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落ち穂拾い的な 三人の関係は

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 戦闘スタイルが云々と言おうとしていたようだったが、それを言うと火に油は目に見えているからか兄は呻き声のようなものを出してごまかせないか試しているようだった。

「前回のゴトゥス山脈の遠征から帰ってきた時にも言いましたよね?」
「あー……」
「言いましたね⁉︎」
「……はい」
「貴方は国王で、王族の義務をまだ果たしていない存在だって!」

 しら~ とこちらに視線をやる兄は、「クラドのところにヒロが産まれたし」「父上がまだ現役で頑張ってるからいいだろ」と心の声を伝えてくる。
 かすがと婚姻を結んで十二年、かすがか瘴気や魔物を倒すまでは と宣言をしているからか二人に子はなく、長子をかすがが産むまでは側室も娶らないと言っている兄に子供は存在しない。これは王族として義務付けられる職務を放棄しているも同然で……

 夫婦のことに他人が口を出すものではないとわかってはいるが、仲睦まじそうに思える二人の間に何かあるのかと思うと心配にはなってくる。
 
「それを言うならエルだって  」
「私はラキウス家の者です」

 ぴしゃんと言われてしまっては兄もそれ以上何も言えないのかふてくされたように口をひん曲げてしまって……

「エル……その、もうこんなことは起こらない か  、から、だいじょう……」
「起こってもらっては困ります!」

 再びどん と音が響いて……耐え切れなかった装飾の一部がぽろりと落ちるのを見て俺は項垂れた。

 ただ、エルの心配ももっともだ。

 魔物も瘴気も塵に還って後には残らない、それは魔人も同じで魔物よりも時間はかかるが倒された魔人は時間をかけて塵になる、ただそれは死体の確認ができないと言うことと同じことでもあって……ミロクの雷に打たれて四散した魔人のかけらのすべてを、俺達は確認できてはいなかった。
 何せ端から端から塵になって行くのだ、足りないパーツがあるのか、以前のように逃げおおせた部分があるのか、ゴトゥス山脈での捜索は行われはしたがはっきりと倒したと言い切ることはできない。

 ……ましてや、エステスの行方が分からない状況では……

 いや、わからないと言うのは正しくはなかった。
 あの時魔人に駆け寄ったエステスはそのままミロクの雷で共に……

「お二人には反省の意味も込めて溜めた書類仕事をやってもらいますからね、私は手伝いませんから」
「「は⁉︎」」

 いつもは俺達に回す書類仕事を極力減らすためにエルが事前に目を通して処理をしてくれていて……思わず兄と目を合わせると、向こうもげんなりとした表情をしている。

「原因はクラドだからこいつに全部やらせてくれ」

 速攻で俺を売り渡した兄は機嫌がよさそうに長いしっぽを振っていた。





END.
 

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