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お可愛いΩ お可哀想なα
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しおりを挟む普段ならって言うか、こんな喧嘩自体しないけど、オレがしょうがないなって折れるからこんな睨み合いなんかしなくって……
「止めなさい!朝から 」
「兄弟げんかなんだからお父さんは黙ってて!」
「そうだよ!お父さん関係ないし!」
「かん 」
「それを言うならりっかも関係ないでしょ!自分のことは自分でできるもん!」
「なんだよっできないくせに!もうそんなこと言うならネクタイ結んであげないから!」
「 っ」
そう叫んだら一瞬、銀花は怯んだけれど……
「ちょうちょ結びは出来るもんっ!」
それが銀花の精一杯の負け惜しみなんだとわかってはいるけど、制服のネクタイはちょうちょ結びじゃ駄目なんだよ?って諭してやれる余裕がなくて、「はぁっ⁉︎」ってちょっと呆れかえった声が出てしまった。
「落ち着きなさい、朝から怒鳴り合うもんじゃ……」
「お父さんはっ!こんな時だけ親の振りしないでよっ!」
銀花の言葉にお父さんの表情が一瞬で凍って、動揺したのか息を飲むのが見える。
「いつもいつも仕事だ研究だっていないくせに!いつもぼく達放っておいて!全然かまってくれないくせに!気に入らない時だけ戻ってきて!頭ごなしに怒って!ダメダメばっかり!ずっと傍にいてくれるしのぶ達は家族だって思えるけど!全然家に居ないお父さんは家族じゃないよ!」
思わず、
とっさに、
それは言っちゃいけないって止めようとして手が出た。
────パァン って、高い音がして衝撃で銀花の目の縁に溜まっていた涙が零れて……
言葉は止まったけど、同時に気まずい空気に場が凍り付いて、謝らなきゃって思うのにそれよりも先に銀花の頬を叩いてしまったことを正当化しなきゃって、ダメダメなことを思ってしまって。
「 お お父さんは、オレ達育てるためにずっと頑張ってくれてるんだよっ!だから 、だから」
言い訳をしているオレの目の前で、銀花がポロポロって泣き出して……
「……そうやって、りっかはいい子ぶってばっかり!そんなふうにあっちこっちに愛想ばっか振り撒いてるから運命の相手だって見つからないんだ!」
「な な なっ 」
よくよく考えれば全然話の筋は通っていなかったんだけど、一昨日にその話で諦めたらって勧められた身としては胸に刺さるきつい一言だ。
産まれた時から運命の相手が傍にいる なんて奇跡が、そう起こるはずないのはわかってるだけに、その幸運を握り締めて産まれて来た銀花にそれを言われたくなかった。
αなのにαらしさの欠片もないオレには、一生出会えないかもしれないのに!
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