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お可愛いΩ お可哀想なα
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しおりを挟む人のバース性を興味本位で聞いちゃいけないって言うのはマナーで、人が第二の性を持つのが周知されて当然となり、良く効く抑制剤も出た今では、学校とか会社でもわざわざバース性を言う必要が無くなってきているから、オレがαだって知っている人は少ないかもしれない。
Ωと勘違いされてその訂正に毎回躍起にならなくちゃいけなかったのもあって、誤解する人間には誤解させたままにしてるってのが悪いんだとは思うんだけど、でも、出来たら言いたくないんだもん。
だってオレ、出来損ないのαだから……
「どうしようか?このままフェロモンを感じないままでも生活に不便はないけど」
「で、でも、恋人 欲しいです」
もじ としながら言ってみると、キョトンとした顔がこちらを向いた。
「この世の大半はフェロモン関係なく恋人が出来るからね」
「う゛」
「まぁ全く関係ない訳じゃないけどさ、好意を抱きやすいとかそう言う部分で。でも、相手の匂いがわかれば恋人になれるーってのは盲信しすぎじゃない?それに頼らずにカップルになってる人達が大半だよ?」
そう返しておじいちゃん先生はくるくるとペンを回して見せる。
「生活に支障もないし、このままで行こうか」
「でもっフェロモンとか感じるようになったら、もっとアルファっぽくなって、筋肉ムキってなれるかもじゃないですか!」
「ムキってなりたいの?」
「ムキムキってなりたいです!」
「あー……」と気のない声が漏れ、「ちょっと難しいかもね」と慈悲の欠片もない言葉が返ってきた。
「君の両親とも細身だしねぇ」
「銀花はでっかいじゃないですかっ双子なんだからあれくらいになってもいいんじゃないですか⁉」
「いやーまぁー可愛いし良くない?」
「良くないです」
身長がみょーんと伸びて、ムキってなるのが夢なんだから!
むくれて頬を膨らませると、いたずらっ子のような表情のおじいちゃん先生にそれを突かれてプシュッと空気が抜けた。
「何度も言うことだけど、君がアルファなのは間違いないけど、フェロモンを感じることが出来ないのはしょうがないよね」
「な 何とかならないんですか?」
「個人差だって言ってしまうと乱暴に聞こえるけど、フェロモンに頼らないで恋人探したら?」
奥さんがいて、子供が三人もいて、お孫さんまでいるから言えるセリフだと思う!
どんなに頑張っても外見では女の子達に遠巻きにされて、どんなに頑張ってもフェロモンじゃ相手にもされないなんて、悲しすぎる!
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