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第三章

王都出発に向けて⑦

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お兄ちゃんズとお姉ちゃんの衣装合わせも無事に終わりに、王都出発まで後1週間となりました。

只今午前の活動タイム。わたしはペルちゃんリュックを背負い、ペルルと双子なメイドのアメリアとアンネリースという、いつものメンバープラス、マンドラゴラのドラちゃんで裏庭に来ています。
裏庭に榊や精霊樹を植えて以来、朝と夕方の2回、水やりをするのがわたしの日課です。
そして今は朝の水やり中。

最近知ったんだけど、マンドラゴラちゃん達は気分が良いと歌を歌い出すんだよっ!!
最初、ヨーデルの焼肉食べ放題歌ってる子が居てズッコケた…。誰だよ、教えたヤツっ!!!!
しかも、わたしが好きなJ系アイドルグループの歌とか、アニソンを歌う子も居るんだよっ!!!!
「なんの歌じゃね?」って、ヨーガンじぃに聞かれたけど、答えられなかったさ…。もうね、笑って誤魔化したよ。

さてさて、王都に行くにあたって、ひとつ問題が。誰が裏庭中動き回るマンドラゴラちゃん達と植物に水やりをするのか?
ヨーガンじぃ一家に頼むにしても、それぞれの仕事がある。それにマンドラゴラちゃん達はわたしがあげる魔力水が好き。
「わたしが王都に行ってる間、普通の水じゃあダメ?」って聞いたら、大ブーイングをいただきました。
コレは困ったぞ…。

もうね、こうなったら力技で解決するしかないよねっ!!
エアネスト様からもらった水の魔石にわたしの魔力を注入して、湧き出る泉を作ろうと思いますっ!!
マンドラゴラちゃんには足があるんだし、自分で勝手に飲んでもらいましょうっ。榊や精霊樹には申し訳ないけど、ヨーガンじぃ一家の力を借りたいと思います。

では、思い立ったら吉日。まずは空いているスペースに、水を囲う部分を造ります。岩と土を利用して、西洋風の庭池にしよう。
地面に手を付け土魔法を発動。イメージを流す。西洋風の庭池、西洋風の庭池…。

カッと地面が光り、ゴゴゴゴッと動き形を作っていく。
ソッと目を開けて、出来上がった庭池を見て呆然となる。白の大理石に囲まれた庭池の中心しは、ギリシャ神話風の水瓶を持つ女神像が出来ていた…。なんでやねんっ!!!!

「ぐにゅにゅ…っ」

わたしが出来上がった庭池を見て唸っている後ろで

〔あ~あっ…。またやってるっきゅ〕ボソッ
「「奥様に報告案件です…」」ボソボソっ
《える、おもしろぉ~いっ》キャッキャ

何て言われていた事をわたしは知らない。

よし、もうこうなったら突っ切るしかないっ!!!!
ペルちゃんリュックから丈夫で長持ちしそうな水の魔石を取り出す。出てきたのは前回同様、おとしゃまの拳ぐらいの大きさだった。
魔石を両手で握りしめ、目を閉じ深呼吸をする。魔石の隅々までわたしの魔力が行き渡る様にイメージして…。


〔ストップっきゅっ!!!!〕

魔石に魔力を注いでいると、ペルルからストップがかかった。

〔エル、もう充分っきゅ〕

どうやらもう充分らしい。後はこの水の魔石を水瓶の中にセットして、魔力を流せばOKっ!!
水瓶の口から水が溢れ出てきて、庭池を満たした。

どりゃちゃ~ん みんにゃ~っ!!ドラちゃん、みんなぁ~っ!!
わちゃし にゃいにゃい ときにわたしがいない時は
きょきょ みじゅ にょむ しゅるるこの庭池の水を飲んでね

わたしの言葉を聞いて、

《わぁ~い、わぁ~いっ》
《やったぁ~っ、やったねっ》
《おいしそうなみずぅ~》
《いっぱいのむのぉ~》

と嬉しそうな声が聞こえた。その声に大満足するわたし。
どやぁ~っ!!と満足感に浸っていると、双子なメイドが、わたしの左右の肩にそれぞれポンっと手を置き、

「「奥様へ報告の時間です」」

と、お説教行きを告げられた。




その後、たっぷりとかぁしゃまから素晴らしい笑顔でお小言をいただきました…。ぐしゅん…。



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