OMEGA-TUKATARU

Kokonuca.

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お可愛いΩ お可哀想なα

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「お父さんは元気そうだった?」
「うぅん、会えなかった。でも着替えはうたさんに渡してきたよ」

 そう言うと、髪を拭いていた銀花はちょっと複雑そうな顔をする。

「お父さんは……再婚、とか、するのかな?」

 ぽつりと聞かれてー……オレは答えを持ってない。
 そこは二人の問題だし、二人で話し合ってるだろうことだから。

 うたさんを紹介されてからずいぶん経ったけど、そう言う話をされたことはないから、もしかしたらしないのかもしれないし、オレ達が独り立ちするのを待っているのかもしれない。

 そう言うのは良く聞く話だもんね。

「それは分かんないよ」

 素直にそう言うと、黙ってればかっこいい銀花の眉間に皺が寄る。
 銀花はお父さんに再婚とかそう言うのはして欲しくないみたい。

 オレはどうかな?初恋の人がお義母さんになる なんてどっかの漫画みたいな話だけど、手放しで嬉しいと言えるかどうかで言うなら微妙なところ。
 ちょっとやっぱり……気になるΩ性の人を、父親とは言え他のαに取られたって思っちゃうと、胸の奥の方がジリジリする感覚になる。

 こんな所だけαってのはやめて欲しいよ!

「そうそう、仁と義のお父さんに会ったよ って、そうだ、二人は?」
「上にお風呂入りに行ってるよ、うちのお風呂狭いから」

 狭いって言っても一般家庭になる普通の浴槽だと思うんだけど、二人がうちに居座るからってこのマンションの十階の部屋の壁すべてをぶち抜いて、二人の部屋にしちゃうような人達の狭いって感覚が良く分かんない。

「上なら三人で入れるのにってぶちぶち言ってたけど」
「駄目だからね!」
「わかってるよーそんなことしたらお父さん怒っちゃうもん」

 お父さんが不在がちな今、オレが気を付けておかないと!

 だってオレと銀花は双子で、……一卵性で……そして、αとΩだから。

 αの仁と義に並んでも何ら見劣りすることのない銀花は、Ω……

「いや、外見逆じゃない?」

 思わずつるっと出た言葉に、銀花がきょとんと首を傾げる。

「あ、いや、ちゃんと抑制剤は飲んだ?」
「あ!飲んでない!」
「ほらほら、今飲んで」

 夜寝る前に抑制剤をちゃんと飲んだか確認するのはオレの仕事。
 外見はαな銀花だけど、フェロモンはちゃんと出るし感じるからこうやって薬は欠かさないようにしないといけない。

 ますますオレとは正反対で……ホント羨ましい!

 十歳くらいまではお互いどっちがどっちか分からない位そっくりだったんだけど、段々似なくなってきて今では兄弟とも思われないかもしれないくらい似てないのは、おじいちゃん先生が「生命の神秘だね!」って言うくらいだ。
 せめて、銀花がΩらしいΩだったり、オレと同じαだったら感じなかったのかもしれないんだけど、Ωなのにαみたいな銀花を……オレはちょっと、全部綺麗に丸っと素直に好きって言い難くて……劣等感 なのかな?

 お兄ちゃんのオレがこんなじゃ駄目だってわかってるんだけど……


 素直に好きって言えない自分が嫌になる。



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