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お可愛いΩ お可哀想なα
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しおりを挟む昔、オレが攫われそうになって、オレ自身よりも銀花の方がショックを受けて寝込んでしまったことを思い出して、小さく笑いが漏れた。
「大丈夫!……今日、のは……」
「なに?」
「オレ……おばけに会った……」
そう言うと銀花がきょとんとして、驚きすぎたのか涙が引っ込んだようだった。
確かに!いきなりおばけに会ったって言われたらそんな反応になるかもしれないけどっでもっおばけにコーヒーを奢られたって、メチャクチャ怖いと思う!
正直、オレ一体何を飲んだんだ⁉︎ってなってる!
「また?」
銀花の返事は思ってもいなかったもので、今度はオレの怖かった記憶が引っ込みそうになった。
「びっくりしたー!何かと思ったら!」
「いやっだってっ怖いよ⁉︎」
「ああ、うん、銀花苦手だよね、本物は」
「本物ー⁉︎」
なんの話をされているのかわからなくて、思わず立ち上がったオレに銀花はキョトンとした顔をする。
「確かにお化け屋敷とかは平気だけどさ、……ほ、本物になんか……」
そんな怖い記憶ない!
「ゆゆゆゆ、幽霊なんて、そんなの 」
おじいちゃん先生に泣きついたらきっと科学的になんか理由をこじつけて、そんなのいないよって言ってくれそうな気がするし。
「本物って見分けつかないよね」
「マジでやめて、ホントやめて」
ぶる っと体が震え出したから、慌てて熱々のホットミルクを啜ってみるけど……
銀花がおっとりしててちょっと不思議ちゃん入ってるのかなって思う時もあったけど、こんなところで痛感させないで欲しい!
「でもさ、不思議って言ったら僕らの方が不思議だよ?」
ね?って言って銀花は両手をパーの形にして差し出してくるから、オレは黙ってそれに自分の手を重ね合わせた。
「一卵性でアルファとオメガに分かれるなんて、ホントに確率低いんだって」
「うん、鷲見兄弟は二人ともアルファだもんね」
キラキラ度の高い同じ学年の双子を思い出す。
「 それから、これも」
こつん と手をそのままに額を合わせて、ゆっくりゆっくり呼吸を整えていく。
最近は銀花は仁達とべったりだったからすることはなかったんだけど、こうやってゆっくりゆっくり呼吸がそろって行くにつれて、二人の境界線が曖昧になって行くような、そんな不思議な感覚がする。
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