OMEGA-TUKATARU

Kokonuca.

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お可愛いΩ お可哀想なα

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「でも……」

 でも?

 今のオレに、シュン達をフォローできるだけの気力はなくて、言葉はそこで止まってしまった。
 しょんぼりと肩を落としたままのオレに、さすがの二人もちょっと焦り出したようで、オレの背中を押していた銀花と何やらアイコンタクトを繰り返している。

 多分、慰め役を押し付け合ってるんだっ!

「……そ んなに、アルファとかってことが大事なのかな?」

 Ωっぽいから仲良くもしてもらえなかったり、Ωっぽくないから遠巻きに見られたり……

 結局、オレはどちらに行ってもボッチだ。

 そんなにαやΩってことが大事なのかな?
 αだから仲良くなれない とか、Ωだから遠ざける とか、それがそんなに大事なの?

「……そう言うのがなかったら、シュン達とも普通に友達になれてたはずなんだ」

 オレは、出来ればいろんな人と仲良くしていたい方だ。

 八方美人とかいい顔して……って、言われちゃったとしても、それでも皆で仲良くしていたい。
 争ったり、傷つけあったりするのは嫌だ。

 そりゃ……ケンカとか、ちょっとむっとしたりとかはあるだろうけど、偽善とか言われてもいいから、オレは下心とかそう言うの抜きで皆と一緒に居たいよ。

「それは、りっかがバース性に振り回されないから言えるんだよ」

 オレの背中で、ちょっと悲しそうに銀花が呟く。

「皆、運命以外に噛まれたり、噛んじゃったりしたくないって、好きな人がいるのに運命に会いたくないって、ふいの発情で傷つきたくないし、傷つけたくない。そう思っててもフェロモンはそう言う気持ちを全部飛び越えてぼく達を追いかけてくる」

 トントンと背中を叩いてから、銀花は離れて行った。
 そうするとさっきまで感じていた温もりが消えてしまって、背中がひやりとして心細くなる。

「りっかがそれをわからないのはいいことだって思うし、こんな怖いこと知らないで良かったって思うけど、でも同じくらいそのことに鈍感なりっかに腹が立つよ?」
「え……」
「ぼく達は運命だけど、フェロモンレイプもあればたまたまの事故で他の人に噛まれちゃうこともあるんだし。そう言った怖い部分をりっかは全然知らないでしょ?」
「…………」

 確かに、全然フェロモンを感じ取れないオレからしてみたら、匂いに惹かれて襲いかかるとか、欲しくて欲しくて犯罪に手を出すこととかは、理解できない……

 我を忘れて求める なんて……

「…………ごめん、良くわからないのに 生意気言った」

 肩を落とすと、また背中に銀花の掌の熱が添えられる。


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