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落ち穂拾い的な 幼い王太子の初恋

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 かくして、五大王国から剣聖と認められた剣士が誕生したが、その配属先はミロクの護衛騎士だった。
 それは俺だけでなく、国中の人間がその采配に「????」となっただろう。

 今までに誕生したことのない、最高峰の剣聖がまれたと言うのにその剣士を内宮にしかいない巫女の護衛につけたのだから……

 その剣聖を軍に遣わせばそれだけで士気が上がる。
 
 歴史的快挙を行ってみせた剣聖を……父はミロク同様外には出さなかった。
 それが例え貴族の嫌味の対象になろうとも、教会にちょっかいを出されようとも、軍から抗議が届こうとも父はロニフを手放そうとしない。

 まことしやかに侍女達の間に流れるのは、父とロニフの道ならぬ関係だ。
 とは言え父にはこの道ならぬ関係相手が掃いて捨てるほどいたために、噂が流れたと言えすぐに消えていくようなくらいの噂だった。

 父とミロク、そしてミロクの後ろに控えるロニフは遠目に見えても、初めて見た時から何の衰えもない美しい姿だ。
 自分のように丸い耳ではなく、細くてグネグネした尾でもない、ピンと立った黒い両耳と長い黒髪、それから漆黒の夜空の瞳、俺と違うふさふさとして暖かそうな尾。

 俺は、きっと自分にないものを持つその容姿にどうしても惹かれてしまったのだろう。

 俺がロニフの周りにいるのを父は咎めず(興味がなかったためだろう)ミロクは放任ながらも邪魔するなよと注意をしてくる。けれど肝心のロニフは俺を邪険にすることもなければ、俺の問いかけや剣の練習に付き合ってくれて……

 憧れの人に惹かれていると言う気持ちが、恋心なのでは と思い立った時には、俺は立派なロニフのストーカーだった。

 朝目覚めて身だしなみを整え、宿舎から出てきて食事をとり、15分後には食べ終えて庭を散策、そして演武場に行って汗を流すと昼食を30分で食べ終えて食堂の茶を水筒に詰めてもらってから騎士団の練習に合流、その後騎士団全員と手合わせした後、シャワーを浴びて身だしなみを整えるとおやつの時間からはミロクの傍にべったりつく。
 ミロクの警護は深夜の交代するその時まで続き、後は宿舎の風呂で汗を流して部屋に戻る。

 そこで寝るわけではなくて、宿舎に戻ったら座学の勉強をして……

 明け方ごろにうとうととまどろむようにして睡眠をとり、そして朝目覚めて身だしなみを整える。
 異常に睡眠時間が短い以外は判を押したかのように決まりきった時間の使い方で、長く観察していても例外はなかった。

 けれど、ある日、ロニフは実家からの荷物を受け取っていた。


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