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お可愛いΩ お可哀想なα
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しおりを挟む今はまだ親とのことを話せるような距離じゃないけど、でもいつかそんな相談ができる仲になれたらいいなって思えて、一緒に運んでくれるシュンを覗き見る。
うん、黒髪で小柄で可愛い……
って、オレってそんな惚れやすかったかなぁ。
国語準備室まで小冊子ドリルを運んで一息ついて気が緩んだからかお腹が急にグゥって大きな音を立てて、国語準備室は移動教室ばかりある校舎の中にあるから人が少なくて静まり返ってるから……どうやらしっかり聞かれちゃったみたいで、シュンがきょとんとした後に吹き出した。
「すっごい音したよ!お腹減ってるの?」
「うぅ……ちょっと」
「えー?ちょっとって大きさじゃなかったよ?ダイエット?」
「え⁉︎や、違うよ!そんなことしてないって」
オレとしては縦にも横にもみょーんって大きくなりたいから、できるだけしっかり食べるようにしているくらいだ。
「オレ、全然肉がついてくれないから……」
おじいちゃん先生が言ってたように、両親ともに体格がいいわけではないからあまり期待できないかもしれないけど、努力値ってものが絶対にあるはずだ!いつかみょーんとでっかくなってムキって強くなれるって信じてれば何とかなる!……はず。
「今日はちょっと、朝ご飯食べそびれちゃってて」
へへ と苦笑いするオレの手に、シュンがちょんと手を重ねて来た。
「良かったらあげるよ!」
「え?」
掌にころんと転がったのは茶色い包み紙だ。
「眠気覚まし用に持ってたんだけど、良かったら」
小さな袋には「珈琲」の文字と「眠気すっきり」って言葉が印刷されていて、舐める前からどんな味かを教えてくる。
「ちょっと苦いけど 」
「大丈夫!いいの⁉︎」
「うん!授業中にお腹なったら恥ずかしいもんね」
肩をすくめてやっぱりふふって可愛らしく笑ってくれるから……ちょっとだけどきどきした。
本当は大事に残しておきたかったけど、先生の用事のせいで購買にも行けなかったからお腹ペコペコで、仕方なく包み紙を開けて指の先ほどの黒いアメを口に放り込むと、うん!苦い。
多分、銀花なら悶えるんじゃないかなって思うんだけど、甘い物が苦手なオレにはちょうどいいくらいの苦さで、その味はカフェ『la fluorite』のにちょっと似てるかもしれない。
明日から海の学校で今日は少し早く帰ることができるはずだから、ちょっと帰りに寄ってもう一度お店が開いてないか確認してから帰ろうかな?
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