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お可愛いΩ お可哀想なα
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しおりを挟むオレはともかく、銀花は大ダメージだったらしくて離された途端床にぺちゃんって倒れてしまった。
「銀花⁉︎」
「あ……ああ、悪い、やりすぎた……」
そう言うお父さんは慌てて銀花を助け起こして……うん、なんだか、ケンカ前の雰囲気に近い。
「仲直りしたんだな?良かった……本当に……」
「仲直り って言っても、原因はお父さんとぼくの勘違いだもん。りっか悪くないよ」
原因 と言われて思うところがあったのか、うっと言葉を詰まらせてお父さんは思い悩む顔をした。
何か、オレ達に言わなきゃいけないことがある って感じのその表情に、オレも銀花も背筋をピッと伸ばして正座する。
「この間は頭ごなしに怒って悪かった。順を追って話さなければいけないことを話すべきだった。ただ……六華のことを聞いて帰ってきたら、その、 に、匂いが、な?」
もごもごと恥ずかしそうに言う意味が分からず、キョトンとして銀花を見ると珍しく「あーっ」って声を上げた後みるみる顔を赤くして突っ伏してしまった。
おはぎのように丸くなった銀花をつついてみるも、「やっ」って言って体を揺すったっきり顔を上げようとはしない。
どうしたんだろ?
匂い……って、フェロモン?
とは思うも良くわからないままこてんと首を傾げてお父さんを見ると、こちらにも目を逸らされてしまった。
「なんで二人だけでわかりあってるのさ!」
ちょっと除け者にされた気がして面白くないよ?
「……お父さんな?ちょっと鼻がいい方だろ?」
「うん」
「フェロモンが濃くついた場所って言うのがわかっちゃってだな……」
うん?
「種類もわかっちゃってだな」
お父さんはこれ以上言葉を選びようがないぞ とでも言いたげに汗をかき始める。
オレが頭悪いのか鈍感なのか知らないけどさ、はっきり言ってくれないとわからないものはわからないしって思って、頬をぷうっと膨らます。
パンパンに膨らんだオレのほっぺたを見て困ったお父さんが、銀花をつついて「言っていいか?」って許可を取る。
「~~~~っやだぁ!こうやって改めて言われるとか、もう拷問だよ!」
え?そんな大げさな話なの⁉って慌てて銀花を引き起こそうとにじり寄った時、膝がにゅるんってした。
「ふぇ⁉」
そのまま膝がつるりと滑って行くから、慌てて傍の銀花にしがみつく。
お父さんが床に落とした買い物袋の中から、黄色い液体とどろっとした液体が流れ出していて……
「お父さん!卵!卵あるのに落としちゃダメだって!」
「あっそうだ!卵……っわぁ……」
袋の中の惨状を見てガクリと肩を落とす。
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