OMEGA-TUKATARU

Kokonuca.

文字の大きさ
上 下
466 / 801
かげらの子

26

しおりを挟む



 動かない と思っていた宇賀の体が大きく傾ぐ。

 それは片方の男に乱暴に腰を引き寄せられたせいだ。

 もう一人が無防備になったその尻を鷲掴んで笑っているが、宇賀の声は何も聞こえない。


 振り返るその顔が、


 鏡面のような瞳が、


 感情もないのに名残惜しげに捨喜太郎を覗き見た。





 悪漢に女性を連れ去られたらどうするだろうか?颯爽と助けに入り、その女性を救い出すのか?それとも、こっそり後をつけて隙を見て女性を逃がすのか?

 悲しい事に捨喜太郎はどちらも当てはまらない。
 二人の村人に小突かれ淫らに触れられながら連れていかれた宇賀を助ける為に、三人の間に飛び込んで行く事はなかった。

「  ────ぁ。  」
「早く這え!明るくなるんが早ぇからかぁちゃんもさっさと動き出すんだぁ」
「うっとこもやで、明いんは明いんで困りもんやが、いつも通りかぁちゃんには寝といてもらわんと、かなわんや」

 二人は連れだって放尿する際の他愛ない雑談のように軽口を叩きながら、時折抵抗のように小さな声を漏らす宇賀の襤褸をぐいぐいと無遠慮に引っ張っている。
 破れた個所もある着物がそんな男達の強い力に耐えられる筈もなくて、細やかな抵抗とばかりに宇賀が着物を押さえると、そこから ぴぃー…… と裂けた音が響く。

 草むらに無理矢理引き倒されて……二人がかりで押さえつけられて……

 誰がどう見ても明らかに、これから宇賀は下卑達によって輪姦されるのは確かだった。けれど、それを見ても捨喜太郎は助けに一歩足を出す事が出来ず、瘧のようにぶるぶると震えながら、蹲れば身を隠せる程の低木の茂みにしゃがみ込むのが精一杯だった。

 これから何が行われるのか、分からない訳ではないのに、

 自分が助けに入る事が出来ると言うのに、

 滴りそうな程の汗をかいて、息を潜めて木の葉の隙間から乱暴に抱え上げられた宇賀の白い足を見る。
 草の露に服が濡れるのも厭わずに、じっと息を潜めながら音を立てないように震える歯を食いしばった。

「  ぁ 」

 男達の手が宇賀の体を気遣うように動く事はなかったし、思い遣りの言葉を掛ける事もない。

 乱暴に引き倒されて押さえつけられて、どうしようもない時にだけ漏れる苦痛の声だけが風の音に混じって捨喜太郎の耳を打つ。

 叢の深く鮮やかな翡翠のような色に、仄かにそれ自体が光っているんじゃないかと思わせる白さが浮き立ち、その中に遠慮の欠片もなく暴かれた宇賀の秘部だけが妙に艶めかしい色彩を放っている。
 細い、頼りない四肢が玩具のようにもがき、自分を押さえつける腕に儚い抵抗を示す。

 けれど、それだけだった。

 細い体が畑仕事を生業とする男達の腕力に敵う筈もなく、あっと言う間にその赤い最奥は乱れ散らされて……

「 ぁ、あっ  ぅ、 ン 」
「しっかとやち締めんと っ  」

 腕が振り上げられて、自分が叩かれる訳でもないのに捨喜太郎は酷く恐怖に感じて咄嗟に目を固く瞑った。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

営業活動

むちむちボディ
BL
取引先の社長と秘密の関係になる話です。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

処理中です...