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Dog eat Dog
24
しおりを挟む軽く叩かれただけなのに妙にそこがジンジンしてるように感じて、誤魔化すようにぐっと体を捻って傍らに立つ中田を見上げた。
「……悪かったって、あんたのプライドを傷つけたのはホント悪いと思ってるって 」
「あー いや、別にソコはどうでもいいよ」
首を噛まれたことではなく、傷が出来たことを気にする素振りをちょっと見せてから、スーツの内ポケットから細い筒を取り出して光に透かす。よく見るなんの特徴もないただのペン型の注射器だったが、オレにはよく馴染んだものだ。
ぶわ と、冷や汗が肌の上に溢れる。
「どこがいいかな?女なら膣のナカでもいいんだけど」
そう言ってから中田は眼鏡が邪魔なことに気付いたのか、むしり取ってぽい と投げ捨てた。
「オメガなら――ケツマンコ かな?」
露になる表情が、
剝き出しの感情が、
凶暴さに……
「 や 」
弾かれたように逃げようとしたけれど、手首と足首、それに膝まで下着を下ろされている状態じゃうまくいかなくて、結局無様に中田の足元に顔から倒れ込むこととなった。もともと高くない鼻を強かに打って呻いているところを、中田の手が乱暴に引き寄せる。
ぶ つん……
そんな太い針でもないし、そんな分厚い皮膚でもないのに、太腿に振り下ろされた注射器が刺さる瞬間にそんな音が聞こえた気がした。
「あ⁉ ぁ、?」
全身に総毛立って、跳ね上がりすぎたせいで心臓が一瞬止まったんじゃないかと……
ガタガタと震えた体を後ろからきつく抱き締められて、心臓だけじゃなく息まで止まりそうで、必死に腕を振るってなんとかその腕の中から這いずり出す。
何を、打たれた?
急いで振り返り、中田の手に持たれた注射器を見るも、ラベルどころかなんの特徴もない。
毒?
薬物?
やばい奴に手を出してしまったのだと、喉が干上がるような嫌な感じがして汗が噴き出す、へまをしたと言う事実を改めて実感して呼吸をするとひぃ と小さな音が聞こえる。
どうやって逃げればいい?
そうすれば逃げられる?
それよりも、何を打たれた?
ぐるぐると考えがとっ散らかって何一つまともに考えが纏まらない。緊張からか上がる息を懸命に宥めようとしてもどうにもならず、震えも酷くなるばかりだ。息を吸っても吐いても苦しいままで、肩が大きく跳ね上がって思わずよろめいて床に倒れ込む。
目のすぐ傍にあるカーペットを見詰めながら、ひぃ と細く喉を鳴らしながら息を吸い込んだ。
「あ、 つい 」
何気に出たその言葉がヒントだった。
首元がぎゅうっと締まって、反射的にイヤイヤと首を振って身を捩る。中田はそんなオレを捕まえておく気はなかったらしくて、支えがなくて無様にぼてんと床に倒れた。
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