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落ち穂拾い的な パンツください
しおりを挟む「その国だけの剣聖ならばそうだろう。だが他国の認める剣聖は外交手段にも脅威にもなりえる存在だ。先々代巫女様が各国を視察に回ることができたのも、母の存在が大きい。ただの強さの誇示だけでは資格は与えられるものではないからな」
「それは 」
「剣聖は引く手数多だ、他の大国が喉から欲しがるような存在を、決してないがしろにはしない」
「そう言う……ものなのでしょうか?」
「母はその気になればどこにでも行ける、あの人を力ずくで止められる力は我が国にはないからな」
それでもロニフがこの国にいるのは、ここにはロニフに名を与えた先代王がいて、姐と呼んで慕うミロクがいて、何より自分の子供がいるからだろう、そう思って小さく微笑んだ。
ロニフが双子と遊ぶのが好きなことをオレは知っていた。
金や待遇や爵位、名誉がロニフを縛りつけているのではないことはわかる。
「そんなことはないですよ、クラド様が本気になれば 」
オレの言葉にペタンと黒耳が寝て、しっぽが逃げ惑うようにして股の間に入ってしまう。
「あの人は規格外だ……」
そう言うとまたぐずる子供のように腰にしがみついて呻き始める。
「それに、双子が可愛い盛りじゃないか……なんでこんな時期に行かなくてはならないんだ……」
自分そっくりの黒い三角耳をピコピコとさせながら、同じタイミングで尾を振る姿にクラドはメロメロだった。
ヒロと3人を抱っこして嬉し気にしている姿は、顔つきが怖すぎて新兵が早々に辞めていくって言われていた姿からは想像ができないほどだ。
「もう規格外の剣聖がいるのに剣聖資格取りに来ましたって、取れなかったらただの恥だろ」
「クラド様なら認められますよ」
ロニフに光が当たりすぎているだけで、実際に剣の腕ではこの国随一なのは確かだった。
剣を握ることのない奴から保証されたところで……と思うのだけれど、それだけは言っておきたい。
「絶対に」
転がったことでむき出しになった額にちゅっとキスをしてみる。
普段自分からあまりしないから恥ずかしくて、すぐに顔を逸らしてしまったけれどこれで少しは浮上してくれたらいいなと思う。
「はるひ」
「はい」
「やっぱりパンツをくれないか。3日位履いたものが好ましい」
真剣な表情で言われて、オレはやっぱりズボンを押さえながら身を引くしかできなかった。
◆ ◆ ◆
はるひの腕力は俺よりも弱かったはずなのに、ズボンを引きずり降ろそうとする俺を阻止する力は強力だった。
これ以上力を込めると服が駄目になってしまうかもしれない と思うと、これ以上力を込めることは難しそうだ。
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