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第三章
王都出発に受けて⑥
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かぁしゃまから許可をもらえたので、ペルルから契約魔法の説明を受けた。
契約魔法は何らかの制約を課して、それに違反した際にペナルティを与える魔法。
奴隷や魔物に施す契約紋様(奴隷紋、魔物紋)が一般的で、主として登録した者が様々な制約を課すことができ、違反した際には対象者に激痛を与えることもできるそうな。
制約が重ければ重いほど、強固な契約魔法になるんだそう。
契約魔法、ちょっと怖いな…。
契約魔法の制約はそのまま激痛を与える事、わたしに瞬時にわかる様にして、方法は指切りにしよう。
でも、契約の条件の説明ができないから、ここはウィルにぃに手伝ってもらおう。
「エミリー殿。今からエルの秘密を明そう。
ただ、絶対に他人に漏らさないと契約魔法を結んでもらう。契約に違反すると激痛が走る。
契約魔法を受け入れられない場合は、今すぐお引取り願おう」
「あらん。顧客の個人情報は絶対に漏らさない。それは商売の絶対条件よん。それに秘密漏洩に関する契約書も交わしてるしねん。だから、その契約魔法も受け入れましょう。
あたくしは何をすればいいかしらん?」
意外にもエミリーちゃんは、契約魔法をすんなりと受け入れてくれた。
エミリーちゃん、肝が座ってるな。
「では、右手の小指を出して欲しい」
「こうかしらん?」
ウィルにぃの指示通りに、エミリーちゃんが小指を出してくれたので、自分の小指を絡める。
後はわたしが制約内容を思い浮かべながら、指切りするだけ。
「ゆーきりぃ げぇーまぁーん」
「うちょちゅいたら はりちぇんびょん」
「にょーまちゅ ゆびきっちゃっ!!」
指切りの歌を歌いながら、絡めた小指を振って、最後に「指切った」で切り離す。
すると、エミリーちゃんの右手の小指の根本に、蔦が絡みついた様な紋様が浮かび上がる。
これで、契約完了かな??
わたしが、むふぅ~っとひとり満足していると、
「あらぁ~、なかなか過激な歌なのねん…っ」
とエミリーちゃんが小指を見つめながら言った。
家族もちょっと引き気味だった。なんでだろ?
昔から伝わる歌じゃんね。
〔この世界には伝わってないっきゅよ…。
しかも、制約内容に“針千本飲ます”が追加されたっきゅ…〕
おっふ…。またやっちまった。この世界には指切りの習慣なんか無いし、制約内容が追加されたなんて言えにゃい…。ヤバいヤバい…。
「エル、契約は無事に終わったかい?」
「うにゅ…」
ウィルにぃにそう聞かれるが、素直に終わったよって言えない…。
「エル?もう話してもいいんだよ?」
ウィルにぃが不思議そうに聞いてくる。
〔追加の制約内容もちゃんと伝えるっきゅよ?じゃないと、エルが違反した事になって、罰を喰らうっきゅよ〕
マジかぁ…。ホントやっちまったよ。トホホ…。
[エミリーちゃん、わたしエルシーア。いつも素敵なお洋服をありがとう]
「あらん!?エルちゃんの声が直接頭に響いてくるわんっ!?」
わたしがエミリーちゃんに洋服のお礼を念話で伝えると、やっぱりビックリしたようだ。
それを見てみんなが、クスクスと笑っている。最初はビックリするもんね。
[エミリーちゃん、あのね…、さっきの歌の歌詞の中にね、実は“針千本飲ます”ってフレーズがあったんだけど、それがそのまま制約内容に追加されちゃったの…。ごめんなさい…。]
「「「「エルっ!?!?」」」」
「あらぁ~っ、あらあらぁ~…っ。
まぁ、いいわ。あたくしが秘密を漏らさなければいいだけの話だもの。
それに秘密は念話だけかしらん?」
流石エミリーちゃん。堂々としてカッコいい。立派な漢ですな。
「エルちゃん??」
エミリーちゃんがニッコリ笑う。
うっ…。何故思ってる事がバレたし。
[エミリーちゃん、実は作って欲しいというか、着たいお洋服がいっぱいいっぱいあるの。だから、そのイメージを今から送るね]
誤魔化しつつ、エミリーちゃんに服のイメージを送る。
「あらっ!!あらあらぁ~っ!!なにコレ素晴らしいわっ!!!!創作意欲が掻き立てられるわぁんっ♡
こうしちゃいられないわんっ!!ハリー、あたくしもあなた達の王都行きに同行するわんっ!!直ぐに準備しなくっちゃっだわんっ☆」
エミリーちゃんはわたしの両手を握ってブンブン振り、立ち上がる。
「エミリー、あなた本気なの?」
今すぐにでも帰りそうなエミリーちゃんを、かぁしゃまが呼び止める。
「もちバチ、あたくしはいつでも本気よん♪絶対に付いて行くわん。エルちゃんともっとお話したいものっ!!
それにね、ハリー。あたくしは強いわよ?あなた達が社交やお茶会でいない時、エルちゃんを守れるわ。どうかしら?守りはひとりでも多い方がいいのではなくって??」
自信満々なエミリーちゃんの言葉に、かぁしゃまが考え込む。
「そうね…。確かにあなたの言うとおり、エルちゃんの秘密を知り、守れる者が多い方がいいわ。
わかったわ。あなたの同行を許可します」
「「お母さまっ!?」」
エミリーちゃんの同行決定を聞き、ウィルにぃとバルにぃが声を上げる。
あっ…。ふたりはエミリーちゃんが苦手だった。
「あらん?二人とも何かしら?あたくしが付いて行くと何かマズい事があるのかしらん??」
「「ぐっ…!!」」
エミリーちゃんの言葉に詰まるお兄ちゃんズ。
言える訳ないよねぇ~。あなたが苦手ですなんて…。
「はい、じゃあ決まりねんっ♪
じゃあ、あたくしは帰って準備しなくっちゃっ!!
ハリー。アイツ…あなたの旦那様にもヨロシクねんっ♡アデューっ!!!!♪♫」
そう言って、エミリーちゃんは持ってきた荷物をまとめると、颯爽と帰って行った。
契約魔法は何らかの制約を課して、それに違反した際にペナルティを与える魔法。
奴隷や魔物に施す契約紋様(奴隷紋、魔物紋)が一般的で、主として登録した者が様々な制約を課すことができ、違反した際には対象者に激痛を与えることもできるそうな。
制約が重ければ重いほど、強固な契約魔法になるんだそう。
契約魔法、ちょっと怖いな…。
契約魔法の制約はそのまま激痛を与える事、わたしに瞬時にわかる様にして、方法は指切りにしよう。
でも、契約の条件の説明ができないから、ここはウィルにぃに手伝ってもらおう。
「エミリー殿。今からエルの秘密を明そう。
ただ、絶対に他人に漏らさないと契約魔法を結んでもらう。契約に違反すると激痛が走る。
契約魔法を受け入れられない場合は、今すぐお引取り願おう」
「あらん。顧客の個人情報は絶対に漏らさない。それは商売の絶対条件よん。それに秘密漏洩に関する契約書も交わしてるしねん。だから、その契約魔法も受け入れましょう。
あたくしは何をすればいいかしらん?」
意外にもエミリーちゃんは、契約魔法をすんなりと受け入れてくれた。
エミリーちゃん、肝が座ってるな。
「では、右手の小指を出して欲しい」
「こうかしらん?」
ウィルにぃの指示通りに、エミリーちゃんが小指を出してくれたので、自分の小指を絡める。
後はわたしが制約内容を思い浮かべながら、指切りするだけ。
「ゆーきりぃ げぇーまぁーん」
「うちょちゅいたら はりちぇんびょん」
「にょーまちゅ ゆびきっちゃっ!!」
指切りの歌を歌いながら、絡めた小指を振って、最後に「指切った」で切り離す。
すると、エミリーちゃんの右手の小指の根本に、蔦が絡みついた様な紋様が浮かび上がる。
これで、契約完了かな??
わたしが、むふぅ~っとひとり満足していると、
「あらぁ~、なかなか過激な歌なのねん…っ」
とエミリーちゃんが小指を見つめながら言った。
家族もちょっと引き気味だった。なんでだろ?
昔から伝わる歌じゃんね。
〔この世界には伝わってないっきゅよ…。
しかも、制約内容に“針千本飲ます”が追加されたっきゅ…〕
おっふ…。またやっちまった。この世界には指切りの習慣なんか無いし、制約内容が追加されたなんて言えにゃい…。ヤバいヤバい…。
「エル、契約は無事に終わったかい?」
「うにゅ…」
ウィルにぃにそう聞かれるが、素直に終わったよって言えない…。
「エル?もう話してもいいんだよ?」
ウィルにぃが不思議そうに聞いてくる。
〔追加の制約内容もちゃんと伝えるっきゅよ?じゃないと、エルが違反した事になって、罰を喰らうっきゅよ〕
マジかぁ…。ホントやっちまったよ。トホホ…。
[エミリーちゃん、わたしエルシーア。いつも素敵なお洋服をありがとう]
「あらん!?エルちゃんの声が直接頭に響いてくるわんっ!?」
わたしがエミリーちゃんに洋服のお礼を念話で伝えると、やっぱりビックリしたようだ。
それを見てみんなが、クスクスと笑っている。最初はビックリするもんね。
[エミリーちゃん、あのね…、さっきの歌の歌詞の中にね、実は“針千本飲ます”ってフレーズがあったんだけど、それがそのまま制約内容に追加されちゃったの…。ごめんなさい…。]
「「「「エルっ!?!?」」」」
「あらぁ~っ、あらあらぁ~…っ。
まぁ、いいわ。あたくしが秘密を漏らさなければいいだけの話だもの。
それに秘密は念話だけかしらん?」
流石エミリーちゃん。堂々としてカッコいい。立派な漢ですな。
「エルちゃん??」
エミリーちゃんがニッコリ笑う。
うっ…。何故思ってる事がバレたし。
[エミリーちゃん、実は作って欲しいというか、着たいお洋服がいっぱいいっぱいあるの。だから、そのイメージを今から送るね]
誤魔化しつつ、エミリーちゃんに服のイメージを送る。
「あらっ!!あらあらぁ~っ!!なにコレ素晴らしいわっ!!!!創作意欲が掻き立てられるわぁんっ♡
こうしちゃいられないわんっ!!ハリー、あたくしもあなた達の王都行きに同行するわんっ!!直ぐに準備しなくっちゃっだわんっ☆」
エミリーちゃんはわたしの両手を握ってブンブン振り、立ち上がる。
「エミリー、あなた本気なの?」
今すぐにでも帰りそうなエミリーちゃんを、かぁしゃまが呼び止める。
「もちバチ、あたくしはいつでも本気よん♪絶対に付いて行くわん。エルちゃんともっとお話したいものっ!!
それにね、ハリー。あたくしは強いわよ?あなた達が社交やお茶会でいない時、エルちゃんを守れるわ。どうかしら?守りはひとりでも多い方がいいのではなくって??」
自信満々なエミリーちゃんの言葉に、かぁしゃまが考え込む。
「そうね…。確かにあなたの言うとおり、エルちゃんの秘密を知り、守れる者が多い方がいいわ。
わかったわ。あなたの同行を許可します」
「「お母さまっ!?」」
エミリーちゃんの同行決定を聞き、ウィルにぃとバルにぃが声を上げる。
あっ…。ふたりはエミリーちゃんが苦手だった。
「あらん?二人とも何かしら?あたくしが付いて行くと何かマズい事があるのかしらん??」
「「ぐっ…!!」」
エミリーちゃんの言葉に詰まるお兄ちゃんズ。
言える訳ないよねぇ~。あなたが苦手ですなんて…。
「はい、じゃあ決まりねんっ♪
じゃあ、あたくしは帰って準備しなくっちゃっ!!
ハリー。アイツ…あなたの旦那様にもヨロシクねんっ♡アデューっ!!!!♪♫」
そう言って、エミリーちゃんは持ってきた荷物をまとめると、颯爽と帰って行った。
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