OMEGA-TUKATARU

Kokonuca.

文字の大きさ
上 下
756 / 801
雪虫 2

18

しおりを挟む



 ちょっと羨ましいなって思いもするけど、お陰で寂しい思いをさせないで済んでいるから、セキには感謝してもしきれない。
 いつかなんかでお礼を って思うんだけど、やりすぎたら大神が睨んでくるだろうし、難しい所だ。

 あんなに独占欲むき出しにするんだったら素直に番になってやりゃいいのに って、そっか。

「おっさんはベータなんだっけ」
「なんだ」
「 っ!」

 独り言に返事が返るなんて思わなくて、思わず飛び上がったオレをひやりとした切れ長な目が見下ろす。

 硬質で、冷ややかで、ナイフのようだ。

「ななな なんでもないっ」

 慌てて首を振ると、不機嫌そうに眉を歪ませてこちらを睨みつけてくる。

 それだけで股がひゅっと縮み上がりそうになるんだから、寿命に優しくない。

「大神さんが帰られるから、君も一緒にどうかって」
「えっあ、  」

 オレの護身術と言うか、運動を見てくれている水谷から体力作りのために、ここからアパートまで走って帰るようにって言われてるんだけど、ちょっと聞きたいこともあったから素直にコクリと頷いた。



「いつもは嫌がる癖に、どう言った風の吹き回しだ?」

 本当なら、出来るなら、いや、本音を言うなら大神と至近距離で密室とか嫌なんだけど、どうしても聞いておきたいことがあった。

「や あの、ちょっと聞きたいことがあって」
「なんだ」

 聞き返してはくれるけれど、その目は新しい煙草を見ているし、気もそちらに行っているようで真剣に聞いているようには思えない。

 ちょっと、聞く相手を間違えたかなって思ったけど、周りにはこの人以外に聞けそうな人がいないから……

「セ セキ と、その、する 時、気を付けてることって何?」

 他人の布団の中事情をアレやコレや詮索するのは罪悪感が半端ないけれど、どうしても聞きたかった。
 大神はそんなことを聞かれるとは思っていなかったのか、咥えかけた煙草を下ろして怪訝な表情だ。

「デバガメ的な話じゃなくて、そっちの体格差ってオレと雪虫の比じゃないだろ?」

 雪虫は小さくて可愛いけど、オレ自身がそこまで大きくない。

 だからって、雪虫からしてみたらオレが大きいことには変わらないし、どこもかしこも柔らかい雪虫をどう扱えばいいのか……

「大したことはしてない」

 そう言うと煙草を吸い始めるから、思わず顔をしかめたくなるような馴染まないきつい香りが鼻先を横切る。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

営業活動

むちむちボディ
BL
取引先の社長と秘密の関係になる話です。

組長と俺の話

性癖詰め込みおばけ
BL
その名の通り、組長と主人公の話 え、主人公のキャラ変が激しい?誤字がある? ( ᵒ̴̶̷᷄꒳ᵒ̴̶̷᷅ )それはホントにごめんなさい 1日1話かけたらいいな〜(他人事) 面白かったら、是非コメントをお願いします!

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

処理中です...