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第4章 インド洋の戦い
4.10章 戦艦部隊への攻撃
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比叡上空でブレニム爆撃機の掃討戦が行われているころ、一航戦、二航戦、五航戦は全力で帰投してきた第二次攻撃隊を収容していた。帰還機の収容と並行して、アッズ環礁から出港しつつある戦艦部隊に向けた攻撃隊を準備しなければならない。既に第三次攻撃隊は発艦を終わっていたが、収容した艦載機に補給を済ませて、可能な限り多くの第四次攻撃隊を発進させる準備が行われていた。
赤城艦橋では、山口長官と草鹿参謀長に源田参謀が報告していた。
「英国戦艦が5隻とすると、先に出した第三次攻撃隊だけではいささか機数が足りません。直ぐに追加で第四次攻撃隊の発進が必要です」
航海参謀が渡してきたメモを見ながら、草鹿参謀長は慎重な意見だった。
「敵艦隊との距離を考えると、これから攻撃隊を出撃させても帰投時には暗くなるだろうとのことだ。夜間着艦を許可できるのは、残念ながら一部の搭乗員だけだ。残敵への攻撃は明日にしてもいいのではないか」
「ベテランだけで攻撃隊を編制させてください。明日の朝になれば、索敵からやり直しです。それに我々が夜襲を受ける可能性もある。叩けるときにやってしまうべきです」
2人の議論を聞いていた山口長官が決断する。
「腕の良い搭乗員だけを選定せよ。それで30分以内に発艦できた機体だけを第四次攻撃隊とする。発進後は、我々は全速で敵艦隊に接近する。帰り道が短くなるならば、ぎりぎりで夕暮れに帰還できるかもしれん。それ以降の攻撃は明日の朝だ。各空母に通知せよ」
最も早く、第四次攻撃隊を離艦させたのは五航戦の翔鶴と瑞鶴だ。斜め飛行甲板を利用して帰ってきた第二次攻撃隊を着艦させる。その間にも補給が完了した機体を蒸気カタパルトに据え付けると、着艦するために降下接近してくる機体がいるにもかかわらず発艦させてゆく。加賀も斜め甲板と蒸気カタパルトを利用して着艦と離艦を同時にこなしてゆく。他の空母は、一旦着艦を中断しない限り、こんな器用なことはできない。効率が悪いことおびただしい。
山口長官は空母の様子を見てため息をついていた。
「もっと飛行甲板の大きな空母が欲しいな。中途半端な大きさは使い勝手が悪い」
悩んでも仕方のないことは頭の外に追いやって、すぐに切り替える。
「航空参謀、今まで発艦できた第四次攻撃隊はどれほどか?」
「現状では30機程度です。先の第三次攻撃隊は60機程度の攻撃隊を発進させましたので、合わせて90機になります」
「やむを得ん。まずはここまでとしよう。暗くなってからの夜襲は別途検討する」
……
第三次攻撃隊がアッズ環礁の北西地点に到着した時、英軍の戦艦部隊は環礁から出てきたばかりで、旗艦のウォースパイトを先頭として縦列になって航行していた。旗艦に続いてレゾリューション、ラミリーズ、ロイヤル・ソブリン、リヴェンジがほぼ全速の20ノット以上で航行していた。例外として連装高角砲5基を搭載して最も対空能力のある軽巡洋艦のヤコブ・ヴァン・ヘームスケルクがウォースパイトの直後を航行していた。他の軽巡と駆逐艦は単縦陣となって、戦艦部隊の南方を航行していた。
第三次攻撃隊が飛行してゆくと、翼をバンクさせながら2機の零戦が前方から飛行してきた。敵艦隊を偵察していた零式艦偵が、第三次攻撃隊の確実な敵艦隊への誘導のために、艦隊の近傍で誘導電波を発信し続けていたのだ。このため無線方向探知機を利用して発信源を探知できた。既に3時間以上、敵艦隊の周囲を飛行していた艦偵は、第三次攻撃隊が飛行してきたのを認めてから、母艦へと戻っていった。
その時、東南方向から近づく編隊があった。志賀中隊3小隊の山本一飛曹は目ざとくそれを見つけた。
「前方から見た機影が、細すぎるぞ。こいつは液冷の機体だ」
そこまで考えて、直ぐに無線のスイッチを入れた。
「後方より、敵機。機数10以上」
志賀大尉はすぐに反応した。
「7時方向。後ろに敵機。高度同じ。続け」
烈風は艦隊防衛をしていたために、攻撃隊の戦闘機は全て零戦だった。
零戦隊が一気に加速して水平旋回で方向を変える。英軍の戦闘機は、正面からぶつかるのを避けて6機ごとに零戦の編隊の左右をすれ違うように二手に分かれた。左側をすれ違った編隊が旋回して零戦に向かってくる。
思わす志賀大尉がつぶやく。彼は、この機体を識別用の写真で見たことがあった。
「こいつ速いぞ。スピットファイアか」
すぐに、増槽と噴進弾ポッドを落とす。こんなものを付けたまま戦える相手じゃない。
先月、アッズ基地に配備されたばかりのスピットファイアが、日本軍の攻撃隊が進撃中との報告を聞いて飛んできたのだ。スピットファイアと零戦の空戦が始まる。
ロールスロイス・マーリン1,470馬力の発動機が、スピットファイアMk.V型の機体に与えた性能は、この高度でも373マイル(600km/h)の速度を出せた。一方、零戦は1,600馬力のエンジンで320ノット(593km/h)の速度を発揮できる。実質的に差はない。エンジンの馬力が大きいのに、零戦の速度がわずかに小さいのは、翼面積が大きいからだ。速度と引き換えに旋回性能と上昇性能は優れている。
志賀大尉は先頭の敵機と水平面での旋回戦に入った。ビリビリと翼を震わせながら、旋回のGに耐えて頭を上げると真上に敵機の背中が見える。それが徐々に目の前に移動してきて首の角度が楽になる。わずかに旋回半径の小さな零戦が敵機の後方へと近づいているのだ。たまりかねた、敵機が左にロールして旋回の外へと逃れようとする。同じ機動で追いかけると、旋回を止めた敵機と零戦は一直線上の位置関係になる。ためらわすに機銃を発射すると、翼から胴体にかけて弾着した。胴体から炎を噴き出して落ちてゆく。
一方、先に敵機を発見した山本一飛曹の小隊は、すれ違った後にインメルマンターンの要領で、高度をとってから、敵機編隊に後方から近づく方向へと180度向きを変えた。前下方の旋回戦の様子を観察すると、零戦を追いかけているスピットファイアに狙いをつけて急降下してゆく。350ノット(648km/h)以上に加速して、敵機の上方から接近すると、斜め上方から射撃した。スピットファイアはエンジンから黒煙を噴き出して落ちてゆく。
零戦との空戦の結果、スピットファイアは数機が撃墜されたようだ。加賀戦闘機隊の志賀中隊の列機も1機が足りなくなっている。
2群に分かれた他方の6機のスピットファイアは、すれ違った零戦は無視して、編隊中央を飛行する艦攻隊に向かった。全速の英戦闘はすぐに97式艦攻の編隊の後尾にとりついた。イスパノ・スイザ20mmが咆哮するとオレンジの射弾が艦攻の胴体に伸びていった。20mm弾の爆発で遠目からでもわかる大きな破孔が生ずる。あっという間に4機の97式艦攻が撃墜された。
英戦闘機が次の獲物を狙おうとした時、編隊北側を護衛していた、飛龍戦闘機隊の岡島大尉の率いる中隊がスピットファイアの上方から急降下してきた。9機の零戦が敵機の背中に向けて13.2mmの射撃を行った。3機が煙を吐き出して落ちてゆく。英戦闘機は一撃をしかけただけで、引き上げたのかいつの間にかいなくなっていた。航続距離が短いスピットファイアにとってはこれが精いっぱいだ。空には墜落した機体の残した煙が狼煙のように残っていた。
敵機を撃退したものの、攻撃隊の計画は狂っていた。英軍戦闘機に対する反撃により、零戦は全て噴進弾を投下していた。このため、英戦艦への噴進弾攻撃が不可能になってしまった。
ウォースパイトの後方を航行していたヤコブ・ヴァン・ヘームスケルクはレーダーで日本軍の接近を探知すると、後方から接近してくる日本軍機に向けて射撃を開始した。
攻撃隊指揮官の村田少佐が無線で指示する。
「さかんに高射砲を撃ってきている2番艦を先に攻撃する。巡洋艦への攻撃が先だ」
2番目を走っていたヤコブ・ヴァン・ヘームスケルクは、オランダ軍艦だったが、開戦後の日本軍の進撃により、インド洋から蘭印に戻ることは不可能になった。この艦は、英国で防空巡洋艦への改装工事が行われたため、レーダーと高射砲の射撃照準器は英海軍の最新型を搭載していた。
5機の彗星がこのオランダ軽巡に向かって降下してゆく。10門の4インチ(10.2センチ)高射砲と40mmポンポン砲の全力射撃により、99式艦爆よりも格段に速度の速い彗星も1機が撃墜された。残りの4機が後方から急降下して投弾した。投弾直後に被害を受けていた1機が耐え切れずに海面に墜落する。
激しく撃たれながらも彗星は2発を艦の艦橋付近と艦尾に命中させた。艦橋に命中した80番4号爆弾は甲板を貫通すると水平隔壁を次々と破って機関室に突入した。機関室の床に達したところで爆発すると艦底に大きな破孔を開けた。艦尾への命中弾は船体を一気に貫通して水中で爆発して艦尾を10m余り吹き飛ばした。水圧を受けて艦底と船尾から大規模な浸水が始まると、オランダ巡洋艦はなすすべもなく船尾から沈んでいった。
ほぼ同時に、彗星が先頭のウォースパイトに向けて降下してゆく。近代化改修が完了して、キングジョージ5世級とよく似た近代的な艦橋になったこの戦艦が、旗艦であることを想定しての攻撃だ。ウォースパイトは4基の4インチ連装高射砲と40mmのポンポン砲を打ち上げる。しかし、高速で急降下してくる彗星を落とすためには、火力が不足していた。彗星は、ダイブブレーキを開きながら70度以上の角度で降下すると、高射砲の射撃をものともせずに爆弾を投下した。
ウォースパイトには9機が爆撃して4発の80番爆弾が命中した。この爆弾は全てがロケット推進の4号爆弾だった。上甲板に音速で命中すると弾体がやすやすと艦内に侵入してゆく。弾体は船体内の3インチ(76mm)の水平装甲板を貫通すると船体の下部まで貫通して機関室で爆発した。一部の爆弾は6インチ(152mm)の水平装甲に当たったが、80番4号は強固な防御鋼板も貫通して艦の防御区画内部に達した。船体の中央部から後部にかけて、缶室と機関室まで貫通して船体下部で弾頭が次々と爆発した。これにより、機関部が大きな被害を受けて速度が低下し始める。また、一弾は最後尾のY砲塔上面に命中して弾体が4.5インチ(114mm)の天蓋装甲を貫通した。弾体は砲塔内に侵入して砲塔下部の揚弾筒のところまで達して爆発した。砲塔が爆風で一度持ち上げられると本来の位置からずれたところに落下した。連装の砲身がそれぞればらばらな方向を向いて、砲塔の周囲の隙間からは黒煙が勢いよく噴き出してきた。
ウォースパイトが速度を落としてゆくのを見て、4機の97式艦攻が降下を開始した。今回の戦いでは、戦艦では舷側にベルト状に取り付けられた装甲板が30センチ以上の厚さとなっているため、反跳爆撃では貫通できないと予想された。従って、97式艦攻には魚雷が優先的に装備されていた。10ノット以下になったウォースパイトの左舷を狙って投下された4本の魚雷は、左舷側に回頭して回避した影響で後部に2本が命中した。舷側に生じた破孔から海水が流入して左舷に傾き始める。4機編隊に後続していた2機の97式艦攻が雷撃を敢行すると、速度が低下していた戦艦に更に1本が命中した。魚雷は既に80番爆弾で被害を受けていた船体中央部の側面から命中して、隔壁が破壊されている機関室内部につながる大きな破孔を喫水線の下に発生させた。船体内で隔壁が破壊されて役に立たなくなっていたために多量の浸水が一気に発生した。舷側に追加されたバルジも複数の魚雷に対しては十分な効果を発揮しなかった。あっという間に上甲板が水浸しになって甲板上の破孔や隙間からも海水が流入し始める。もはやこの戦艦を助けることは誰の目にも絶望的になった。
次に狙われたのは最後部を航走するリヴェンジだった。上空から見ると日本海軍の搭乗員には、近代化改装が行われたウォースパイト以外は、連装主砲4基の全て同型の戦艦に見えた。特に理由もなく、たまたま手前を航走するリヴェンジが偶然狙われたに過ぎない。
彗星艦爆8機がこの艦に狙いをつけると次々に爆弾を投下した。4基の連装高角砲と2基の40mm砲で反撃するが、4発が連続して命中した。80番爆弾により上甲板の2インチ(51mm)装甲が簡単に貫通されて、その下の1.5インチ(38mm)の水平装甲板も容易に弾体が貫通した。貫通した爆弾の爆発により、機関部のボイラとタービンが次々に破壊されて全ての動力が失われた。機関部の艦底にも爆発により亀裂が発生して多量の浸水が始まる。
4機の97式艦攻が雷撃コースに入っても全く反撃もできず、惰性で進むだけの大型戦艦は訓練目標と同じになった。2本の魚雷が左舷側に命中するとあっという間に左舷に傾いて転覆してしまう。
2隻の戦艦を攻撃した時点でまだ攻撃していないのは、彗星艦爆が15機、97艦攻が12機だった。これらの機体は、上空で無傷の目標を探していた。英戦闘機で撃墜されたため、艦攻の数が少ないのはやむを得ない。
上空で様子を見ていた村田中佐は、敵戦闘機がいないことを確認して攻撃を再開させた。この間に特定の艦に攻撃が集中しないように、無線で指示して攻撃隊を割り振った。
一方、日本軍の攻撃の間に、英艦隊の軽巡洋艦ダナエとドラゴンがそれぞれ2隻の駆逐艦を率いて、戦艦群をはさむように南と北に進み出てきた。頃合いを見計らって、6隻が全力で煙幕を展開し始める。風向きを見ながら戦艦が隠れるように戦艦との間の位置を調整することにより、縦列となった戦艦を煙幕が覆い始めた。結果的にこれが今回の戦いで英海軍が行った最も効果的な防衛手段となった。
村田中佐の指示により、残ったレゾリューション、ラミリーズ、ロイヤル・ソブリンの3隻に対して、彗星も3隊に分かれて攻撃を行った。それぞれの攻撃機は無傷の英戦艦から高射砲と40mm機関砲の射撃を受けた。しかも煙幕が照準を邪魔した。1艦当たり5機が攻撃して、レゾリューションとロイヤル・ソブリンそれぞれ1発を命中させた。レゾリューションは機関にも被害が出て速度が落ち始める。97式艦攻は、海面上の煙幕が攻撃の邪魔になったこともあって、1艦当たり4機がそれぞれ回頭する3隻に戦艦に向けて雷撃を行った。結果的に、レゾリューションに1本、ラミリーズに1本が命中しただけだった。
第四次攻撃隊も第三次と同じく、英艦隊に向けて飛行している途中で6機のスピットファイアの攻撃を受けていた。しかし、12機の護衛の零戦が数にものを言わせて、英戦闘機を全て排除した。
第四次攻撃隊が戦艦の上空に到達した時、既にリヴェンジは海上になく、ウォースパイトは上甲板までが海水に浸かって沈みつつあった。レゾリューションは爆弾と魚雷の命中により10ノット以下に速度が落ちていたが、ラミリーズとロイヤル・ソブリンはまだ15ノット程度の速度で航行していた。太陽が傾いた空は既に暗くなりつつあった。煙幕に加えて、夕暮れという条件の悪い中で、第四次攻撃隊はこの2隻の戦艦の被害が小さいと判断して、攻撃対象とした。
続けて12機の急降下爆撃隊と6機の雷撃隊が2隊に分かれて同時攻撃を実施する。ラミリーズには99式艦爆が投下した1発の50番爆弾が命中して、機関部に被害を与えた。すぐに速度が落ちてゆく。ロイヤル・ソブリンには1発の50番4号爆弾がB砲塔に命中して天蓋を破って砲塔を破壊した。誘爆を恐れた前部弾薬庫への注水により、A砲塔も使用不能になってしまう。
雷撃隊には海面に広がった煙幕が障害になった。しかも海面上は高度が下がるほど急速に暗くなっていった。ラミリーズとロイヤル・ソブリンそれぞれに3機が雷撃をしたが、全て回避されてしまった。
第四次攻撃隊が去ってゆくとサマヴィル中将は旗艦をラミリーズに移して、沈没艦から脱出した乗員の救助をするとともに部隊の再編を行った。爆弾と魚雷で被害を受けた戦艦の応急修理も進める。2時間後には3隻の戦艦が縦列となって、10ノットで西方に進みだした。戦艦の前方には、お手柄の2隻の軽巡洋艦が航行する。8隻の駆逐艦が2隊に分かれて縦列の左右を航行していた。
指揮官の嶋崎中佐は、攻撃隊の帰路で戦艦3隻が西方にまだ航行中であることを報告していた。これからの作戦に影響する重要な情報だ。
報告が終わると、機内でため息をついた。
「日暮れに煙幕を張るとは、今回は条件が悪かったな。それに1日で2度の長距離攻撃でみんな疲れていたのだ」
赤城艦橋では、山口長官と草鹿参謀長に源田参謀が報告していた。
「英国戦艦が5隻とすると、先に出した第三次攻撃隊だけではいささか機数が足りません。直ぐに追加で第四次攻撃隊の発進が必要です」
航海参謀が渡してきたメモを見ながら、草鹿参謀長は慎重な意見だった。
「敵艦隊との距離を考えると、これから攻撃隊を出撃させても帰投時には暗くなるだろうとのことだ。夜間着艦を許可できるのは、残念ながら一部の搭乗員だけだ。残敵への攻撃は明日にしてもいいのではないか」
「ベテランだけで攻撃隊を編制させてください。明日の朝になれば、索敵からやり直しです。それに我々が夜襲を受ける可能性もある。叩けるときにやってしまうべきです」
2人の議論を聞いていた山口長官が決断する。
「腕の良い搭乗員だけを選定せよ。それで30分以内に発艦できた機体だけを第四次攻撃隊とする。発進後は、我々は全速で敵艦隊に接近する。帰り道が短くなるならば、ぎりぎりで夕暮れに帰還できるかもしれん。それ以降の攻撃は明日の朝だ。各空母に通知せよ」
最も早く、第四次攻撃隊を離艦させたのは五航戦の翔鶴と瑞鶴だ。斜め飛行甲板を利用して帰ってきた第二次攻撃隊を着艦させる。その間にも補給が完了した機体を蒸気カタパルトに据え付けると、着艦するために降下接近してくる機体がいるにもかかわらず発艦させてゆく。加賀も斜め甲板と蒸気カタパルトを利用して着艦と離艦を同時にこなしてゆく。他の空母は、一旦着艦を中断しない限り、こんな器用なことはできない。効率が悪いことおびただしい。
山口長官は空母の様子を見てため息をついていた。
「もっと飛行甲板の大きな空母が欲しいな。中途半端な大きさは使い勝手が悪い」
悩んでも仕方のないことは頭の外に追いやって、すぐに切り替える。
「航空参謀、今まで発艦できた第四次攻撃隊はどれほどか?」
「現状では30機程度です。先の第三次攻撃隊は60機程度の攻撃隊を発進させましたので、合わせて90機になります」
「やむを得ん。まずはここまでとしよう。暗くなってからの夜襲は別途検討する」
……
第三次攻撃隊がアッズ環礁の北西地点に到着した時、英軍の戦艦部隊は環礁から出てきたばかりで、旗艦のウォースパイトを先頭として縦列になって航行していた。旗艦に続いてレゾリューション、ラミリーズ、ロイヤル・ソブリン、リヴェンジがほぼ全速の20ノット以上で航行していた。例外として連装高角砲5基を搭載して最も対空能力のある軽巡洋艦のヤコブ・ヴァン・ヘームスケルクがウォースパイトの直後を航行していた。他の軽巡と駆逐艦は単縦陣となって、戦艦部隊の南方を航行していた。
第三次攻撃隊が飛行してゆくと、翼をバンクさせながら2機の零戦が前方から飛行してきた。敵艦隊を偵察していた零式艦偵が、第三次攻撃隊の確実な敵艦隊への誘導のために、艦隊の近傍で誘導電波を発信し続けていたのだ。このため無線方向探知機を利用して発信源を探知できた。既に3時間以上、敵艦隊の周囲を飛行していた艦偵は、第三次攻撃隊が飛行してきたのを認めてから、母艦へと戻っていった。
その時、東南方向から近づく編隊があった。志賀中隊3小隊の山本一飛曹は目ざとくそれを見つけた。
「前方から見た機影が、細すぎるぞ。こいつは液冷の機体だ」
そこまで考えて、直ぐに無線のスイッチを入れた。
「後方より、敵機。機数10以上」
志賀大尉はすぐに反応した。
「7時方向。後ろに敵機。高度同じ。続け」
烈風は艦隊防衛をしていたために、攻撃隊の戦闘機は全て零戦だった。
零戦隊が一気に加速して水平旋回で方向を変える。英軍の戦闘機は、正面からぶつかるのを避けて6機ごとに零戦の編隊の左右をすれ違うように二手に分かれた。左側をすれ違った編隊が旋回して零戦に向かってくる。
思わす志賀大尉がつぶやく。彼は、この機体を識別用の写真で見たことがあった。
「こいつ速いぞ。スピットファイアか」
すぐに、増槽と噴進弾ポッドを落とす。こんなものを付けたまま戦える相手じゃない。
先月、アッズ基地に配備されたばかりのスピットファイアが、日本軍の攻撃隊が進撃中との報告を聞いて飛んできたのだ。スピットファイアと零戦の空戦が始まる。
ロールスロイス・マーリン1,470馬力の発動機が、スピットファイアMk.V型の機体に与えた性能は、この高度でも373マイル(600km/h)の速度を出せた。一方、零戦は1,600馬力のエンジンで320ノット(593km/h)の速度を発揮できる。実質的に差はない。エンジンの馬力が大きいのに、零戦の速度がわずかに小さいのは、翼面積が大きいからだ。速度と引き換えに旋回性能と上昇性能は優れている。
志賀大尉は先頭の敵機と水平面での旋回戦に入った。ビリビリと翼を震わせながら、旋回のGに耐えて頭を上げると真上に敵機の背中が見える。それが徐々に目の前に移動してきて首の角度が楽になる。わずかに旋回半径の小さな零戦が敵機の後方へと近づいているのだ。たまりかねた、敵機が左にロールして旋回の外へと逃れようとする。同じ機動で追いかけると、旋回を止めた敵機と零戦は一直線上の位置関係になる。ためらわすに機銃を発射すると、翼から胴体にかけて弾着した。胴体から炎を噴き出して落ちてゆく。
一方、先に敵機を発見した山本一飛曹の小隊は、すれ違った後にインメルマンターンの要領で、高度をとってから、敵機編隊に後方から近づく方向へと180度向きを変えた。前下方の旋回戦の様子を観察すると、零戦を追いかけているスピットファイアに狙いをつけて急降下してゆく。350ノット(648km/h)以上に加速して、敵機の上方から接近すると、斜め上方から射撃した。スピットファイアはエンジンから黒煙を噴き出して落ちてゆく。
零戦との空戦の結果、スピットファイアは数機が撃墜されたようだ。加賀戦闘機隊の志賀中隊の列機も1機が足りなくなっている。
2群に分かれた他方の6機のスピットファイアは、すれ違った零戦は無視して、編隊中央を飛行する艦攻隊に向かった。全速の英戦闘はすぐに97式艦攻の編隊の後尾にとりついた。イスパノ・スイザ20mmが咆哮するとオレンジの射弾が艦攻の胴体に伸びていった。20mm弾の爆発で遠目からでもわかる大きな破孔が生ずる。あっという間に4機の97式艦攻が撃墜された。
英戦闘機が次の獲物を狙おうとした時、編隊北側を護衛していた、飛龍戦闘機隊の岡島大尉の率いる中隊がスピットファイアの上方から急降下してきた。9機の零戦が敵機の背中に向けて13.2mmの射撃を行った。3機が煙を吐き出して落ちてゆく。英戦闘機は一撃をしかけただけで、引き上げたのかいつの間にかいなくなっていた。航続距離が短いスピットファイアにとってはこれが精いっぱいだ。空には墜落した機体の残した煙が狼煙のように残っていた。
敵機を撃退したものの、攻撃隊の計画は狂っていた。英軍戦闘機に対する反撃により、零戦は全て噴進弾を投下していた。このため、英戦艦への噴進弾攻撃が不可能になってしまった。
ウォースパイトの後方を航行していたヤコブ・ヴァン・ヘームスケルクはレーダーで日本軍の接近を探知すると、後方から接近してくる日本軍機に向けて射撃を開始した。
攻撃隊指揮官の村田少佐が無線で指示する。
「さかんに高射砲を撃ってきている2番艦を先に攻撃する。巡洋艦への攻撃が先だ」
2番目を走っていたヤコブ・ヴァン・ヘームスケルクは、オランダ軍艦だったが、開戦後の日本軍の進撃により、インド洋から蘭印に戻ることは不可能になった。この艦は、英国で防空巡洋艦への改装工事が行われたため、レーダーと高射砲の射撃照準器は英海軍の最新型を搭載していた。
5機の彗星がこのオランダ軽巡に向かって降下してゆく。10門の4インチ(10.2センチ)高射砲と40mmポンポン砲の全力射撃により、99式艦爆よりも格段に速度の速い彗星も1機が撃墜された。残りの4機が後方から急降下して投弾した。投弾直後に被害を受けていた1機が耐え切れずに海面に墜落する。
激しく撃たれながらも彗星は2発を艦の艦橋付近と艦尾に命中させた。艦橋に命中した80番4号爆弾は甲板を貫通すると水平隔壁を次々と破って機関室に突入した。機関室の床に達したところで爆発すると艦底に大きな破孔を開けた。艦尾への命中弾は船体を一気に貫通して水中で爆発して艦尾を10m余り吹き飛ばした。水圧を受けて艦底と船尾から大規模な浸水が始まると、オランダ巡洋艦はなすすべもなく船尾から沈んでいった。
ほぼ同時に、彗星が先頭のウォースパイトに向けて降下してゆく。近代化改修が完了して、キングジョージ5世級とよく似た近代的な艦橋になったこの戦艦が、旗艦であることを想定しての攻撃だ。ウォースパイトは4基の4インチ連装高射砲と40mmのポンポン砲を打ち上げる。しかし、高速で急降下してくる彗星を落とすためには、火力が不足していた。彗星は、ダイブブレーキを開きながら70度以上の角度で降下すると、高射砲の射撃をものともせずに爆弾を投下した。
ウォースパイトには9機が爆撃して4発の80番爆弾が命中した。この爆弾は全てがロケット推進の4号爆弾だった。上甲板に音速で命中すると弾体がやすやすと艦内に侵入してゆく。弾体は船体内の3インチ(76mm)の水平装甲板を貫通すると船体の下部まで貫通して機関室で爆発した。一部の爆弾は6インチ(152mm)の水平装甲に当たったが、80番4号は強固な防御鋼板も貫通して艦の防御区画内部に達した。船体の中央部から後部にかけて、缶室と機関室まで貫通して船体下部で弾頭が次々と爆発した。これにより、機関部が大きな被害を受けて速度が低下し始める。また、一弾は最後尾のY砲塔上面に命中して弾体が4.5インチ(114mm)の天蓋装甲を貫通した。弾体は砲塔内に侵入して砲塔下部の揚弾筒のところまで達して爆発した。砲塔が爆風で一度持ち上げられると本来の位置からずれたところに落下した。連装の砲身がそれぞればらばらな方向を向いて、砲塔の周囲の隙間からは黒煙が勢いよく噴き出してきた。
ウォースパイトが速度を落としてゆくのを見て、4機の97式艦攻が降下を開始した。今回の戦いでは、戦艦では舷側にベルト状に取り付けられた装甲板が30センチ以上の厚さとなっているため、反跳爆撃では貫通できないと予想された。従って、97式艦攻には魚雷が優先的に装備されていた。10ノット以下になったウォースパイトの左舷を狙って投下された4本の魚雷は、左舷側に回頭して回避した影響で後部に2本が命中した。舷側に生じた破孔から海水が流入して左舷に傾き始める。4機編隊に後続していた2機の97式艦攻が雷撃を敢行すると、速度が低下していた戦艦に更に1本が命中した。魚雷は既に80番爆弾で被害を受けていた船体中央部の側面から命中して、隔壁が破壊されている機関室内部につながる大きな破孔を喫水線の下に発生させた。船体内で隔壁が破壊されて役に立たなくなっていたために多量の浸水が一気に発生した。舷側に追加されたバルジも複数の魚雷に対しては十分な効果を発揮しなかった。あっという間に上甲板が水浸しになって甲板上の破孔や隙間からも海水が流入し始める。もはやこの戦艦を助けることは誰の目にも絶望的になった。
次に狙われたのは最後部を航走するリヴェンジだった。上空から見ると日本海軍の搭乗員には、近代化改装が行われたウォースパイト以外は、連装主砲4基の全て同型の戦艦に見えた。特に理由もなく、たまたま手前を航走するリヴェンジが偶然狙われたに過ぎない。
彗星艦爆8機がこの艦に狙いをつけると次々に爆弾を投下した。4基の連装高角砲と2基の40mm砲で反撃するが、4発が連続して命中した。80番爆弾により上甲板の2インチ(51mm)装甲が簡単に貫通されて、その下の1.5インチ(38mm)の水平装甲板も容易に弾体が貫通した。貫通した爆弾の爆発により、機関部のボイラとタービンが次々に破壊されて全ての動力が失われた。機関部の艦底にも爆発により亀裂が発生して多量の浸水が始まる。
4機の97式艦攻が雷撃コースに入っても全く反撃もできず、惰性で進むだけの大型戦艦は訓練目標と同じになった。2本の魚雷が左舷側に命中するとあっという間に左舷に傾いて転覆してしまう。
2隻の戦艦を攻撃した時点でまだ攻撃していないのは、彗星艦爆が15機、97艦攻が12機だった。これらの機体は、上空で無傷の目標を探していた。英戦闘機で撃墜されたため、艦攻の数が少ないのはやむを得ない。
上空で様子を見ていた村田中佐は、敵戦闘機がいないことを確認して攻撃を再開させた。この間に特定の艦に攻撃が集中しないように、無線で指示して攻撃隊を割り振った。
一方、日本軍の攻撃の間に、英艦隊の軽巡洋艦ダナエとドラゴンがそれぞれ2隻の駆逐艦を率いて、戦艦群をはさむように南と北に進み出てきた。頃合いを見計らって、6隻が全力で煙幕を展開し始める。風向きを見ながら戦艦が隠れるように戦艦との間の位置を調整することにより、縦列となった戦艦を煙幕が覆い始めた。結果的にこれが今回の戦いで英海軍が行った最も効果的な防衛手段となった。
村田中佐の指示により、残ったレゾリューション、ラミリーズ、ロイヤル・ソブリンの3隻に対して、彗星も3隊に分かれて攻撃を行った。それぞれの攻撃機は無傷の英戦艦から高射砲と40mm機関砲の射撃を受けた。しかも煙幕が照準を邪魔した。1艦当たり5機が攻撃して、レゾリューションとロイヤル・ソブリンそれぞれ1発を命中させた。レゾリューションは機関にも被害が出て速度が落ち始める。97式艦攻は、海面上の煙幕が攻撃の邪魔になったこともあって、1艦当たり4機がそれぞれ回頭する3隻に戦艦に向けて雷撃を行った。結果的に、レゾリューションに1本、ラミリーズに1本が命中しただけだった。
第四次攻撃隊も第三次と同じく、英艦隊に向けて飛行している途中で6機のスピットファイアの攻撃を受けていた。しかし、12機の護衛の零戦が数にものを言わせて、英戦闘機を全て排除した。
第四次攻撃隊が戦艦の上空に到達した時、既にリヴェンジは海上になく、ウォースパイトは上甲板までが海水に浸かって沈みつつあった。レゾリューションは爆弾と魚雷の命中により10ノット以下に速度が落ちていたが、ラミリーズとロイヤル・ソブリンはまだ15ノット程度の速度で航行していた。太陽が傾いた空は既に暗くなりつつあった。煙幕に加えて、夕暮れという条件の悪い中で、第四次攻撃隊はこの2隻の戦艦の被害が小さいと判断して、攻撃対象とした。
続けて12機の急降下爆撃隊と6機の雷撃隊が2隊に分かれて同時攻撃を実施する。ラミリーズには99式艦爆が投下した1発の50番爆弾が命中して、機関部に被害を与えた。すぐに速度が落ちてゆく。ロイヤル・ソブリンには1発の50番4号爆弾がB砲塔に命中して天蓋を破って砲塔を破壊した。誘爆を恐れた前部弾薬庫への注水により、A砲塔も使用不能になってしまう。
雷撃隊には海面に広がった煙幕が障害になった。しかも海面上は高度が下がるほど急速に暗くなっていった。ラミリーズとロイヤル・ソブリンそれぞれに3機が雷撃をしたが、全て回避されてしまった。
第四次攻撃隊が去ってゆくとサマヴィル中将は旗艦をラミリーズに移して、沈没艦から脱出した乗員の救助をするとともに部隊の再編を行った。爆弾と魚雷で被害を受けた戦艦の応急修理も進める。2時間後には3隻の戦艦が縦列となって、10ノットで西方に進みだした。戦艦の前方には、お手柄の2隻の軽巡洋艦が航行する。8隻の駆逐艦が2隊に分かれて縦列の左右を航行していた。
指揮官の嶋崎中佐は、攻撃隊の帰路で戦艦3隻が西方にまだ航行中であることを報告していた。これからの作戦に影響する重要な情報だ。
報告が終わると、機内でため息をついた。
「日暮れに煙幕を張るとは、今回は条件が悪かったな。それに1日で2度の長距離攻撃でみんな疲れていたのだ」
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