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第一章

神界で…①

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ん…っ、ここは…??

紗代はゆっくりと目を覚した。

あたりを見渡すが一面の白…。何もない空間だった。

あれ…??わたし確か残業してて…
あっ。思い出したっ!
大和やまとから電話がかかってきて、いつきちゃんとみつきちゃんにいつ帰って来るかって催促されてたんだっ。
それで返事をしようとしたら、突然変なピキッピキッって音がして…それから…



「紗代っ‼」
「紗代ちゃ~んっ‼よかった、目を覚ましたんだねっ‼」

いきなりいつきちゃんとみつきちゃんにぎゅっ~ぅと力強く抱きしめられる。

「いつきちゃん⁉みつきちゃん⁉なんでっ⁉どうしたの⁉」

「どうもこうもないよっ‼」
「そうだよっ‼突然紗代ちゃんの気配が消えて、わたしもいつきもビックリしてそれで…それで…」

話しながらみつきちゃんがボロボロと大粒の涙を流しだす。いつも元気いっぱいだったいつきちゃんの目にも涙が浮かんでいる。

「ふたりとも落ち着きなんし」

凛としたそれでいて優しく包み込むような声が響く。
いつきちゃんとみつきちゃんにぎゅうぎゅうに抱きしめられながら声がした方に視線を向ける。
そこには美しい十二単に身を包み、まるで夜空の星が瞬いているような髪が足元まで広がる超絶美人がいた…。

「えっ…めっちゃ美人…」

思わずぽかんと口を開けながら見入ってしまう。

「うふふっ…。めっちゃ美人とな。それはなんとも嬉しいのう」

ころころと鈴を転がすような美しい笑い声が響く。
なんというか、自分の造語力の無さがうらめしい…。

「えっ…あっ…ハイ…」

この世の物とは思えないほどの美しい造形の顔に見つめられ、思わずモジモジしてしまう。

「ね…、ねぇ、いつきちゃん、みつきちゃん。あの超絶美人さんはどなたなの??」

直接、「あなたは誰ですか??」と聞く勇気も無く、ぽしょぽしょといつきちゃんとみつきちゃんに尋ねる。

「ふたりとも、落ち着いたかえ?妾を紗代に紹介してたもれ」

「「あ…」」

ぎゅうぎゅうと抱きしめられるのは開放されたが、それでもふたりとも片方づつ手をぎゅうっと握ってくる。まるでもう二度と離さないと言っているようだ。

「紗代、あのな、この方は日本の神々の中でも頂点にいらっしゃる、天照大御神様だ」

いつきちゃんからの超絶美人さんの紹介を受け、思わず

「ほぇ…ぇ~っ⁉」

っと変な声が出てしまう。

「紗代ちゃん、紗代ちゃん、落ち着いて。大丈夫。天照大御神様はそれはもう慈悲深いお優しい方。いつきもわたしも一緒に居るから大丈夫」

みつきちゃんに背中を優しくトントンされながら、どうどうと落ち着くように言われる。

「ふふふっ。ほんに紗代は可愛らしいのう。さすがふたりが懐くはずじゃて」

「ええぇっ…あっ…ハイ…ありがとうこざいます…」

たぶんお世辞とはいえ、超絶美人さんから“可愛らしい”と言われ、顔から湯気が出るほど赤面し、「うぅ~っ…恥ずかしいよぅ…」とうつむいてしまう紗代であった。
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