OMEGA-TUKATARU

Kokonuca.

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雪虫 2

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「ってことで、別に君達は付きっきりじゃなくてもいいんだよ?君達にラットを起こされても困るし」

 確かに、大神が暴走した場合は止められる気がしない。
 その時は雪虫を連れて一番に逃げるけどさ。

 外に気晴らしに出る ってこともできるけど、

「  離れるの嫌だ」

 またお子様と揶揄われるんだろうかと覚悟したが、瀬能はいい笑顔で頷いているだけだった。

「好きな人とは離れたくないよねぇ」

 しみじみと言って腕時計を見下ろす。

「うん、そろそろ休憩しようか。上にも言ってくるよ」

 直江に呼ばれて全員の飲み物を用意しに台所へ行くと、すぐ手の届く所にα用の緊急抑制剤が置いてあるのが見えた。

「大丈夫なんですか?」
「あー……念のためだよ。すぐ使える所にと思って」

 ヤカンを火にかけて、長い溜め息を吐いてこちらに振り返る。

「俺みたいなのはベータなのにフェロモンにでも当てられ易いみたいでね」
「直江さんはだいぶ、アルファ寄りだよね」
「そう。簡易検査だとアルファって出るくらいだから、厄介だよね」

 やれやれと長い溜め息を吐く。

 これはもう直江の癖なんだろうなと思うけれど、大神に振り回されているのを傍で見ていると、溜め息が癖になるのもよくわかる。

「でもベータだから運命の相手はいないんだよ」
「ってことは、自分で運命を掴み取れるってことだ」

 いつも変化に乏しい表情の直江がきょとんとして、それからぷっと吹き出した。

「前向きだな」
「選択肢が多いのはいいことだと思うけど?」

 まぁオレは、雪虫以外に選択肢なんていらないけど。

「瀬能先生に言動が似てきたね」

 今度はオレが吹き出した。

「それはちょっと  」

 勘弁して欲しい。

 悪い人ではないと思うけれど、胡散臭くて変な人だ。似てきたと言われて素直に喜べる気はしなかった。




 同じ部屋で自慰を延々とされて参ってたのだと、休憩の片付けの最中にセキがポツリと漏らしてきた。
 
「あの……前のことがあるから聞くんだけど……ああ言うのって、皆するのかな?」

 前のこと と言われて思い出したのは、寝起きに勃ってどうしようもない時にオナニーしたらばっちり見られてたってアレか!
 思い出したくもないことを思い出させるなよ と呻きたくなるけど、セキはオレが思っているよりも真剣だ。

「そうだなぁ」

 皆するかしないかで言えば、男なら自慰くらいやってると思う。オレがソレを覚えた時も、周りからの「やったか」の話がきっかけだった。



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