「奥様、こちらになります」
そう言って、デルミーラが宝石箱を机の上に置き、蓋を開ける。
中には10個のいろんな緑色の宝石がついたアクセサリーが入っていた。
エメラルドに翡翠(ジェード)にペリドット、グリーン・トルマリン、クリソベリル、スフェーン、マラカイト…。本当にいっぱいだ。
[かぁしゃま…]
あまりの宝石の輝きに怯んでしまう。
「どれでも好きな物を選んでいいのよ?」
わたしが怯んだのがわかったかぁしゃまが優しく言う。
選べと言われてもなぁ…。どうしよう…。
「本当にどれでもいいのよ?エルが使い、ウィルに特別なプレゼントととして渡るんだもの。どれを使ったってお母さまは困る事なんてないわ」
[エメラルド、翡翠、ペリドットを使ってもいい??]
「もちろんよ。ただ、出来上がったらお母さまに見せてね」
とパチンッとウィンクして、戯けて言うかぁしゃま。本当にかぁしゃまは優しいな。
[じゃあ、かぁしゃまのお仕事の邪魔にならない様に、サロンで造ってくるね]
「ええ。じゃあ、出来たら一番に教えてちょうだいな。
ペルルちゃん、エルが暴走しない様に、お任せしてもいいかしら?」
〔任せろっきゅっ!!〕
えっ!?かぁしゃま、暴走とか何ですか!?
ペルルも何でそこで“任せろ”とかいうかなぁっ!?
もうっ!!プンプンっ!!!!
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