OMEGA-TUKATARU

Kokonuca.

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かげらの子

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「っ ?」
「さきたろ……あ、つ   い」

 そう譫言のように宇賀が呟いたのと、一際熟れた甘い匂いが鼻を突いたのはほぼ同時だった。



 これが、宇賀の信を裏切る行為だと確かに分かっていた。

 男達に嬲られて、意に沿わない性交を強要されて、それでもこの村で生きて行く為に宇賀が唯々諾々と受け入れていたこの無理矢理の行為を……

「 あっ  ぁ゛   」

 華奢な体に自分の奇妙に形の歪んだ性器を捻じ込んでしまえば、宇賀の体にどれだけの負担か分からない筈なかったのに、捨喜太郎は押さえつけた頼りない体を割り開いて最奥を犯す事を止められなかった。

「ぁ ん゛! ぁ゛ んっ ん  」

 暗い中でもその箇所が分かったのは一際濃密な蜜の匂いを振り撒いていたからで、膝裏を持って押し倒してしとどに濡れる秘穴に指が触れた際には余りの気持ちの高ぶりに一瞬意識が飛んだほどだった。
 お互いの顔すら良く見えないと言うのに宇賀の青みがかった鏡面のような美しい双眸だけは、その存在を隠しきれないかのように暗闇でも鮮やかに光って見せる。

「う が  っ」
「  あ…… き、たろ  あ つい、 ひ、ぁ  」

 どこにそんな力があるのか、宇賀の細い手足が捨喜太郎に絡まり縋りつく。滑らかに音を立てる水音と激しい呼吸音、時折思い出したかのように互いの名前を呼ぶ声だけが切れ切れに響く部屋は、二人だけで完結された世界そのものだった。


 誰にも受け入れられる事がないと思っていた、奇怪な人ならざる形を持つ逸物を気味悪がらずに受け入れてくれる人がいるなんて、捨喜太郎は思いもしていなかった。だから自分のそれを根元まで宇賀が難なく受け入れて、嬉しそうに声を上げた瞬間は、この存在に拒絶されなかった事に涙が溢れて呼吸が止まりそうになり、蹲るようにして宇賀に縋りついた。

 嬌声を上げながら深く深く、奥を突いている筈なのに更に深く咥え込もうとするその姿を見たくて、捨喜太郎は懸命に目を凝らす。

 ぐぷ ん と先に出した精液が律動に合わせて溢れ出し、肌の上を伝っていく感覚に宇賀はきらりと光る眼を細め、震えて耐える仕草をした。

「  う、が、  ゃ、ほし 欲しくて  君が、 」
「んっ  ぁ゛っふか っなか、さきたろの  っぃ きもち   」

 髪一筋として入る隙間もない程密着した体から伝わる熱は心地良く、このまま溶け合えるのではないかと言う希望を持たせて互いの意識を混ぜっ返す。
 すん と鼻を鳴らす度に今を盛りと咲く花の匂いを感じる度に、吐精して落ち着いた筈の股間が力を取り戻すのを感じた。

「  ここ、宇賀……ここだ  ここ、ここをくれ 」

 視界の効かない中で一際鮮やかに匂い立つその箇所に、ふんふんと鼻を擦り付ける。擽ったい細い髪が頬に触れ、それを追いかけるように藁縄の感触が頬を擦った。



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