OMEGA-TUKATARU

Kokonuca.

文字の大きさ
上 下
589 / 801
お可愛いΩ お可哀想なα

37

しおりを挟む



 昔、オレが攫われそうになって、オレ自身よりも銀花の方がショックを受けて寝込んでしまったことを思い出して、小さく笑いが漏れた。

「大丈夫!……今日、のは……」
「なに?」
「オレ……おばけに会った……」

 そう言うと銀花がきょとんとして、驚きすぎたのか涙が引っ込んだようだった。
 確かに!いきなりおばけに会ったって言われたらそんな反応になるかもしれないけどっでもっおばけにコーヒーを奢られたって、メチャクチャ怖いと思う!

 正直、オレ一体何を飲んだんだ⁉︎ってなってる!

「また?」

 銀花の返事は思ってもいなかったもので、今度はオレの怖かった記憶が引っ込みそうになった。

「びっくりしたー!何かと思ったら!」
「いやっだってっ怖いよ⁉︎」
「ああ、うん、銀花苦手だよね、本物は」
「本物ー⁉︎」

 なんの話をされているのかわからなくて、思わず立ち上がったオレに銀花はキョトンとした顔をする。

「確かにお化け屋敷とかは平気だけどさ、……ほ、本物になんか……」

 そんな怖い記憶ない!

「ゆゆゆゆ、幽霊なんて、そんなの   」

 おじいちゃん先生に泣きついたらきっと科学的になんか理由をこじつけて、そんなのいないよって言ってくれそうな気がするし。

「本物って見分けつかないよね」
「マジでやめて、ホントやめて」

 ぶる っと体が震え出したから、慌てて熱々のホットミルクを啜ってみるけど……

 銀花がおっとりしててちょっと不思議ちゃん入ってるのかなって思う時もあったけど、こんなところで痛感させないで欲しい!

「でもさ、不思議って言ったら僕らの方が不思議だよ?」

 ね?って言って銀花は両手をパーの形にして差し出してくるから、オレは黙ってそれに自分の手を重ね合わせた。

「一卵性でアルファとオメガに分かれるなんて、ホントに確率低いんだって」
「うん、鷲見兄弟は二人ともアルファだもんね」

 キラキラ度の高い同じ学年の双子を思い出す。

「  それから、これも」

 こつん と手をそのままに額を合わせて、ゆっくりゆっくり呼吸を整えていく。
 最近は銀花は仁達とべったりだったからすることはなかったんだけど、こうやってゆっくりゆっくり呼吸がそろって行くにつれて、二人の境界線が曖昧になって行くような、そんな不思議な感覚がする。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

営業活動

むちむちボディ
BL
取引先の社長と秘密の関係になる話です。

組長と俺の話

性癖詰め込みおばけ
BL
その名の通り、組長と主人公の話 え、主人公のキャラ変が激しい?誤字がある? ( ᵒ̴̶̷᷄꒳ᵒ̴̶̷᷅ )それはホントにごめんなさい 1日1話かけたらいいな〜(他人事) 面白かったら、是非コメントをお願いします!

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

処理中です...