転生幼女の怠惰なため息

(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉

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第一章

最期の願い②

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「じゃあ、紗代。おでこを出して」

いつきちゃんにそう言われて、わたしは前髪を上げおでこを出す。

「こんな感じて大丈夫かな??」

「うんうん。紗代ちゃん、大丈夫だよ~」

「じゃあ、いくぞ「いくね」」

そう言いながら、いつきちゃんとみつきちゃんがコツンッとおでこを合わせて来た。
その瞬間、わたしの体の中を、何か温かい力の様な物が巡るのを感じた。

「紗代、もう髪を下ろしてもいいぞ」
「紗代ちゃん、お疲れ様~」

みつきちゃんが下ろした髪を手ぐしで整えてくれる。

「ねぇ、いつきちゃん、みつきちゃん。体の中で何か温かい力の様な物を感じたんだけど、それがいつきちゃんとみつきちゃんがくれた加護の力なの??」

「ああ、そうだ。紗代の転生に俺達は付いて行けない。だが、繋がりはある。一緒には居られないが、心は常に繋がっている。だから、紗代は転生後もひとりじゃない。俺達の想いは紗代と共にある」

「そうだよ、紗代ちゃん。体は離れ離れになっちゃうけど、でもね、心はずっと一緒だよ。転生後もずっとずぅ~っと、わたしといつきで見守って居るからね」

「ありがとう…ありがとう!!いつきちゃん、みつきちゃんっ!!えへへ…」

嬉し過ぎて、涙をポロポロ流すわたしを見て

「やっぱり紗代は泣き虫だな」

と言いながら、ハンカチで涙を優しく拭ってくれる。いつきちゃんはちょっとツンデレだけど、心もイケメンだよ。

「こらこら、いつきってば、感動で涙を流している紗代ちゃんをイジらないの。大丈夫だよ、紗代ちゃん。アレはいつきなりの照れ隠しだからね」

そう言って、みつきちゃんがわたしの頭を優しく撫ででくれる。
こうやって、いつきちゃんとみつきちゃんとじゃれ合う事もこれで最期なんだね…
それでも、ふたりは心は共にあるって、ずっと見守ってくれるって言ってくれた。ふたりの想いを大切にしなくっちゃねっ!!

「紗代や、落ち着いたかえ?」

いつきちゃんとみつきちゃんの手が外れたタイミングで、天照大御神様に向き合う。 

「はい。大丈夫です。天照大御神様」

「そうかえ。では次は妾の番じゃな。紗代、そなたに妾も加護を与えようぞ」

「えぇぇっ!?!?天照大御神様のご加護までいただいてしまってもいいですか!?」

「良い良い。妾の加護を与えることも、地球の神は了承済みじゃ。流石に閻魔大王えんまだいおうの加護は了承してもらえんかったがのう」

そう言いながら、コロコロと鈴を鳴らす様な美しい声で笑う天照大御神様。
しかし、閻魔大王様の加護っていったい…。
でも、天照大御神様は閻魔大王様にも地球の神様にも掛け合ってくださったんだよね。
これはスゴいことだよねっ!!ちゃんとお礼の言葉を伝えないとっ!!

「天照大御神様。加護の件で閻魔大王様と地球の神様に掛け合っていただき、誠にありがとうございます。わたし、本当に幸せ者ですね…」

「良い良い。気にするでないよ。」
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