転生幼女の怠惰なため息

(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉

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第二章

それぞれの想い②

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〈バルドリック・ルイーザ視点〉



お父さまの説明の後、わたくしとバルドリックは、揃って自室へと向かっていた。
ウィルお兄さまはわたくしたちに、おやすみのあいさつをしたあと、ひとりで先に自室へと戻っていった。

「ねぇ、バル。お父さまの話を聞いて、どう思った?」

わたくしは、隣で頭の後ろで腕を組みながら歩く、バルドリックに声をかけた。

「あ?なんだよ急に」

「いいから何か言いなさいよ」

バルドリックはお父さまの説明を聞いてどう思ったのだろうか?
わたくしだけが不安に思っているのではないだろうか?と思い聞いてみた。

「別に。今までと何も変わらねぇよ。ただこれからもエルを守るだけだろ」

すると、バルドリックは何の事なしに、いつも通りの調子で答えた。

「バル、あなた…自分にそんな力があると思うの?」

バルドリックの、いつもと変わらない調子に、少しイラッとして語尾がきつくなる。
あれだけの話を聞いて、何も思ったり考えたりしなかったのだろうか??

「ああっ!?そんなのこれから力をつけるに決まってるだろっ!!
ってか、何なんだよ。そう言うお前はどうなんだよ」

「守るわ…。いいえ、守ってみせる。初めて出来た、わたくしの可愛い可愛い妹だもの」

「なんだよ。だったら別に俺と変わらねぇじゃん」

「そうね、バル。あなたと一緒ね。わたくしも今までと変わらず、これからもずっとずっとエルを守るわ」

ふふっ。なんだ…。いつも通りだけど、バルドリックなりに考えていたのね。ちょっと安心した。
するとバルドリックが急に真剣な顔で話し出す。

「だろ?俺は剣で、お前は魔法で守ればいいんだよ。それぞれ得意というか、好きな方法でエルを守ればいいんだよ。
それに、兄貴が居るだろ??」

「そうね、万が一わたくし達が守りきれなくても、ウィルお兄さまが居るわね」

そうよね。わたくしだけじゃない。お父さま、お母さま、ウィルお兄さまが居るわね。

「そうそう。兄貴はさぁ、エルにメロメロというか、デロデロだからなぁ。
兄貴はいざとなったら、相手が誰であろうと切り伏せるし、ねじ伏せるな」

「ふふふっ。そうね。何だか今からその様子が目に浮かびそうよ」

ウィルお兄さまは、もちろんわたくし達にも優しいけれど、エルに対してはそれ以上だ。
エルに対しては何か特別な感情というか、想いがあるみたい。

「で??スッキリしたか??」
「何よ…」

急にバルドリックがニヤニヤしながら聞いてくる。

「いやさ、お前の事だから、この後ウジウジ悩むというか、思い詰めそうだし?こう話してて何かスッキリしたのかなぁってさ」

「何よ…っ。ちょっとわたくしより数秒早く産まれたからって、急に兄ぶらないでよねっ!!」

「はぁっ!?双子だろうと実際に兄なんだよ、俺は」

何よ…。馬鹿…。
でもそうね。悔しいけど、バルドリックと話をして、スッキリしたわ。

「あ~あ~っ。明日からの勉強、ダルいなぁ。絶対明日からの勉強、厳しくなるじゃん」

バルドリックがため息混じりにそんな事を言う。
さっきの、わたくしの感謝の感情を返せっ!!

「さっきエルを守るって、お互いに決めたばかりじゃない。しっかりしなさいよっ!!」

「だってさぁ~、俺たち、もうすぐ5歳だけど、まだ4歳だぜ??
俺さぁ、他人のじーさんとかばーさんの名前とか、他領の特産品とか興味ねぇもん」

バルドリックが、めんどくさそうにブツブツと文句を言う。

「はぁっ!?社交界での処世術で必要だから学んでいるんでしょう。しっかりしなさいよ」

「だからさぁ、俺は剣で守るんだって。そういうのはルイーザに任せたっ!!
それにさ、ルイーザは5歳の誕生日過ぎたら、お茶会デビューだろ?お前そういうの得意そうじゃん。だから任せた。
俺はさ、お茶会で誰かイヤなヤツが居たらブッ飛ばしてやるよ」

ニカッと笑いながらそんな事を言うバルドリック。
でも、そうね。あなたのおかげでスッキリしたし、もう悩む事もなさそうよ。
頼りにしてるわよ。わたくしの2番目のお兄ちゃん。
悔しいから絶対に言わないけどね。

「わかったわよ。じゃあ、明日からもお互いに頑張りましょうね」

「おうよっ!!」

わたくしとバルドリックは、クスクス笑いながらお互いの部屋へと戻った。
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