298 / 303
落ち穂拾い的な 他国の王の決め方
しおりを挟む※日本語の会話です
珍しく当代巫女のかすがとはるひ、そして先々代巫女のミロクこと清十郎がのんびりと茶を飲む機会があった。
「しっかし、あのバ神が王様選ぶって、いいのかね? 国滅ぶんじゃって思うけどな」
「選んでるわけではなく、銀髪を持った者が王になるらしいですよ」
「じゃあ年取れば俺もなれるってか?」
「清十郎がなったらやばいでしょ」
「おいこら! どう言う意味だ! あぁ⁉︎」
ミロクにすごまれて、かすがは平気だがはるひは怯えたように身を竦めてしまった。
「まーだから、この国は平和だよな?」
「まぁ、そうだよね」
銀髪で生まれた者を問答無用で王にする。
何ともざっくりとして思い切りの良すぎる選択だ。
「まぁ向こうでもそう言う話も無きにしも非ずだったからね。王権神授説だったかなぁ、清十郎さん知ってる?」
「へぇ……俺が知ってるわけねぇだろ。あ、でもこっちならではの選出方法があったな」
清十郎は王と共に他国に視察旅行にも行ったことがあるだけに、こう言った会話では面白い話を聞かせてくれる。
「なに?」
「巫女と王が6人で乱交」
さっとかすがの手がはるひの耳を押さえたために、はるひはきょとんとしたままだ。
「にーに? 聞こえないよ?」
「聞かなくていいよ」
「その結果生まれた子供の父親が王になるんだと! すごくねぇか?」
「え……でも父親なんてわかるの? 遺伝子検査?」
「あほ言え、一番はっきりしてるのがあるんだろうよ」
そう言って清十郎は耳を指し示す。
「ライオン、狼、馬、イルカ、熊、だったかな。だから誰の子供か一目瞭然」
「う、うわぁ……」
「ところ変われば だな」
「そう言えば、巫女の呼び方も国で違うって聞いたんですけど」
「推し、姫、アイドル、てっぺん、とか? お姉さまってのも聞いたことあるぞ、あとご主人様な」
「んんん?」
なんだか馴染みがある言葉にかすがは唸る。
「神子って呼ぶところもあるしな。まぁ呼び方はなんだっていいんだけど、中身は結局拉致された被害者ってだけの話だ」
そう言うと清十郎は少しだけ苦そうな顔をする。
帰りたい? なんて問いかけはもう擦り切れるほど聞いたし尋ねた。けれどどれだけ言い募ろうとしてもこの世界から元の世界に帰る手立てなどなく……
神の気まぐれで摘まみ上げられてこちらに連れ去られた身としては、「バ神」に「クソ神」で十分だと、清十郎とかすがの意見は一致していた。
故にコリン=ボサを呼ぶ時はその名前で呼ぶが、そのことに関して神が怒りを見せたことは一度もなかった。
END.
3
お気に入りに追加
491
あなたにおすすめの小説
馬鹿犬は高嶺の花を諦めない
phyr
BL
死にかけで放り出されていたところを拾ってくれたのが、俺の師匠。今まで出会ったどんな人間よりも強くて格好良くて、綺麗で優しい人だ。だからどんなに犬扱いされても、例え師匠にその気がなくても、絶対に俺がこの人を手に入れる。
家も名前もなかった弟子が、血筋も名声も一級品の師匠に焦がれて求めて、手に入れるお話。
※このお話はムーンライトノベルズ様にも掲載しています。
第9回BL小説大賞にもエントリー済み。

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる
ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。
アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。
異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。
【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。
αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。
負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。
「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。
庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。
※Rシーンには♡マークをつけます。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

転生したらオメガだったんだけど!?
灰路 ゆうひ
BL
異世界転生って、ちょっとあこがれるよね~、なんて思ってたら、俺、転生しちゃったみたい。
しかも、小学校のころの自分に若返っただけかな~って思ってたら、オメガやベータやアルファっていう性別がある世界に転生したらしく、しかも俺は、オメガっていう希少種の性別に生まれたみたいで、は?俺がママになれるってどういうこと?しかも、親友の雅孝をはじめ、俺を見る目がなんだか妙な感じなんですけど。どうなってるの?
※本作はオメガバースの設定をお借りして制作しております。一部独自の解釈やアレンジが入ってしまう可能性があります。ご自衛下さいませ。

オメガ転生。
桜
BL
残業三昧でヘトヘトになりながらの帰宅途中。乗り合わせたバスがまさかのトンネル内の火災事故に遭ってしまう。
そして…………
気がつけば、男児の姿に…
双子の妹は、まさかの悪役令嬢?それって一家破滅フラグだよね!
破滅回避の奮闘劇の幕開けだ!!
逃げる銀狐に追う白竜~いいなずけ竜のアレがあんなに大きいなんて聞いてません!~
結城星乃
BL
【執着年下攻め🐲×逃げる年上受け🦊】
愚者の森に住む銀狐の一族には、ある掟がある。
──群れの長となる者は必ず真竜を娶って子を成し、真竜の加護を得ること──
長となる証である紋様を持って生まれてきた皓(こう)は、成竜となった番(つがい)の真竜と、婚儀の相談の為に顔合わせをすることになった。
番の真竜とは、幼竜の時に幾度か会っている。丸い目が綺羅綺羅していて、とても愛らしい白竜だった。この子が将来自分のお嫁さんになるんだと、胸が高鳴ったことを思い出す。
どんな美人になっているんだろう。
だが相談の場に現れたのは、冷たい灰銀の目した、自分よりも体格の良い雄竜で……。
──あ、これ、俺が……抱かれる方だ。
──あんな体格いいやつのあれ、挿入したら絶対壊れる!
──ごめんみんな、俺逃げる!
逃げる銀狐の行く末は……。
そして逃げる銀狐に竜は……。
白竜×銀狐の和風系異世界ファンタジー。

からかわれていると思ってたら本気だった?!
雨宮里玖
BL
御曹司カリスマ冷静沈着クール美形高校生×貧乏で平凡な高校生
《あらすじ》
ヒカルに告白をされ、まさか俺なんかを好きになるはずないだろと疑いながらも付き合うことにした。
ある日、「あいつ間に受けてやんの」「身の程知らずだな」とヒカルが友人と話しているところを聞いてしまい、やっぱりからかわれていただけだったと知り、ショックを受ける弦。騙された怒りをヒカルにぶつけて、ヒカルに別れを告げる——。
葛葉ヒカル(18)高校三年生。財閥次男。完璧。カリスマ。
弦(18)高校三年生。父子家庭。貧乏。
葛葉一真(20)財閥長男。爽やかイケメン。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる