210 / 303
おまけ 86
しおりを挟む「ちが う、んです。オレ、クラド様のことを何も知らないって思って……」
「……? そんなことはないだろう?」
小さな子供がむずがるように首を振るはるひは怯えのような顔をくしゃくしゃにして泣いている。
また、俺の無神経なところがはるひを泣かせてしまったんだろうか? 実際に母よりは兄、兄よりは断然はるひの方が俺のことを知ってくれていると思うのだが……
そのことで今問いかけてしまうとはるひを追い詰めてしまいそうな気がして、仕方なくあやすことを最優先として小さな背中をそっと撫でた。
ほんの小さな事柄がすれ違いに発展していくのはよくわかっていて、小さなうちにそれは潰しておかなくてはならないことだけれど、泣いているはるひを前にそれを探るのは落ち着いてからでいいだろうと思わせる。
「 っ っ、クラド様、奥まで……来てください」
「⁉︎ 何⁉︎」
思わず大きな声を出したら腹に力が入ってしまったらしい、はるひが小さく嬌声を零して睨みつけてきた。
「お願いです、体いっぱい、もっといっぱい、クラド様でオレの中を満たしたいんです」
「いや……それは……」
亀頭球は性器が抜けないようにする役目を持つ、その使い方は多量の射精とその射精したものを中に押し込めておくためのもので……
つまりは、妊娠させる為の機能だ。
「そ、その、 」
俺とはるひはもう国王にも認められた夫婦で、子供までいるのだから何も恥ずかしがる必要はない。
けれどそんなことをすればはるひを再び孕ませてしまう と言う事柄をどう説明すればいいのだろうか?
ヒロはまだ幼いが乳母を雇えばいいだけで、それに幸い二人目を養うのを戸惑うほどの収入ではない。小さな子供が屋敷のあちこちを駆け回っているのを考えると、そわそわとしてしまうくらいには子供は好きだ。
今度は一からはるひの妊娠に付き合えるのだと思うと、自分が何を恐れてはるひの体にすべてを埋め込まなかったのかわからなくなった。
「そうすると、二人目ができるかもしれない」
「 ────っ」
はっと顔を上げたはるひが心を決めた表情を作るまでは一瞬だ。
食らいつきたくなるような白い喉を反らせて、はるひはそれ以外に答えがないと言いたげに満面の笑みで答えてくれた。
そろりと腰を推し進めた時、さすがにはるひの体から緊張が伝わってきた。
両手で持ったら指先が当たってしまうほど細い腰を引き寄せ、勃起したものをはるひの奥を目指して突き入れる。本来ならこの性器の根本の瘤が大きくなる前に挿入していしまうものなのだが、散々腹の上ではるひが身をくねらせたせいかわずかだけれどすでに性器は変形が始まってしまっている。
支えるために手で触れると、まだ固くはなっていないようだったので慎重にそれをはるひの中に沈めていく。
4
お気に入りに追加
491
あなたにおすすめの小説
馬鹿犬は高嶺の花を諦めない
phyr
BL
死にかけで放り出されていたところを拾ってくれたのが、俺の師匠。今まで出会ったどんな人間よりも強くて格好良くて、綺麗で優しい人だ。だからどんなに犬扱いされても、例え師匠にその気がなくても、絶対に俺がこの人を手に入れる。
家も名前もなかった弟子が、血筋も名声も一級品の師匠に焦がれて求めて、手に入れるお話。
※このお話はムーンライトノベルズ様にも掲載しています。
第9回BL小説大賞にもエントリー済み。

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる
ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。
アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。
異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。
【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。
αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。
負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。
「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。
庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。
※Rシーンには♡マークをつけます。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

転生したらオメガだったんだけど!?
灰路 ゆうひ
BL
異世界転生って、ちょっとあこがれるよね~、なんて思ってたら、俺、転生しちゃったみたい。
しかも、小学校のころの自分に若返っただけかな~って思ってたら、オメガやベータやアルファっていう性別がある世界に転生したらしく、しかも俺は、オメガっていう希少種の性別に生まれたみたいで、は?俺がママになれるってどういうこと?しかも、親友の雅孝をはじめ、俺を見る目がなんだか妙な感じなんですけど。どうなってるの?
※本作はオメガバースの設定をお借りして制作しております。一部独自の解釈やアレンジが入ってしまう可能性があります。ご自衛下さいませ。

オメガ転生。
桜
BL
残業三昧でヘトヘトになりながらの帰宅途中。乗り合わせたバスがまさかのトンネル内の火災事故に遭ってしまう。
そして…………
気がつけば、男児の姿に…
双子の妹は、まさかの悪役令嬢?それって一家破滅フラグだよね!
破滅回避の奮闘劇の幕開けだ!!
逃げる銀狐に追う白竜~いいなずけ竜のアレがあんなに大きいなんて聞いてません!~
結城星乃
BL
【執着年下攻め🐲×逃げる年上受け🦊】
愚者の森に住む銀狐の一族には、ある掟がある。
──群れの長となる者は必ず真竜を娶って子を成し、真竜の加護を得ること──
長となる証である紋様を持って生まれてきた皓(こう)は、成竜となった番(つがい)の真竜と、婚儀の相談の為に顔合わせをすることになった。
番の真竜とは、幼竜の時に幾度か会っている。丸い目が綺羅綺羅していて、とても愛らしい白竜だった。この子が将来自分のお嫁さんになるんだと、胸が高鳴ったことを思い出す。
どんな美人になっているんだろう。
だが相談の場に現れたのは、冷たい灰銀の目した、自分よりも体格の良い雄竜で……。
──あ、これ、俺が……抱かれる方だ。
──あんな体格いいやつのあれ、挿入したら絶対壊れる!
──ごめんみんな、俺逃げる!
逃げる銀狐の行く末は……。
そして逃げる銀狐に竜は……。
白竜×銀狐の和風系異世界ファンタジー。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる