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第二章

バルドリックとルイーザの誕生日②

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「んんっ!!では、家族が皆揃った事だし、出発しよう」

おとしゃまの咳払いと声と共に馬車に乗り込みます。
家族全員が乗れる程の大きな四頭立ての馬車だ。
馬車かぁ…。わたしのデリケートなお尻が心配。

「さぁ、エル。揺れると危ないから、こっちに来ようね」

おとしゃまが、ウィルにぃからササッとわたしを奪い、自分の膝の上に乗せる。

「おとしゃま…」
「お父さま…」

「なんだい、なんだいっ!!今日ぐらいいいじゃないかっ!!普段から私だけエルとの触れ合いが少ないんだからっ!!」

くちびるを尖らせて拗ねるおとしゃま…。いい年こいてアンタ、可愛くな…可愛いなこんちくしょうっ!!これだから美形はっ…!!
ウィルにぃが呆れてるぞ。

「バル、ルイーザ。神殿での作法はちゃんと覚えているかしら?」

拗ねるおとしゃまを無視して、かぁしゃまがバルにぃとルーねぇに話かけている。

「「もちろん」」

「そう。じゃあ安心ね。しっかりご挨拶しましょうね」




「到着いたしました」

「わかった。ありがとう」

御者さんからの声かけに、おとしゃまが応える。

そんなこんなで、どうやら神殿に到着したようです。おとしゃまの膝の上で抱えられていたおかげか、デリケートなおしりは無事でした。
今日、わたし達家族が来たのは、領地にある神殿だ。

御者が扉を開け、まずおとしゃまが降りる。おとしゃまのエスコートでかぁしゃまが優雅に降ります。
その後に、ウィルにぃ、バルにぃ、ルーねぇが続く。ルーねぇのエスコートはバルにぃがしてたよ。
最後にわたし。おとしゃまに降りる前にレースのベールを被せられ、抱っこされて降ります。
何故ベール??まぁ、いいけど…。

神殿の扉の前には、白と金を基調とした祭服を着て、白いあごひげを長く伸ばした、人の良さそうなおじいちゃんが立っていた。

「ようこそお出でくださいました。ヴァイマル伯爵。今日は次男のバルドリック様と長女のルイーザ様の誕生の報告の礼拝ですね」

「神官長殿、今日はよろしく頼む」

なんと。あごひげのおじいちゃんは神官長さんでしたか。

「おや?今日は可愛らしいお子さんも一緒ですな」

どうやらわたしがおじいちゃんを、まじまじと観察しているのに気付いたらしい。

「ああ。末娘のエルシーアだ。まだ3歳の誕生の挨拶も済んでいないため、このままの状態で失礼するよ」

「おやおや。そうでしたか。それでは礼拝堂にご案内しましょう」

ゴシック建築でできた神殿内を進む。光が差し込むバラ窓が美しい。他の窓はステンドグラスになっていて、そこから入るのが光は幻想的だ。
拝廊から身廊へ進み、バルにぃとルーねぇ以外のわたし達は内陣にある礼拝席に座る。
バルにぃとルーねぇは主祭壇の手前で立ち止まる。祭壇にはステンドグラスの光を受けながら立つエアネスト様の像があった。
バルにぃとルーねぇは、エアネスト様の像の前で膝をつき、両手を胸の前で組む。どうやらその状態で祈りを捧げ、無事に成長した事を報告している様だ。

しかしさぁ、エアネスト様の像、カッコつけ過ぎじゃない??
優しく両手を差し伸べ、その顔は笑みを浮かべてる。
なんか、実際の5割増しでカッコつけてるよね…。

わたしがそんな事をつらつらと考えていると、
エアネスト様の像からキラキラと美しい光がわたしに降り注いだ。
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