OMEGA-TUKATARU

Kokonuca.

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お可愛いΩ お可哀想なα

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 激怒で赤くなっていた顔がさっと白くなって、オレのネクタイを力いっぱい引っ張っていた仁の手の力が緩む。

「これ以上、なんの問題を起こすんだ?」

 ずず……と怒りの気配がドアの奥から這い寄ってくる。
 声だけなのに酷く身が竦んで……オレもきっと仁達と同じ顔をしていたんだと思う。

「大人しく帰るんだ」

 大きいと思う仁達よりも更に大きく見えるせいか、思わず腰を抜かしそうになったのは言うまでもない。

「お、おじさん……」
「邪魔をしたな。今日はこいつらを連れて帰る、ゆっくりするといい」

 仁達がうちに来るのは昔からだし日常だったけど、おじさんは余程のことがない限り滅多にこない。だから、おじさんがうちに来るくらいヤバいことが起こったんだってことはわかったし、それで仁と義が怒られたんだろうなってこともわかった。

 でも、胸倉を掴み上げられたり、怒鳴られたりする理由がわからなくて……

 おじさんに「来い」って言われて、渋々オレを睨みつけながら帰って行く二人の後姿をぽかんと眺めるしかできなかった。


 気の短いオレと違って銀花は本当におっとりしていて、中身だけなら銀花は本当にΩらしいΩな性格をしてる。作り物じゃないゆるふわ天然な感じが傍にいてほんわかさせてくれる、そんな子だ。


「  ──── りっかはあっち行って!」


 怒鳴り合いだとか、喧嘩だとか、本当にそう言うのとは縁遠い子で、だからオレを拒絶する言葉もどこか幼い感じがして、聞いた瞬間はショックよりもそっちの方が気にかかってしまった。

 でも、じわじわ と……

「    」

 小さなケンカは幾つもあったけれど、拒絶は初めてだったから良くわからなくて……

「銀花?」

 開く気配のないオレ達の部屋のドアに向かってもう一度呼びかけた。

「   ぎ 」

 呼びかけようとしたオレの声に反応したのか、何かがドアに向かって投げつけられた音がした。そんな固い物でもなさそうだけれど、木目の淡い色味の板が震えてオレの言葉を消してしまう。


「銀花っ!」


 オレが呼ばれたわけでもないのに思わずびくっと飛び上がりそうになったのは、その人が普段大声を出さないって言うのと、あまり家で声を聞かないせいかもしれない。

「お父さん……」

 銀花とよく似た感じだけれど幾分線が細くて儚げだ。オーバーサイズのカーディガンを着ているから余計にそう見えるのかもしれないけど、それを引いても細くて折れそうな印象がある。


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